安倍総理の在任期間が歴代総理の在任記録を抜いて最長となった。
安倍総理は自民党総裁の任期を1年残しているために、政局にもよるが当分の間総理の職に留まるものと思われる。一時期、総裁の任期を連続3期9年と定めている党規を改正して安倍総裁4選を目指す動きも伝えられたが、自民党の総裁候補として実績・指導力・人望の総合評価で抜きんでた人物が見当たらない現状から、現在でも安倍総裁4選が有望な選択肢として残されているようにも思っていた。しかしながら、昨週以降に安倍総理の持病悪化が取り沙汰される事態に急展開し、否応なく自民党は後継総裁問題を直視しなければならない事態となっている。自民党総裁=総理大臣の選任は静観するとして、安倍政権の実績について考えてみた。メディアでは、過去の長期政権であった吉田・佐藤・中曽根・小泉の各内閣と安倍政権の実績を比較して、安倍政権の実績が劣っているとする論調が目立つようである。安倍政権以外の実績として挙げられている代表的な項目は、吉田内閣:講和条約・日米安保調印・憲法発布、佐藤内閣:沖縄返還、中曽根内閣:国鉄等民営化、小泉内閣:拉致被害者帰国・郵政民営化であるが、挙げられた項目のうち3公社5現業の民営化以外は、国際情勢によって必然的に起きたもので内閣の実績とするのは疑問であると思う。いわば誰が総理の職にあっても起きた事項である。小泉内閣時に起きた拉致被害者の一部救出についても、核開発を進めるための時間稼ぎと6カ国協議の牽制という北朝鮮の外交手段として作為されたことは歴史が証明しており、安倍政権が拉致問題を解決(進展)できなかったのは、核の開発と運搬手段に成功した北朝鮮が米朝の直接協議にシフトし、最早日本との関係修復の必要性を失ったためでると考えている。安倍政権の実績としてメディアが取り上げているのは、集団的自衛権行使を前提とする安全保障関係法の整備であるが、第2次安倍政権発足時に1丁目1番地とした憲法改正に関しては、憲法審査会に改正原案すら提示できないことには大きな不満が残る。戦勝国によって押し付けられた現憲法は、安全保障・人権・教育と多岐に亘って国家と国民生活両面の発展阻害要因となっており、中国コロナ禍で顕在化した緊急条項の不備は致命的な欠陥とされている。国際紛争解決手段として不戦を宣言した現行憲法の死守を是とする政党や知識人は国内にも一定の勢力を有しているが、平和条項が変更されないことを最も望んでいるのは中国・北朝鮮であろうし、もしかして韓国の文大統領もそうであるかも知れない。殴られても反撃しません、ただ貴方が思い直すこと(国際信義に俟つ)を求めるとする国は、野望を持つ隣国には極めて有難い国であると思う。中国企業から平然と収賄する議員は勿論、純粋な動機で護憲を標榜する人々を結集・組織する者は中北韓の影響から果たして無縁であるのだろうか。
安倍内閣の支持率は不支持率を下回っているが、報道やネット上の意見を見る限り経済政策とコロナ対処に起因する不支持意見が多いように感じられる。日本獣医師会との癒着に由来する文科省の岩盤規制に風穴を開けて実現した加計学園獣医学部について調べて見ると、学費猶予の特典があるものの卒業後の一定期間の就業に縛りを受ける四国枠の応募は減少しているようであるが、それ以外の応募・教育は順調であるらしい。獣医師卒業生が出るまで加計問題の功罪は結論できないが、もし四国の獣医公務員が増加する事態にでもなれば、あの加計騒動は何だったのだろうかに落ち着くだろう。安倍内閣不支持を表明する人の定量的・理性的な意見を聴きたいと思うところである。