もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

安倍総理の在任記録に思う

2020年08月26日 | 与党

 安倍総理の在任期間が歴代総理の在任記録を抜いて最長となった。

 安倍総理は自民党総裁の任期を1年残しているために、政局にもよるが当分の間総理の職に留まるものと思われる。一時期、総裁の任期を連続3期9年と定めている党規を改正して安倍総裁4選を目指す動きも伝えられたが、自民党の総裁候補として実績・指導力・人望の総合評価で抜きんでた人物が見当たらない現状から、現在でも安倍総裁4選が有望な選択肢として残されているようにも思っていた。しかしながら、昨週以降に安倍総理の持病悪化が取り沙汰される事態に急展開し、否応なく自民党は後継総裁問題を直視しなければならない事態となっている。自民党総裁=総理大臣の選任は静観するとして、安倍政権の実績について考えてみた。メディアでは、過去の長期政権であった吉田・佐藤・中曽根・小泉の各内閣と安倍政権の実績を比較して、安倍政権の実績が劣っているとする論調が目立つようである。安倍政権以外の実績として挙げられている代表的な項目は、吉田内閣:講和条約・日米安保調印・憲法発布、佐藤内閣:沖縄返還、中曽根内閣:国鉄等民営化、小泉内閣:拉致被害者帰国・郵政民営化であるが、挙げられた項目のうち3公社5現業の民営化以外は、国際情勢によって必然的に起きたもので内閣の実績とするのは疑問であると思う。いわば誰が総理の職にあっても起きた事項である。小泉内閣時に起きた拉致被害者の一部救出についても、核開発を進めるための時間稼ぎと6カ国協議の牽制という北朝鮮の外交手段として作為されたことは歴史が証明しており、安倍政権が拉致問題を解決(進展)できなかったのは、核の開発と運搬手段に成功した北朝鮮が米朝の直接協議にシフトし、最早日本との関係修復の必要性を失ったためでると考えている。安倍政権の実績としてメディアが取り上げているのは、集団的自衛権行使を前提とする安全保障関係法の整備であるが、第2次安倍政権発足時に1丁目1番地とした憲法改正に関しては、憲法審査会に改正原案すら提示できないことには大きな不満が残る。戦勝国によって押し付けられた現憲法は、安全保障・人権・教育と多岐に亘って国家と国民生活両面の発展阻害要因となっており、中国コロナ禍で顕在化した緊急条項の不備は致命的な欠陥とされている。国際紛争解決手段として不戦を宣言した現行憲法の死守を是とする政党や知識人は国内にも一定の勢力を有しているが、平和条項が変更されないことを最も望んでいるのは中国・北朝鮮であろうし、もしかして韓国の文大統領もそうであるかも知れない。殴られても反撃しません、ただ貴方が思い直すこと(国際信義に俟つ)を求めるとする国は、野望を持つ隣国には極めて有難い国であると思う。中国企業から平然と収賄する議員は勿論、純粋な動機で護憲を標榜する人々を結集・組織する者は中北韓の影響から果たして無縁であるのだろうか。

 安倍内閣の支持率は不支持率を下回っているが、報道やネット上の意見を見る限り経済政策とコロナ対処に起因する不支持意見が多いように感じられる。日本獣医師会との癒着に由来する文科省の岩盤規制に風穴を開けて実現した加計学園獣医学部について調べて見ると、学費猶予の特典があるものの卒業後の一定期間の就業に縛りを受ける四国枠の応募は減少しているようであるが、それ以外の応募・教育は順調であるらしい。獣医師卒業生が出るまで加計問題の功罪は結論できないが、もし四国の獣医公務員が増加する事態にでもなれば、あの加計騒動は何だったのだろうかに落ち着くだろう。安倍内閣不支持を表明する人の定量的・理性的な意見を聴きたいと思うところである。


武漢ウィルスワクチンを学ぶ

2020年08月24日 | コロナ

 武漢ウィルスワクチンの開発が現実視され、接種の優先度を政府が示すらしい。

 既に中国では開発に成功して接種が始まったとの報道もあるが、日本を含む西側社会での完成は早くても秋以降とされているので、現段階で接種優先度を云々することは「捕らぬ狸の皮算用」の印象が強いが。予想される優先順位は、①医療関係者➁高齢者・基礎疾患保有者③それ以外、とされている。医療関係者を最優先することに異論は無いが、次いで高齢者と基礎疾患罹患者を優先とするのは如何なものであろうか。この階層に属する人は、一部の人を除いて将来の日本国に対する貢献は極めて低いと観るべきで、「日本国トリアージ」を考えれば優先順位は最下級とするのが適当と思う。自分の考える優先順位は、①医療関係者➁少年法適用年齢③18~70歳④それ以外である。皮算用と自己主張はさておいて、中国コロナワクチンの開発を調べてみた。WHOによると、現在開発中のワクチンは約170種類で既に30種類程度は臨床試験を始めたとされている。これまでのワクチン開発はウイルスを培養して作るのが一般的であったが、今回は開発期間短縮のために遺伝子組み換えという新しい手法が採られているらしい。中国コロナワクチンはこれまでに、日本、米国、中国、英国、ドイツなどの企業や研究機関が開発を進めているが、臨床試験に入っているワクチン候補は中国勢と米国勢が過半数を占め、残念ながら日本は出遅れている現状であるらしい。開発が成功した場合の供給については、米国は自国への供給・備蓄を優先、中国は外交的な影響力拡大を狙って途上国にも供給するとしており、人道的には全人類に平等に提供されるべき医薬品が覇権争いのツールになっている。日本では、ワクチンがメディシンズ・パテント・プール(医薬品の特許プール)の仕組みで、特許権を持つ企業に特許をパテント・プールに公開して貰い各国で製造することや、国際共同購入(参加国は一定額の資金を前払い金としてワクチン開発に取り組む複数の企業の研究開発に提供して、開発に成功した場合、出資国は人口の20%分を上限にワクチンを確保できる)の枠組みを模索しているが、ワクチン開発で先頭を走る米中がワクチンを戦略的武器と考えている現状から実現することは無いだろうと考える。日本製のワクチン完成は早くて来春以降とされているので、早期に入手するとすれば中国製の途上国分を金に任せて買い取るか、習主席の国賓招待等で中國にすり寄って中国国内向けの余剰分を得る道しかないが、いずれの場合も国際的な評価を落として国益を損なうことは確実であり、日本の採るべき道ではないと思う。以上の状況を踏まえて冒頭の皮算用に戻れば、政府の配分計画でも高齢者向けは来年の夏以降、自分の希望する計画では再来年の夏頃と考えられるので、高齢者は感染して死ぬことがあっても運命と諦めるしかないように思える。高齢者諸君、中国コロナの発症予防に有効なワクチンが実現したとしても、将来の日本建設に必要な若年者に笑顔で順番を譲る気概を示そうではないか。我々の親世代は、戦後の食糧難にあっては自分の腹を満たす前に、子供にひもじい思いをさせないことを第一に考えてくれたはずである。

 優先順位はどうであれ、接種に際しての人定方法で最も考えられるのがマイナンバーの末尾を利用した人定方法である。定額給付金の支給でマイナンバーカードの発行は加速したらしいが、ワクチン接種が複数回又は毎年に及ぶケースを考えれば、より一層の取得を働き掛けても良いのではないだろうか。その場合は、個人口座の紐付けも一挙に進めることも提案するものである。


明智光秀の再評価に思う

2020年08月23日 | 歴史

 武漢ウィルスに伴う巣ごもりの(閉塞感)のなせる業であろうか、明智光秀の再評価と本能寺の変の黒幕特定が喧しい。

 最新の光秀再評価は、「主殺し」「謀反人」とされてきた光秀が、実は天皇親政実現のために「本能寺の変」というクーデターを起こしたのではないかというもので、論拠とするところは、光秀が「信長旗下の武将では類を見ない教養人であったために通じていたであろう記紀の政体を正統とした」「領地での善政」とする点であるように思える。本能寺の変の黒幕については、これまで足利義昭説、公家説、秀吉のヤラセ説・・・と百花繚乱であったが、冒頭の光秀再評価では、本能寺の変は誰の使嗾も受けない光秀本人の選択であったとするものである。真実は不明なことから光秀と本能寺の変の謎解きは勝手であるので、本日は自分流の「光秀・本能寺の変」の解釈である。本能寺の変当時、既に光秀は信長から破格の待遇を受けており、謀反の一因とされる「格下の秀吉が担当する備中攻略の支援作戦」という些か面目を失う任務も、信長軍団では稀有の恩賞(占領地を領地とする)を約束されていることから、戦国武将として謀反に奔るものでは無い。本能寺の変から天王山の戦いで秀吉に討たれるまで、対秀吉(対織田軍団)のための軍備や調略の動きが極めて少ない。以上のことから、本能寺の変は光秀の器量の限界であったと思っている。光秀は武人としては類を見ない学識を持ち、預けられた領地では善政を敷く人格をも持っていたのは間違いないと思うが、知識人に共通の「現状の不備は指摘できるが、改善策は立てられない」「他人の助言を受け容れない」という致命的な欠陥を持っていたものと思う。下剋上の世相下にあっても「主殺しという人倫に悖る行為」に奔った背景には、信長の天下布武の思想と行動に抱いた不信・疑問があることは間違いのないところと思うが、信長排除後の政体・軍事については、確たるデザインを持っていなかったものと思える。光秀にとっては、不信の根源である信長を討つことで思考と行動は完結してしまい、謂わば「燃え尽き症候群」状態に陥ったものと思える。当初は足利幕府という権威を再興することで、次いで比叡山焼き討ちというような非情なまでの任務を忠実に遂行して信長の権威を高めることで自分の存在を確かめてきたが、さて自分が身を寄せる大樹・権威がいなくなった時、将に茫然自失の状態に陥ったものと思う。この時になって始めて光秀は、自分の評価はあくまで織田家臣としてのものであり、能力的にもトップに立てるものでは無いことを自覚したものと思う。秀吉に黒田官兵衛というグランドデザイナーがいたように、トップに立つ者には偉大な№2が存在し、彼等の進言・計画を聞き容れた者のみが偉業を成し遂げている。光秀の側近にも冷徹に情勢を分析できる秀満や斉藤利三がいたとされるが、自分の識見が唯一と考える光秀には彼等の助言を聞き容れる意志は無かったものと考える。こう考えれると、光秀は単なる頭でっかちの学者で、本能寺の変は現実よりも空論を重んじる学者の暴走と観るのが正鵠を得ていると思っている。

 以上、明智光秀を肴にしたが、現在でも光秀的唯我独尊政治家には事欠かない。自民党政権打倒のためにのみ「大きな塊」を目指す枝野幸男新党々首は、その筆頭であるように思える。政治に限らず「ビルド&スクラップ」は鉄則であると思うが、枝野新党からはスクラップの話は聞こえてくるものの、代替となるビルドの話は一向に聞こえてこない。新党参加者も民主党の垢と誤謬を纏った人物が多く枝野氏に並び立つ人物(小沢氏、野田氏、岡田氏、菅氏は論外)や偉大な№2になり得るデザイナーも見当たらない。維新の松井代表が新党を「帰ってきた民主党」と評したが、正義は我にありと唯我独尊の枝野氏に国政を預けて良いものだろうか。


シェルター-2

2020年08月22日 | 防衛

 昨日の核シェルターに引き続き、軍事施設の防護についての考察である。

 全ての国で軍事施設の防護は機密扱いであり、外国人の立ち入りを制限している国も多く、外国人に開放された地域でも写真撮影が禁じられている場合が多い。中国で拘束される刑事犯以外の多くがスパイ容疑とされるのは、写真撮影に起因すると観ている。軍事施設の防護については、経空脅威(航空機やミサイル等に依る空からの攻撃を指す)に対する防護が主で、主として司令部機能を防護する目的で大東亜戦争で地下に構築された沖縄・硫黄島の地下司令部や松本大本営、冷戦時代のNORAD(旧北米戦略空軍司令部)の地下司令部が挙げられる。正面兵器を直接防護するものとしてはナチス・ドイツ軍のUボート・ブンカー、震洋特攻の洞穴基地が有名であるが航空基地に設けられた飛行機の掩体壕なども含まれるかもしれない。また、大東亜戦争では戦略物資を防護するために燃料タンクや弾薬庫の大部分を地下に整備した。かっては軍事目標を目視で確認して攻撃するということが一般的であったために、戦略物資を含む軍事施設や兵器さえ防護できれば反撃・報復等の継戦能力を維持できると考えての防護であったが、現在では長射程の撃っ放し兵器やテロによる無差別攻撃から軍民ともに防護する必要に迫られたために、攻撃の早期探知やミサイル防衛に注力することにシフトチェンジされ、政府機能や軍事施設を重点的に守る拠点防護の考えは希薄になったように思う。戦前の施設を使用している場合は別にして、新たに整備される物資保管施設は初期費用や爾後のメンテナンスを考えて、燃料は裸状態の地上自立式で・弾薬は地上覆土式の簡易防護で整備されることが多い。20年前の米海軍基地での経験であるが、大戦前に建設された燃料施設でタンク上部の覆土は目視で6~8mもあり、5基のタンク中2基が放棄されて別の場所に建設すると話していたことを思い出す。横須賀にあるアメリカ第7艦隊の陸上司令部が地下にあることは知られているが、自衛隊の司令部はどうなっているのだろうか。まさか、所在が公表されている建物の中に無防備で置かれているとは思いたくないが。さらには政府の危機管理センターは首相官邸内の地下1階に置かれおり、経空脅威はおろか中程度のテロ活動にすら脆弱過ぎるように思えるが、一国の指導者も我々国民と同程度の防護で苦難を共にしようという姿勢を示したものであろうか(笑)。

 昨日、北京近郊にあるとされる大規模地下壕の噂を書いたが、現在は休止保管状態に置かれているアメリカのシャイアン・マウンテン空軍基地整備の経緯と規模を併せ考えると、中国がソ連に代わってアメリカと対峙して勝利しようとする世界制覇の戦略が窺い知れるようである。シャイアン・マウンテン基地は、対ソ核戦争において報復攻撃能力を維持するために花崗岩の山体中に作られた地下施設で、数Mt級の核爆発が数キロ以内で発生しても耐えられ、戦略ミサイルでの反撃を指揮するとともに、核シェルターとしてVIPが生き延びるための食堂、医療施設、運動施設、売店まで整備されていた。しかしながら、2006年に対テロ戦争の時代には非効率と判断されて主要機能は移転し、施設は短時間で稼動状態に復帰できるように維持されている。このことから中国(共産党)が大規模地下壕を築いた真意は、アメリカとの全面対決すら辞さない、最終戦争にすら共産党が勝利するという決意を示していると考えるのは穿ち過ぎだろうか。


シェルターについて

2020年08月21日 | 防衛

 中国(北京)では最近、公営シェルターの場所を広報し、シェルーターにおける避難生活の手引きを啓蒙する活動が行われていると報じられた。

 報道されたシェルターは核攻撃の被害から生き延びるための核シェルターであるが、シェルターと云えば戦前の防空壕のイメージしかないので調べてみた。日本核シェルター協会の資料(年度不明)によると、核シェルターの普及率(収容人数の対人口比)は韓国300%、スイス100%強、イスラエル100%、ノルウェー98%、アメリカ82%、ロシア78%、イギリス67%、シンガポール54%、日本0.02%となっていた。中国の普及率は不明であるが、大躍進政策以降に地下鉄をシェルターに転用できるように整備したために、都市部での普及率は相当に高いと思われる。北京市内には1980年代に作られた約1万か所の地下シェルターがあり、現在では100万人以上の農民工・学生に貸し出されているとの情報があり、更には、北京市近郊の地下2000mの深部に総延長30㎞に及ぶシェルターが有り、中国共産党指導部の戦時指揮所設置が可能という記事もあった。ネット上にある日本のシェルター製作会社のパンフレットには、核シェルターの他に「耐震シェルター」「水害シェルター」「津波シェルター」として地上設置型・地下埋設型・浮舟型が300万円~2000万円の価格で掲載されていた。核シェルターを使用しての延命について考えてみると、運良く核シェルターに避難できて核爆発の直接被害(熱・爆風・衝撃波・一時放射能)から免れたとしても、死の灰・黒い雨と形容される放射性降下物(フォールアウト)による2次被曝を避ける必要があり、数日間はシェルター内で生活しなければならない。ちなみに放射性物質の半減期はラドン222(3.8日)ヨウ素131(8日)セシウム134(2.1年)セシウム137(30年)とされるので最低4日間はシェルター内に留まる必要があるように思える。シェルターを出れば元の生活に戻れるかと云えば、地上の社会インフラや物流・金融は壊滅しており、外部からの援助が無ければ3日と生きられないように思う。映画では、全面核戦争が予想される際に指導的地位にある人や国の再建に必要な人を選別して巨大シェルターに収容することが描かれるが、もし日本にそのような巨大核シェルターが存在したとしても学識はもとより生殖機能はおろか排尿器官としてさえ危うい身であれば選ばれることは無いだろうと覚悟している。現在世界には全人類を数百回も繰り返し殺せる核弾頭があるとされるので、一部の狂信者に依る偶発・突発的な核攻撃であったとしても核の打ち合いに発展すれば地球は滅びることになる。そうなってしまえば設備の整ったシェルターで生き延びたとしても、食糧生産等に従事する労働者は存在しないために、彼等の生命も風前の灯以上に無力なものであるだろう。

 自分にとって核シェルター不要(無価値)論を述べたが、地震・洪水・津波・竜巻等の自然災害に対するシェルターには一定の効果があるように思う。金と土地と暇があれば、効果を信じてシェルターを整備することには”鰯の頭”程の効能があると思うが、コロナで重篤化した場合にも人工呼吸器の装着対象から除外されるであろう自分としては、やはりシェルター整備は無縁であると諦観を新たにした報道であった。