厚労省から昨年の平均寿命が発表され、男女ともに8年連続で過去最高を更新したと報じられた。
発表された平均寿命は男性81.41歳(世界3位)、女性87.45歳(世界2位)であり、世界一の長寿国は男女ともに香港(男性82.34歳、女性88.13歳)とされている。発表された数字を見て、寿命が尽きるのは間もなくかと覚悟を新たにしたが、平均寿命は0歳時の平均余命であることを思い出して平均余命も確かめてみた。平均余命とは「ある年齢の人が、あと何年生きることができるのかを示す期待値」と定義されている資料を見て”期待値”とは何と素晴らしい表現かと感じ入ったが、平均余命を表わした表を「生命表」と呼ぶことを知った。生命表とは「死亡状況が今後変わらないと仮定して、各年齢の人の死亡率や平均余命を表している表」とされ、厚労省が発表している生命表は2種類あって、毎年発表される簡易生命表と5年ごとの国勢調査の結果を基に作成・公表される完全生命表があり、簡易生命表(主な年代の平均余命)では75歳の平均余命は、男性12.29歳、女性15.86歳となっていたので、75歳までたどり着いた場合には平均寿命に僅かな利息が付いているようである。以上の数字はあくまでも平均値であり、資産額・貯蓄額・生涯賃金・知力・体力・・・果てには美醜に至るまで平均値に遠く及ばない自分であれば、余命だけ平均値に達することは考えられないので、一足お先にお招きを受けることになるのだろう。それよりも簡易生命表は毎年発表されるとのことであるので、中国コロナで60代以上の死者が多かったことが、どのようにデータに現れるのか興味が湧くところで、来年の発表だけは見てみたいものである。
艦船勤務者の余命について一言。昔は日本3方(土方・馬方・船方)に含まれ、近世は3K職に数えられた艦船勤務であるが、居住環境が改善され作業安全が徹底された現在ではむしろ住み易い安全な職場と云えるのではないだろうかと思う。唯一若年者が不安・不平に思うのは、艦艇の行動中にあっては、艦艇の位置を秘匿するために外部との私的通信が制約されることであるとされている。しかしながら、昔から”船コロ(船乗りが退役して陸上生活に戻るとコロッと死ぬ)とされていたのは、陸上生活(一般社会)のストレスに負けるためと云われていた。狭い艦内で限られた者とのみ顔つき合わせる生活は息苦しいと思われるかも知れないが、慣れてしまえば「出港用意のラッパで陸上のあれこれとすっぱり縁が切れる生活」は、この上もなく貴重で陸(オカ)では味わえないものである。サラリーマン生活で、見知らぬ人と満員電車に揺られ、職場や飲み会では何時もの顔と・・・。艦船勤務とホボホボ同じ生活に明け暮れているのが現実ではないだろうか。