もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

地球の水は何処から?

2021年04月30日 | 科学

 火星で活動中の探査車「パーシビアランス」の酸素生成実験成功に触発されて、NHKBSの番組を見た。

 番組は地球の酸素を作り出したのは海中に住シアノバクテリアの光合成に依るとの従来の説をなぞるもので、特に目新しい新事実は無かったが、科学音痴の自分としては新たな疑問に直面した。
 それは「酸素大発生以前にも地球上には海があった」と云うことである。地球上の水の総重量は約140京㌧で、そのうちの97 %が海水であるらしいが、水の起源について調べて見ると、水は彗星や他の天体によってもたらされたと云うのが定説であるらしい。然らばと思って氷を大量に持っているであろう彗星について調べて見ると、直径1キロ程度の彗星で数十億㌧、10キロ程度の彗星で数兆㌧となっていた。彗星の核まで氷、1個の彗星5兆㌧と仮定すれば、地球上の水140京㌧には彗星2,800個もの衝突が必要となる。さらにはハーレー型彗星の持つ氷は地球の水とは異なるともされているために、地球型の氷(水)には更に多くの彗星衝突が必要となる。宇宙何十億年の歴史であっても、そうそう都合のいい彗星・小天体が地球だけに降り注ぐということがあるのだろうか。
 また太陽系で隣接する金星・火星の大気は95%以上が二酸化炭素であるのに、中間の地球だけは窒素75%の大気を持っていることも不思議である。

 邪馬台国の不可思議には専門家のみならず素人でも勝手な解釈を許されているので、不可思議な地球誕生にも素人の夢想を一つ。
①太古地球は水・金星と同様に二酸化炭素を主成分とする大気に覆われていたが、相次ぐ小天体との衝突で炭酸ガスの多くが炭素と酸素に分解して地球は酸素の星になった。
②酸素の一部は紫外線でオゾンに変質しオゾン層を形成したが多くは大気中に留まるか地表の鉄と結びついて酸化鉄を形成した。
③その後、水素ガス天体が地球に衝突して大量の水素を放出したがオゾン層に守られて水素ガスが太陽風に弾き飛ばされることは無かった。
④地殻変動等のエネルギーを受けて水素と酸素は化合して大量の水を形成したため、大気中の酸素・水素濃度は減少し、それまでは微小の存在であった窒素が大気の主成分となった。
⑤以上の経過によって、酸素と炭素と水は地球型生命体を誕生させることとなった。

 中学校理科の段階で止まっている身の夢想。おしまい。


枝野代表は何処の国の人?

2021年04月29日 | 野党

 立憲民主党の枝野幸男代表が、議会制民主主義を無視するかの発言を繰り返している。

 枝野氏は「私の下の内閣で当面の危機管理と選挙管理を行わせて頂くべきだ」、「1日も早く立憲民主党に政権を渡して頂きたい。こちらには準備がある」と繰り返しているようである。ちなみに現在の衆院勢力は、自民278人(59.8%)、立民14人(24.5%)となっており、非現実的ながら自民を除くすべての政党が枝野政権に合意したとしても現行制度では枝野政権は不可能であると思う。
 勿論、閉塞感に打ちひしがれていた世相から根強く囁かれた「田中角栄再登場待望論」のように枝野代表がカリスマ的な人気を得ているならば、会派を越えて宰相に選ばれることもあり得るが、残念ながら枝野氏には田中角栄氏のような行動力や人心掌握術は見受けられず、なにより致命的であるのは行政実績がないことと明るいイメージがないことである。
 枝野代表は、憲法審査会の審議拒否に見られるように国家観や将来像の議論には極めて消極的で、彼が注力するのは、かっては政党交付金を確保するための国民民主党議員の取り込みであり、近年は支援母体の連合票の取り込みであることを思えば、枝野氏には寝業師・フィクサーの暗いイメージが強く、政党代表よりも政党幹事長が相応しいように思える。
 旧社会党や民主党には、政権獲得後の円滑な政権移行と行政を途切れさせないためとして不十分ながらも「影の内閣」を準備していたが、それすらも立民には置かれていない。また、議員立法提出の少なさを問われた野党議員が「官僚の協力が得られないから」としたことを契機として議員に与えられた政策秘書についても、週刊誌のスクラップ程度の雑用に使用されているようであるので、枝野代表が言う「・・こちらには準備がある』はどのあたりを指しているのか全く不明である。
 日本の議院内閣制は、直近の衆院選挙を民意と捉えて最多議員を得た政党に国政を委ねることで成り立っている。現在の立民の衆院勢力が25%であることを考えれば議員の4人に1人しか枝野政権を望んでいないことになる。その25%という数字も、選挙後において寝技的に希望の党や国民民主党所属議員を釣り上げてものであり、真に枝野政権誕生を渇望しているのは総選挙時の立民当選議員55名(12%)と観ることや、政党別得票数からは全有権者の8.5%と観ることも可能である。

 世界基準からはかけ離れた日本的リベラルであるものの、枝野代表もリベラリストの常として「正義は我にのみあり」と思い込んでの行動であろうかと推測しているが、流石に、枝野代表の議会制民主主義を無視した意見には、所属議員からも批判的な意見が出されているらしい。
 昨日開催された参院の憲法審査会で、Mr.シビリアンコントロール小西議員は、コロナ下の憲法論議を「不要不急の火事場泥棒的行動」と批判したと報じられているが、コロナ下の閉塞感・焦燥感を好機とした枝野政権構想こそ、全てのルールを無視した火事場泥棒の極致に思える。
 枝野代表の目からは、混乱に乗じて国政を掌握したミャンマー国軍の行動が羨ましく・正義そのものに映っているのかも知れない(笑)。


インドネシア海軍の潜水艦事故に思う

2021年04月28日 | 軍事

 インドネシア海軍の潜水艦「KRIナンガラ」がバリ島近海で沈没した。

 潜水艦は魚雷発射訓練の潜航中に事故を起こし、その後の捜索で漏出油や乗員の私物が発見されるとともに、水深850mの海底に艦体が3つに裂けた状態で沈没していることが確認された。
 「ナンガラ」は1978年にドイツで建造され1,981年にインドネシア海軍に編入、韓国で改修(近代化?)されて2012年に再就役したとされているので、艦齢は実に40年を超えることになる。軍艦で40年以上現役で活動するのは珍しく、記憶にあるのは1945年に就役し1992年に退役(艦齢47年)した空母ミッドウェイくらいである。ミッドウェイの例では、度重なる改修工事で建造当時の面影はなく、退役まで建造当時のままであった箇所は無かったのではないだろうかと思っている。
 水上艦では船殻の切り張りも可能であるが、潜水艦の内殻に手を加えることは無謀であり、韓国での近代化工事も搭載兵器や装備品の換装程度であったものと推測する。インドネシア海軍は沈没原因として、人為的な事故ではなく潜水艦(部材)の経年劣化を挙げているようであるが、40年間の度重なる潜航・浮上による繰り返し応力に部材が耐えられなかったのだろうと推測する。
 いわゆる老朽艦に乗組まざるを得ず、しかしながら国防の任に当たり散華した「ナンガラ」乗員に心からの哀悼を捧げたい。

 海上自衛隊の艦艇は「艦艇の老朽」をどのように測っているかといえば、艦種によって異なるが就役後適宜な期間経過後に「第1回老齢船舶調査」を行って船体・機関・電機・武器が戦闘や任務に継続使用できるか否かを判定する。調査によって継続使用と判断された場合の継続使用期間は概ね次回の定期検査までであり、そこでは「第2回老齢船舶調査」が待ち受けており再び適否が判定されることになっている。
 クラシックカーは車検を1年しか与えられないと同様に、複数回の老齢船舶調査を経た艦艇では劣化の程度によって継続使用期間が短縮されたり速力制限を付される場合もある。
しかしながら、堅牢に作られた艦艇の船体が30年程度で使用に耐えられないほど腐食することは殆ど無く、機関も例えばガスタービン機関のように使用時数によって搭載替えを行うので老齢船舶調査でアウトになる可能性は低い。艦艇が任務に供し得ない(老齢)と判断される最大の要因は、搭載兵器が旧式化し、更には近代化のための新しい兵器を搭載する船体構造・スペースや電力量が不足するケースであるように思う。かっては防衛省の予算要求や財務省の査定も、海上自衛隊の能力要求を満たす必要最小限の規模で艦艇が建造されていたが、「いずも型」護衛艦の空母改修が実現した陰には、防衛・財務官僚が漸く「安物買いの銭失い」を実感した結果であろうと思っている。

 必要最小限の能力整備が無駄の削減とする信仰は官民広く信じられている。しかしながら、過剰な箱物を否定した結果ワクチン接種場の確保に腐心し、余剰電力が無いために冷凍庫がダウンしてワクチンを廃棄したり、と「必要最小限整備信仰」は随所で破綻している。自然災害やパンデミックを考えれば「必要最小限」よりも「治にいて乱を忘れず」の方が、結果的に国民の利益に繋がるように感じられる。


米墨(メキシコ)国境の現状は?

2021年04月27日 | アメリカ

 アメリカへの不法越境者の現状は、危機的状況に拡大しているらしい。

 アメリカへの不法越境者は、バイデン政権がトランプ政権の「不法越境者に対するゼロ寛容政策」「国境の壁建設構想」を撤廃したで中米発のキャラバンを呼び起こして急増しているとされている。
 アメリカ国境警備隊による逮捕者は、トランプ政権末期の昨年12月の7万人に比べて3月には2倍以上の17万人にのぼり、国境を有するアリゾナ・テキサス州知事は非常事態を宣言するとともに、大統領に国家非常事態の発令を求めている。
 不法越境者の急増は、バイデン政権が「不法越境した保護者のいない子供については無条件で入国を認める」措置をとったために、まず子供だけ越境させて親子同居の理由で保護者の入境も認められるとの期待感から、子供が単身で越境するケースが増えていることが原因とされている。
 バイデン大統領もハリス副大統領を不法移民対処の最高責任者に任命したが、壁建設や不法移民管理の強制力を放棄した現状では不法越境者の局限に対する有効な対策を打ち出せないようで、不法移民の流入阻止という目的を放棄して「不法移民寛容政策」という美名でマイノリティ層からの集票に成功したバイデン政権は、政策・制度の悪用という現実に直面しているように思える。
 また、メキシコ政府がユニセフ(国際児童基金)の勧告に従う形で移民法と難民法を改正して子供の移民収容を禁止(実情は保護責任放棄?)したことで、アメリカ国境付近には路上生活する子供が急増し、性犯罪や人身売買が横行してユニセフが守ったと自賛する子供の拘束開放・行動自由は、子供の生存権まで奪いかねないという皮肉な事態になっているらしい。

 自分は児童相談所の対応失敗による児童虐待死の主因は、性悪説の理念で作られた法律が性善説で運用されることであると書いてきたが、執行者・対象者の双方の性が善であることを前提に整備された法律や制度は性悪説による法律以上に悪用されるように思えてならない。
 日本でも、東日本大震災復興援助の悪用・不正受給、時折に報じられる生活保護制度や身体障碍者救済制度の不正、中国コロナ禍支援金の不正受給、等々に見られるように受益者の善意を最大限期待する法や制度は、有効である反面多くの性悪な反応を呼ぶものに思われる。
 アメリカ・メキシコ・ユニセフの移民対処にも、受益者の善意を信じる精神が根底にあるように思うが、現実には法の精神に反する行為を助長する結果を招いているように思える。


「海南」就役と海上自衛隊の儀式について

2021年04月26日 | 中国

 中国海軍初の強襲揚陸艦「海南」の就役が報じられた。

 「海南」は、米海軍のワスプ級と同程度の能力と見積もられており、離島や台湾の着上陸を念頭に置いているとされている。余談であるが、大東亜戦争の島嶼攻撃や朝鮮戦争での仁川強襲は「上陸作戦」と呼ばれてきたが、近年では海岸からの上陸とヘリコプターによる兵力投入が同時に行われることから「着上陸作戦」と呼ばれることが多い。閑話休題。
 「海南」の就役行事には習近平主席が出席して海軍旗を授与したが、台湾攻撃に対する本気度を示すとともに、日米首脳会談に代表される西側諸国の中国包囲網に対する強烈なメッセージを発信したものと思える。中国軍の着上陸能力や「海南」の就役に伴う台湾及び尖閣諸島に対する影響は専門家の分析に俟つとして、本日は自衛隊の礼式に関するあれこれである。
 自衛隊の儀式については「自衛隊法施行規則」で、①自衛隊旗授与式、②自衛艦旗授与式、③観閲式、④観艦式、⑤航空観閲式、⑥表彰式、⑦祝賀式、⑧葬送式、⑨着任式、⑩離任式、⑪入隊式、⑫除隊式とされており、自衛隊の礼式に関する訓令で防衛大臣が、⑬自衛艦命名式、⑭入校式、⑮卒業式、⑯追悼式を追加している。儀式に際しては、式の執行者に対する栄誉礼が行われることが多いが、総理大臣が部隊を視察して隊員に訓示する場合も儀式ではないために、栄誉礼等は行われないのが普通である。
 今回、習主席が出席した儀式を日本に置き換えれば「自衛艦旗授与式」に相当するが、これまで「自衛艦旗授与式」に総理大臣が出席したことは無かったのではと思っている。例えばアメリカの空母については進水式=自衛艦命名式は正副大統領夫人が、就役式=自衛艦旗授与式には正副大統領が出席(執行)することが慣例となっているように、軍の最高指揮官が軍艦旗を授与することは洋の東西を問わずに行われている。自分もかって護衛艦の初代乗員として自衛艦旗授与式に参加し得たが、式の執行者は海上幕僚長であり、掃海艇や補助艦艇の執行者が更に下位の地方総監等であることも多い。艦艇の就役が相次ぐ2・3月は通常国会の山場であるために、フラッグシップ的な艦の場合を除いて閣僚の出席は略無いように思っている。

 海上自衛隊内では、自衛艦の建造や命名にまつわる諸々が以後の艦の運命に投影されるという都市伝説が幅広く信じられている。事実、艤(ぎ)装期間中に何かと(悪しき)話題を取り沙汰された某護衛艦は、就役後に暴走事故を、海難事故を、滅多に起きない乗員の落水事故を、人身事故を、ミサイル落下を、指令装置が原因不明の誤作動を・・・と暗い艦齢を重ねたこともある。
 「海南」の就役に見られる中国軍の着上陸能力向上は、台湾・日本にとっては重大な脅威であるとともに、太平洋の島嶼国家にも大きな影響を与えることは素人目にも判る。
 敵基地攻撃能力云々としてミサイル射程の長短を論じている場合ではないと思うが。