相撲協会の理事選が迫って、貴乃花親方と一門の動向が注視されている。
貴乃花一門からは、貴乃花・阿武松親方の2名が立候補するのではと取り沙汰されている。一般的には、不祥事等で解任された人物が表舞台に復帰するためには、顕著な実績または或る程度の時間を必要とするものであるが、解任後1か月での復帰を目指すのは貴乃花親方の人気と人望によるものであろうか。相撲はいうまでもなく神事を源流とするを国技で、徒弟教育を基本とする相撲界は一般社会からは隔絶された閉鎖社会であるために、その実態が見えにくいものである。かって協会は、旧態依然とした体質改善のために種々の改革を行った。記憶にあるだけでも、星の貸し借りを防止するための部屋別総当たり制、相撲茶屋経営の明朗化、親方名跡の売買禁止等、既得権益がもたらす弊害からの脱却が図られている。貴乃花親方も相撲界の改革を標榜している(今日の報道ではHPに改革ではなく回帰と表明)そうであるが、具体的に"何を""どうしたい"のかについては一切語られていない。時代遅れと言われても仕方ないが、他人に倍する体躯を持つ力士が瞬発力を競う相撲と相撲界が、ある程度の神秘性を持つことは必要悪として容認されるべきであり、ガラス張りの相撲はSUMOUでしかないと思う。神事という概念、力士としての品格を捨て去ってスポーツとなってしまえば次に来るのは、体重別でポイントを競う競技となってしまうのではないだろうか。
自分にとって相撲界は門外漢というべき世界であり、対立する協会と貴乃花一門のいずれが正しいのか、いずれが相撲の維持・発展に寄与できるのか判断できないが、理事選は対岸の火事ではなく日本の伝統・国技を維持するための選択と捉えて注目したいと思う。