もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

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2015年07月10日 | 社会・政治問題

 中国経済がバブル崩壊の兆しを見せている。

 単独思想(共産党)が独裁する社会主義国家には嫌悪感を抱きつつも、計画経済の下に富を再配分する共産主義には、共感まではいかないものの一定の評価を感じていた。しかしなから、社会主義国家が私有財産を認めて計画経済を捨てた時点で、共産主義を放棄したものと考えるのが妥当ではないだろうか。かって中国は、共産党独裁の政治形態を残したものの、計画経済を放棄したソ連を《修正主義者》として激しく糾弾した歴史を持っている。当時のソ連と比べて中国は、さらに進んだ自由経済政策をとっており、共産主義が最も嫌う《資本家》が富の大半を握り、賄賂による腐敗が共産党指導部の中枢までに蔓延するという、将に共産革命以前の社会となっているかのようである。少数民族の弾圧を併せて考えれば、現在の中国共産党は、既に漢族資本家の代弁者に成り下がった感があり、漢族資本家が共産党の指導者となる日も近いのではないだろうか。歴代王朝が、腐敗による苛斂誅求で易姓革命を誘引した道を辿っているように思えてならない。

 解放軍が党指導者に異を唱える事態が生起し、中国が破綻する場面は以外に近いのではないかと思える。その場合、民度の低い核保有国が軟着陸するとは到底思えない。

 


邦人輸送について

2015年07月08日 | 社会・政治問題

 民主党は、朝鮮半島有事の際の邦人輸送は、民間航空機や民間船の活用で十分と考えているらしい。

 邦人を救出しなければならない事態において民間能力に期待するのは果たして可能であろうか。現に、ベトナム戦争末期のサイゴン陥落時も、邦人救出は米軍に依存している。また、臨戦態勢下においては空港・港湾施設や、運航管理は軍の管理下に置かれるのは世界の常識であり、政府の意を受けたとはいえ民間機の離発着や民間船の運航が不可能に近くなるであろうことは火を見るよりも明らかである。もし、運航可能な場合も、機体・船舶・乗員の危険性を度外視して輸送要請に応じる企業があるのだろうか。まして自由意思による乗員の確保は至難の業と思われる。集団的自衛権を放棄した場合は、紛争国の領海・領空において自衛隊の戦闘機や艦艇の行動は容認されないことからも、民間機や船舶の護衛はできない状態となる。自衛隊員のリスク増大を喧伝するものの一般国民の生命財産保護については一顧だにしない姿勢については大いに疑問を感じるものである。

 かってのフォークランド紛争時、英国は豪華客船「クイーメリー」を徴用して兵員輸送船に改造したことがあるが、これは船舶等の戦時徴用のルール(無償とは思われない)が平時から官民合意の下に定められていたためであると言われている。もし、民主党が緊急事態における邦人救出を民間能力で行うという前提で集団的自衛権をも否定するのなら、戦時徴用のルールと財源を提示して論戦に臨むのが責任政党のあるべき姿と思うのだが。


ギリシャは?韓国は?

2015年07月07日 | 社会・政治問題

 ギリシャ国民は、EUからの緊縮提案を国民投票で否定した。

 一方、韓国は日本の世界遺産登録に対して2枚舌の行動をとり、日本国民のみならず世界に『韓国不信』の印象を与えた。ギリシャ・韓国に共通しているのは、指導者が大衆迎合(ポピュリズム)の施策を採り続けていることであると考える。大衆迎合施策は、国民に直接の利益を約束することと、自国民の優位を説いて国民の自尊心を満たすために、、国民からの絶大な支持を得られる一方、対外的な軋轢を助長する危険性を含んでいることは歴史が証明している。日本が大東亜戦争に突入したのも、列強の経済制裁に対して『座して死を待つより、敢えて死中に活を求める世論』が大きく後押しし、ドイツは第一次世界大戦の疲弊からの脱却に『アーリア人種の優位性に依る世界に冠たるドイツ帝国招来』を標榜するナチスの台頭を許した。日独両国が世界から認知を得るためには、長い時間と労力を要したのは論を待たない。まだ歴史とは言えないが、財源を架空の埋蔵金に求めた子ども手当、具体策のない『沖縄基地は最低でも県外』、コンクリートから人へをスローガンによって誕生した民主党政権が、短期間に瓦解したのみならず日米安保まで危うくしたのは数年前の事である。日本は日米関係の修復に多くの労力と時間を要したことでもわかるように、ギリシャと韓国は、ポピュリズムによって得た国際関係の修復に多くの労力を必要とするだろう。それでも完全に以前の状態に回復することは無いだろうと推測するが。

 このように、安易な人気取り政策には大きな陥穽が潜んでいる。日本でも人気のケネディも大統領就任演説で国民に説いた。『国家が諸君に何を成し得るかを説い給もうな。諸君が国家に何を為し得るかを問い給え』と。

 


少年Aの手記

2015年07月04日 | 社会・政治問題

 少年A(酒鬼薔薇聖斗)の手記「絶歌」が出版されて旬日が経過した。 

 手記を書いたことと出版したことの是非について、識者の評価も分かれているが、自分は読もうとも思わない。なぜなら、少年Aの更生についてまったく信用していないからである。このような考えは、世間的には『受刑者や精神異常者に対する差別』と受け取られるであろうことを確信した上でのことである。古来、『雀百まで踊り忘れず』と云われるように、先天的な嗜好は矯正または変更することは不可能と信じるからである。確かに犯罪者が余生に顕著な社会貢献をすることがあるが、それは後天的な欲求によって引き起こした犯罪を後天的な理性によって克服した場合、または本性に基づく更生の場合であり、快楽・嗜好追及のための犯罪とは別の犯罪の場合であると思う。少年Aが、医療刑務所の厚生プログ゛ラムで自分の本性を克服したのならば、もしくは社会常識を得たのならば、このような手記を書くこともなく、また仮に、自分自身を見つめ直すための衝動で書いたとしても、世に出すことは無かったと思うからである。出版社である大田出版も「売らんかな」の問題本を出版する札付きの出版社であるらしい。報道・表現の自由とは、あくまで社会正義のために保障されたものであり、拝金のために害毒を垂れ流す出版元には、報道者としての品性のかけらも感じられない。

 救いは、販売を自粛する書店や、購入しない図書館等の存在が報道される等、言論・出版界や流通過程に自浄作用が働いていることであると考える。


ギリシャのデフォルトについて

2015年07月02日 | 社会・政治問題

 ギリシャのデフォルトが現実味を帯びてきた。

 自分の知識では、ギリシャは華やかなエーゲ海文明の担い手で、今に名を残す哲学の偉人が思索を深めた国との認識であったが、意外なことに1821年の建国以来200年に満たない国で、日本では伊能忠敬が日本地図を完成させた年でありペリー来航の30年前のことであることに驚いた。経済危機は数年前の赤字隠し発覚を契機に顕在化し、EU諸国から経済再建を強いられ、緊縮策を提示されていた。国家公務員の数が全国民の20%という体質と赤字にもかかわらず充実した福祉等、赤字経済はむべなるかなの感があった。にもかかわらず、経済赤字顕在直後の総選挙で、政権を握ったのは『緊縮政策NO』の政党であった。デフォルトの危機が秒読みの今も、緊縮政策採否の国民投票を行うと宣言し、10日間程度の返済期限延伸に成功したものの財政再建の具体策を採ろうとはしていない。これは民意を盾にしてユーロ圏からの更なる支援を得ようとする姑息な手段としか思えず、『自国民の楯』による綱渡り外交と呼べるのではなかろうか。しかしながら、ユーロ圏のひび割れに乗じて表明された中国の経済支援の申し出を切り札として、中国の地中海進出を喜ばないNATO諸国に踏絵を迫るしたたかさも窺える。

 3000年前のギリシャ人は、単一民族国家として団結するよりも自己の主張と権益を守るために都市国家として繁栄することを選んだ国民である。今回も、小異(私欲)を捨てて大同(緊縮政策)に付くことなくデフォルトを迎えるのではないかと思う。