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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ミサイル発射ボタンの国有化

2025年03月24日 | 防衛
 長射程ミサイルの発射権限を原則的に日本が持つ計画を統合作戦司令部が策定していることが報じられた。
 現在は、射程1000Km超の巡航ミサイルやスタンドオフミサイルを発射する場合には、ハ―ド・ソフトの両面からアメリカの同意が無いと打てない。言い換えれば、政府が国民の生命・財産を守るために防衛出動を決断をしても、その遂行に不可欠の武器使用にはアメリカの同意・協力を得る必要があって、タイムリーに所要の兵器を使用できない可能性があることを意味している。
 現在、西側各国は、EUの有志国連合構想を始めとして、アメリカの背信とも云えるトランプドクトリンに抗すべき方策を模索している。今回の発射権限国有化にも同様の思惑を持った政権の意を受けて、制服側が実質作業に当ったと思うので単に国家安全保障戦略に記載されている「我が国が主たる責任を以て」の具現以上の意味を持つと考えたい。
 しかしながら、この当然すぎる措置についても、ニュースソースが「複数の政府関係者」とされているのは、将に画竜点睛を欠くものに思える。通常、政府関係者とは総理秘書官等とされているので、比較的低位のレベルから観測気球を飛ばすという従来の姑息な手法に依っているのであろうが、武力の行使に繋がる大事の将来であれば、総理大臣、少なくとも官房長官が正式に会見を開いて発表すべき事案と思うし、防衛戦略の如何を国民に説明して理解を求めるのが、シビリアンコントロールの王道である。
 ミサイル発射権限の委譲については、アメリカもおいそれとは応じないであろうことから、石破政権に対する内外圧は大きいであろうが、万が一にも「統合作戦司令部の独走」等の逃げ口上を口にすれば、自ら政治生命を失うことになることを自覚して欲しいものである。
 商品券問題で支持率20%近くまで下落した石破総理であれば、ミサイルの引き金を取り戻す防衛戦略の転換深化は起死回生の一助にはなったであろうに、根回し政争しか学んでいない政治屋には無理な注文であろうか。
 米韓合同軍の指揮権をアメリから取り戻すことは、韓国の悲願であるが、朝鮮戦争後70年を経ても悲願のままである。
 最後に蛇足を、
・「政府高官」:官邸トップの官房長官
・「政府筋・官邸筋」:内閣官房副長官 (政務)
・「政府関係者」:総理秘書官等    が通例であるらしい

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