国民民主党の玉木代表が事実上の分党を宣言したかに見える。
玉木代表は分党已む無しとした理由を「基本政策で一致できない。理念や政策が異なる人が無理やりに党を作っても過去の反省を生かせない」としている。立・国両党の合流について自分は、政治信条や政策を無視した選挙目当ての野合、大同(政見)を棄てて小異(保身)に就く愚挙と断じてきた。合流については、立民への合流を希求する国民民主党議員の多くは比例当選議員であり、次回の総選挙で如何にして立憲民主党の比例名簿上位に記載されて議席を得るかが最大の関心事で、そのためにはできるだけ早く立民に合流する必要があるためと感じていた。立民の枝野代表についても、心底は連合票の分散を防いで支持を一本化させるためだけの合流であろう。枝野代表が5月に発表した政権構想私案(ネット上に発見困難)は、自民党政権の批判が主で具体的な代替方針まで踏み込んだものでは無く、盛り込まれた「小さな政府脱却方針」も日本経済が落ち込んだ今では実現は極めて困難であろうと思われる。政府は中国コロナ対処にGDPの半分近い200兆円の補正予算(全額が国債)を組んで、定額・持続給付金を以て国民生活と産業を支えようとしたが不十分とする意見が多かった。現在、中国コロナ禍が第1波以上の猛威を振るう状況になったにも関わらず政府が緊急事態宣言を出せずにいるのは、緊急事態宣言の発令に伴って派生する給付金の支出が困難であるという現実に直面しているためであろうと考える。もともと歳出に対する税収の割合は60%内外であり不足分は国債の発行で補っていたが、本年度の税収は更なる落ち込みは確実で、中国コロナ禍が長引けば来年度以降も同様の事態で推移する危険性も考えられる。現在でもギリギリの財政状態下にあって、給付金の増額や公費負担の割合が高くなる”大きな政府”に移行することは出来ないのは自明と思われる。国民に更なる支援と給付を約束する枝野政権構想は、財源に埋蔵金を充てるとした民主党政権以上に危険であるように思える。立民の広報官である蓮舫議員等が臨時国会の開催を声高に求めている一方で枝野代表が沈黙を守っている背景には、臨時国会で党首討論を行われた時に与党から財政悪化と大きな政府構想の関係を追及されることを恐れているためであろうと推測する。この点を追及されると、給付の拡大という餌で国民を欺こうとする立憲民主党の論理的破綻が白日の下に晒され、モリカケ・サクラで加点したの党勢は雲散霧消しかねないことを知っているためと思う。
蛸は飢えた場合には自分の足を食らって生き延びると云う。給付金をもっと寄こせという一部の国民と立憲民主党は、明日の日本を食わせろと主張していることに他ならない。間もなく終戦の日、焦土から日本を再建した父祖の多くは明るい未来を子孫に残そうと頑張ったと思いたい。主題に戻れば、玉木代表は「今の日本にこそ政策提案型の改革中道政党が不可欠」と国民民主党の路線継承をも述べている。実現可能な対案を持たない「何でも反対党」が有害無実で、政権担当能力がないことを言外に込めているよう思えてならない。