産経新聞で、韓国憲法裁判所の判決に対する日・中・韓3国有識者の談話を読んだ。
3者ともに「慰安婦合意に違憲判断がなされなかったのは歓迎」とし、別に示された「政治的合意であるので義務は発生しない」との部分については論が分かれているが、韓国の国民大教授「李元徳」氏の言が韓国世論の平均値かと感じた。氏は、慰安婦合意に反して韓国が一方的に解散した「和解・いやし財団」の理事をされていたためか、慰安婦問題よりも徴用工問題の方が影響は大きいと述べている。徴用工問題に対しては、韓国司法は「日本企業に賠償を命じ」、行政は「慰安婦合意や昭和40(1965)年の日韓請求権協定を尊重する」とのみ主張するだけで具体的な対応を示さない」現状から立法府が動くことが現状打破のカギと述べ、具体的には国会議長が提出した「徴用問題法案」による解決が妥当としていると思われる。「徴用問題法案」は、「1+1+1」方式と呼ばれているが、韓国内でも、誰が義務的に参加して誰が自発的または象徴的に参加するのかに対しては意見が分かれているそうで、ネット上の記事によると、氏は「韓国政府と韓国企業は義務的に参加し、日本企業は自発的に参加することが適当」と考えているとされている。自分としては「1+1+1」そのものが不愉快で、文大統領が日韓請求権協定を尊重するならば、100%韓国政府が補償すべきであるが韓国企業が自発的に参加することは自由で、数式で書けば「1+0.x」が許容できるものと考える。氏は最後に「韓国は政権が代わればゴールポストを動かす国という先入観は捨てて欲しい。慰安婦合意や1965年の日韓請求権協定を破棄したことはなく、合意は守りつつ内容更新を求めるもので、明治維新以降に不平等条約改正に努めた日本と同じで、否定的な偏見なしに韓国内の議論を見守って欲しい」と韓国政府と韓国世相を擁護している。氏の年齢から推して、日韓請求権協定によって得た「漢江の奇跡」の恩恵を受けて成長し得た世代であり、光復説以後の貧困と朝鮮戦争の悲惨さを歴史でしか知らない世代である。氏の主張は「先輩が平身低頭して得た資金援助を、今回はやや姿勢を高くして再び」という心底を不平等条約改正という言い回しで正当化しようとする寒々しいものに感じるのは、果たして自分だけであろうか。ソウル大と東大大学院で学び、韓国世論形成に少なからぬ影響力を持つであろう指導層が、自国の自浄努力を放棄して外圧と援助に期待することは、長期的に見て韓国人が韓国人としての誇りを失う原因となるものと思う。加えて独善的で尊大な国民性が加われば、韓国の未来は決して明るいものではないだろうと考える。
今年も余すところ僅かとなりました。経年劣化の身で3か月余の長期と複数回の休載を余儀なくされましたが、1年間のご愛読ありがとうございました。年末年始戦争のために年明けまでお休みを頂きますが再会できることを祈念しております。
それでは皆様、良いお年を。