もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

対韓国制裁始まる

2019年06月30日 | 韓国

 徴用工問題に対抗する処置として、半導体材料の対韓輸出規制が発動されることが報じられた。

 規制の概要は、半導体の製造過程で不可欠の3品目の輸出規制は7月4日から発動し、先端材料の輸出許可申請が免除される優遇制度(ホワイト国)から韓国を除外する措置は8月1日から発動すると報じられている。輸出規制される3品目は、日本が圧倒的なシェアを持っていることから韓国のフラッグ企業であるサムスンやLGにはある程度の影響を与えるものと考える。また、ホワイト国からの除外については、契約ごとに輸出許可が必要となり審査には90日程度かかるとみられていることから相当の効果が期待できる。今回はホワイト国について勉強した。冷戦時(1950~1994年)は、先端技術が共産主義諸国の軍事能力強化へ直結することを防止するため、COCOM(ココム:対共産圏輸出統制委員会)がおかれ、アイスランドを除くNATO加盟国、日本、オーストラリアの17か国が参加していた。ソ連の崩壊によって冷戦が終結しCOCOMの意義が薄れたため、兵器輸出規制はワッセナー協約に引き継がれ42か国(ロシアも)が加盟しており、このうち、特に「友邦」と評価される17か国に対しては軍事転用可能物品に対しても手続きを簡略化しているものである。しかしながら、射撃管制レーダの照射や国際観艦式での露骨な日本外しは、反日風潮以上の韓国軍の敵対行為ともいううべき事態で、ホワイト国からの除外は当然と思う。ここで、対韓制裁を公表した時期について考えると、G20前後のトランプ大統領の日米安保片務性発言後の韓国訪問時という絶好のタイミングであったと思う。文大統領がアメリカに泣きつくにせよ、更なる反日に走るにせよ、トランプ大統領が仲介に動くにせよ、日米朝間の問題として日韓関係を考えるべきとのメッセージは米韓双方に伝わったものと思う。

 自分のような素人には考え及ばなかった先端技術の規制。やや遅きに失した感があるが、韓国に対する独自制裁としては妥当なところと思う。今後は、韓国お得意の”石油製品の瀬取り”的な迂回輸出等が起こらないように監視を厳重にして、制裁を実効性あるものにするとともに、徴用工問題によって生じた日本企業の損失補填に留まらず慰安婦問題等の日韓合意不履行が是正されるまで制裁を継続して欲しと考える。

 米中関税戦争の一時休戦のが伝えられ、板門店で米朝韓首脳が面会したことが速報される等、G20で直接首脳が会談することで回転する歯車があることが実感である。


WTO(世界貿易機関)を学ぶ

2019年06月29日 | 社会・政治問題

 G20でも改革が議論されているWTO(世界貿易機関)について勉強を試みた。

 WTOは、2017年2月に発効した国際機関で、常設事務局はスイスのジュネーブに置かれ164の国と地域が参加している。機関の運営は最高意思決定機関である閣僚会議で行われるが、実務的には一般理事会が行っている。一般理事会の下に、加盟国(地域)間の貿易上の紛争を準司法的に解決するための紛争解決機関(DSB)が置かれている。DSBによる判断は「二審制」で行われ、一審は小委員会で最終審は上級委員会で行われる。小委員会は「パネル」とも呼ばれ、紛争事件の都度、国際通商法の専門家3~5名の委員が選出されて審理に当たる。小委員会の決定に不服の場合に加盟国は7名(各案件ごとの審理は3名)の上級委員会での審理を求める制度となっている。韓国が福島県産品の輸入を禁止していることに対して日本が提訴した事案では、小委員会及び上級委員会のいづれも日本の主張を退けたが、これは福島県産品の危険性を判断したものではなく、韓国の食品安全法が恣意的(反日)に運用されていないとの法解釈に依ったためであり、各委員会では科学的データすら検証していない。このように、国際的な基準や経済原則で審査することなく各国の国内法抵触のみを以て判断する姿勢では、中国の技術移転強要も国有企業への資金援助も知的財産の保護もすべて容認されることとなり、国際的な紛争調停の機能を持っていないとするのが一般的な見方とされている。福島県産品の輸入禁止に対する韓国の対応を適法としたWTOの判断にも関わらず、EUはG20の場で福島県産品の輸入制限撤廃を表明したように、WTOの権威も失われているようである。既にアメリカ等がWTOが国際的な調停機能を失ったとして上級委員の再任や指名を拒んできたため、定員7名であるべき上級委員が、2019年4月以降3名しか在籍せず、残る3名のうち法的な理由で審理への関与を控えなければならない委員が1人でも出た場合、制度は崩壊すると懸念されている。2019年12月にはさらに2名が欠員となるため審議が不可能となり開店休業の状態になるのは必至とされている。

 今回のG20においても、WTO改革の必要性については各国とも同調しているが、改革の方法に対する各国の主張には大きな隔たりがあるようである。中国は、世界基準の商慣習や経済原則を判断基準としない現体制を歓迎して、現体制を維持するための委員の定数や選出方法を提案し、西側諸国は体質・制度の抜本的な改革を望んでいることから、G20でも大きな進展が期待できるものではなく、WTOの消滅・解体・新しい枠組みに発展することは確実とおもえる。


トランプ大統領の安保破棄発言

2019年06月28日 | アメリカ

 トランプ大統領が、日米安保条約の片務性を公共電波で衝き、私的な会話では条約の破棄にまで言及したことが報じられた。

 日米安保条約の片務性については日本でも議論されており、片務性が対米従属の根底で自主外交のためには双務性を持つ条約に改正、安保条約を廃棄して自前の国防政策を採る、等々百家争鳴の状態である。トランプ大統領の発言も国防長官が即座に否定したことから、在日米軍駐留経費の分担増を念頭に置いた陽動と考えられているが、トランプ大統領世代にはアメリカ本土とは遠く離れたアジアで朝鮮戦争やベトナム戦争を戦った歴史と記憶から、当時の反戦・厭戦気分がトラウマとして残っていることは考えておかねばならないと思う。全ての戦争に反対するとした反戦運動は別にして、厭戦気分を支配したのは「本土防衛に直接影響しない極東の地でアメリカ人の血が流される」ことへの不満であり、現在まで受け継がれている潜在的民意と考えるからである。加えて巡航ミサイルの精度向上による戦略・戦術の変化が挙げられる。イラン攻撃を例に考えれば、巡航ミサイルの発射拠点を確保するためには必ずしもホルムズ海峡を含む広範囲の制海・制空権を確保する必要はなく、強力な空母戦闘団によって、狭い範囲の制海・制空権を一時的に確保してアウトレンジ攻撃を行うことでイランの戦意を挫くことが可能と考えているのではないだろうか。このように、アメリカ軍の戦略や戦術変化を考えれば、相対的に海外基地の重要度と存在意義は低下しているとみなければならない。これは、台湾・日本・韓国の防衛についても云えることであり、折に触れて駐留米軍の縮小が取り沙汰される背景にもなっていると観なければならない。締結以来50年以上も、一貫して片務的な安全保障条約が形を変えずに存続していることの方が稀有の例ではないだろうか。国際関係の変化や国力の伸長を考えれば、遥か以前にトランプ発言が出されてもおかしくなかったものであるが、アメリカは日本に平和憲法を押し付けたことの贖罪意識があるのかもしれない。

 トランプ発言を受けて共産党は「安保破棄歓迎」とコメントした。9条反対・改憲・天皇制反対・反資本主義と首尾一貫していた昭和50年代までの共産党では当然のコメントであるが、いつしか護憲や天皇制容認に看板をかけ替えた現在の共産党では、些か直截的すぎるコメントにも思える。9条を守って戦力を放棄した上で安保を破棄した場合、日本の独立をどのようにして保つのだろうか聞いてみたいものである。秀逸のレトリックに富んだ志位委員長から、よもや「国連重視」「非武装中立」は無いと思うのだが。


文大統領の得意技は”丸投げ”?

2019年06月27日 | 韓国

 韓国の文大統領に関する報道が相次いだ。

 1つは、徴用工問題の解決策として日韓の民間企業が資金を出し合って基金を創設するというもので、お世辞にも1国の政府が1年近い検討期間を経て出したものとは思われない。これまでは、司法判断尊重・2国間協議拒否で司法に丸投げし、仕上げは民間企業への丸投げで、日本はもとより国際社会からも「国際合意を“国民情緒法”という民意によって破棄する国」と揶揄されている。2つ目は、アメリカから求められているファーウェイ製品の排除について、同製品の採用は民間企業の選択に任せるとして、これまた民間企業に丸投げしたことである。アメリカから同種の提案・同調を求められた西側諸国は、排除、核心部分の排除、排除しない、と選択肢はさまざまであるものの政府が公式見解を出しているなかで、韓国政府の丸投げ姿勢は際立っている。5Gのモデル特区を世界に先駆けて作ったことやサムスン電機のファーウェイ依存度か突出していることから、政府が泥を被ることを避ける一方で実質的にファーウェイ体制に組み込まれることを是認しているのかもしれない。このことで懸念されるのは、韓国の防空システムが破綻することである。韓国はTHAADやPAC3を配備して中北からのミサイル防御を計っている。THAADやPAC3は自己完結型のスタンドアローンシステムとされているが、全土をカバーする防空システムは相互にリンクさせる必要があり、その中枢である通信網がファーウェイに汚染される疑いをアメリカが持った場合は、ミサイル防御システムの最新ソフトウェアが韓国に提供されないことが予想される。かって特定秘密保護法が無かった日本に対して、アメリカは最新の軍事・戦術情報を供与しなかった時期があり、日米共同訓練でアメリカは、日本にとっては最新であるがアメリカでは数世代前の戦術マニュアルを金庫から引っ張り出して使用したことがあったとも聞いている。この様に韓国のミサイル防衛システムが西側(日米)と連携できなくなれば、喜ぶのは北朝鮮と中国である。勘ぐれば、韓国の防衛システムと防衛を犠牲にしても一時的なサムスン経済の維持と長期的にはファーウェイを仲立ちとしての南中北接近の材料と考えているのかもしれない。

 決められない・泥を被りたくな政権が、陰で糸を引きながら下部機関の決定と糊塗する”丸投げ”は、これまでにもあった。記憶に新しいところでは、巡視船への体当たり中国人船長を那覇地検の判断として釈放した件、不正旅券で入国した金正男氏を身元不明の旅行者として法務省が国外退去させた件。古語が「隠すよりは表れる」と喝破したように、2つの例でも政権中枢の絵図が明らかになった。今回の韓国の対応も、いずれ明らかになるのかもしれないが手遅れにならないことを祈るものである。、



韓国「顕忠日」と「金元鳳」を学ぶ

2019年06月26日 | 韓国

 韓国の朝鮮戦争戦死者を悼む「顕忠日」での文大統領演の要旨を、産経抄で読んだ。

 式典で文大統領が「金元鳳」氏を韓国軍のルーツとして賞賛したと報じられたが、顕忠日金元鳳」の両方とも知らなかったので調べてみた。
 金元鳳氏の略歴を年表風(ウィキペディア引用)に記すと、
1926年 黄埔軍官学校(中華民国;蒋介石校長)入学、社会主義思想を知り朝鮮民族革命党創設に携わる。
1932年 蒋介石の援助で朝鮮革命幹部学校を中国・南京市郊外に設置し、革命要員募集と養成を行なう。
1935年 米州韓人独立党を吸収し朝鮮民族革命党を再結成するも、主要メンバーの脱退などで間もなく分裂。
1937年 中華民国政府高官の会議である廬山会議に招待され、反日のための中朝統一戦線を模索。朝鮮民族革命党、朝鮮民族解放同盟などを糾合し、朝鮮民族前線連盟を編成。
1938年 訓練を重ねた青年たちを糾合して、朝鮮義勇隊を組織・編成し、司令官に就任したが、義勇隊の多くが八路軍(共産軍)に移動したため影響力を失う。
  以後、光復軍副司令兼第1支隊長、臨時政府軍務部長を歴任し、光復(大東亜戦争終戦)後臨時政府の要人たちと共に帰国。
1945年 9月8日、朝鮮人民共和国(韓国)内閣の軍事副将に選任
1946年 2月16日、民族主義民族戦線の共同議長に推戴。
1948年 南北連席会議で北朝鮮を訪問した後、韓国に帰還せずそのまま北に滞在し、最高人民会議第1期代議員として朝鮮民主主義人民共和国政府樹立に参加。
1950年 
朝鮮戦争勃発以後は、北朝鮮で政治活動をし労働相、朝鮮労働党中央員、最高人民会議常任委員会副委員長などの高い地位を経験
1958年 北朝鮮政府から労働勲章を授与されたが、後に(時期不明)失脚・粛清されたとされる。

 文大統領は、金元鳳氏を韓国軍のルーツと賛美したが、彼の略歴で見る限り反日闘士というよりも共産党闘士と呼ぶべきで、特に北朝鮮の建国や朝鮮戦争遂行に加担したことを考えれば、朝鮮戦争戦没者の墓前で賛美する人物とは思われない。北の政体に吸収される形での南北統一を目指すかの文大統領にとっては、格好の人物であり賞賛の対象であろうが、流石に韓国内でも疑問の声が上がっているようである。朝鮮戦争は、1950年6月25日に金日成の北朝鮮軍が毛沢東とスターリンの支援と同意を受けて、事実上の国境線となっていた38度線を越えて韓国に侵攻したことが世界的な共通認識であるが、6年前の調査では韓国高校生の7割が「朝鮮線戦争は韓国(国連軍)が仕掛けた「北侵」」と回答しているらしい。曖昧で不正確な歴史認識を持った尊大な国民を率いて、文大統領は韓国を何処に導こうとしているのだろうか。