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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

暫定税率廃止論が分からない

2025年04月03日 | 国政・行政
 昨年12月に自公国3党で合意したガソリン税の暫定税率部分の廃止であるが、実施時期が決まらないままに予算案の修正・年収の壁引上げ・果てには商品券問題と続いて何時しか政争の中に埋もれてしまった感があったが、どっこい埋め火として生き残っており、会期末までの国会審議、会期末恒例の内閣不信任案提出に至る野党団結のツールとなって息を吹き返した。
 1974年に道路整備の財源確保の目的税として設けられた暫定税率であるが、何時しか一般会計に組み込まれて現在に至っている。また、暫定税率には「トリガー条項」があって、ガソリン価格が160円/ℓを3カ月連続で超えた場合には自動的に暫定税率を免除(中止)する制度となっているが、東日本大震災後の復興財源確保のため、この条項は現在凍結されている。
 暫定税は、1ℓあたり25.1円を上乗せするので、廃止となれば190円台で推移している小売価格が165円程度になると期待する向きもあるが、実際は石油精製業者が出荷する際に税を支払っているために、小売価格に反映されるのは早くても廃止決定後3か月以上先とされており、現在の人件費や原油価格の高騰を考えれば、小売価格に反映されるのは10円程度ではないだろうか。標準家庭におけるガソリン消費量は年間で500ℓ内外とされているので、暫定税廃止後の「潤い」は5千円程度と僅かな額に過ぎない。ガソリン価格が下ることで、物流の安定と輸送コストの低減を挙げる人もいるが、現在の物流の混乱と輸送費の高騰は、主としてネット購入商品の輸送量増大とドライバー不足に起因するもので、ガソリン価格が下がることでは解決しないように思える。
 そもそも税に関する議論は、「その税と税率が、国家運営に必要か否か」で進められるべきと思うが、暫定税の廃止論議を眺めると、冒頭には「目的税として暫定的に定めた税が、今もって通用するのはおかしい」という制度の欠陥が挙げられるのが一般的である。成る程、必要な財源ではあるが暫定と云う言葉が気に入らないならば、暫定を削って恒久税とすれば納得されるのだろうかと鼻白む思いがする。
 半恒久化した感のあるガソリン暫定税であれば、その喪失は公共業務に少なからぬ影響を与えるだろう。恒久財源を探さないままに走り出した給食費と高校教育の無償化に加え、ガソリン暫定税を廃止すれば、予算の歳出入バランスは極度に悪化するだろう。
 中学校社会では、国家経済は「入る(歳入)を測って出ずる(歳出)を制す」と教わったが、現在の「出ずるを測って国債を制す」は有ってはならないように思えるのだが。


野党人の限界

2025年03月07日 | 国政・行政
 石破総理の言行不一致や現場無視の姿勢が問われているかのようである。
 予算委員会で共産党の小池議員から、日朝交渉における2件の外交文書(所謂田中文書)紛失問題を問われ、既に紛失を認めた安倍政権の閣議決定を漸くに踏襲する答弁を行った。田中文書に関して石破氏は在野時代に「内閣は良く調査して説明すべき」と安倍氏を繰り返し非難していたことを小池氏からも追及されたとされる。
 施政方針演説では、持論である「アジア版NATO構想」・「日米地位協定改定」・「日朝連絡事務所開設」に触れず首相の公式な施政方針としなかったものの、「アジア版NATO構想」と「日朝連絡事務所開設」に関しては秘密裏に検討を指示したとされている。しかしながら、「アジア版NATO構想」は集団安全保障の中核には核兵器若しくは強大な通常戦力保有国が必要なことに加え、アメリカの不信感を招き日米安保を危殆に曝す危険性が指摘され、国連決議に違反する「日朝連絡事務所開設」は拉致被害者からも反対されている。
 日米首脳会談では、唐突にC17輸送機の導入(購入)をトランプ大統領に約束したが、既に輸送機選定の過程で積載量には優れるも長大な滑走路を必要とするC17は日本での運用には制約が多いことが結論付けられており、在野時代の石破氏持論の空自輸送力の強化には寄与しないとされている。さらには、少数他機種の運用が、ロジスティック全般を圧迫して継戦能力を低下させている現状と装備体系のイロハを御存知なかったようである。
 これらの齟齬や不一致は、長らく党内野党であった石破氏が自分の存在感を示すために現政権に批判的なスタンスを取る必要から生まれたものであろうが、在野の雌伏期間をもう少し有意義に過ごせなかったであろうか。
 野党人は、言行に責任が要求されないために好き勝手ができる。鳩山民主党は、在沖米軍基地を「最低でも県外」・八ッ場ダムを標的に「コンクリートから人へ」と公約して政権を得たが、いざ政権の座に就いて現状を知ると空論はたちまちに瓦解した例もある。
 一連の行為を今様にはブーメランと表現するが、かっては「天ツバ」と略され、「空に向かって唾を吐いても天に届かず、自分の顔を汚すだけの結果にしかならない」意味であるが、石破氏や鳩山氏に代表される野党人が負わなければならない宿命であるように思える。
 「天つば」を勉強した。
 Wikipediaでは原文を《 仏教最初の漢訳経典「四十二章経」にある「悪人の賢者を害するは、猶し天を仰いで而も唾せんに、唾、天を汚さずして、還って己が身を汚し、風に逆らって人に塵くに、塵、彼を汚さずして、還って身に塵するが如し」》と紹介されていた。



高校教育無償に思う

2025年03月05日 | 国政・行政
 過半数割れ与党の予算案が、野党のバラマキ政策の歳出化を人柱にして衆院を通過した。
 維新の主張する高校教育の無償化も人柱の一体であるが、素直には頷けない点が多く、3日の衆院予算委員会で自民の山田賢司議員が質した内容もその一つである。
 質問・要望の要旨は、「現地の公立高校に就学する在外邦人は対象外であるのに、日本在留の外国人に無償化が及ぶのは可笑しい。外国人は対象外とすべき」であるが、その通りであると思う。さらに「無償化という言葉を使用するが「税負担化」であって国民の理解が得られない」とも発言されている。
 税金の使途は公平であるべきで、中卒で就職し汗水垂らす人間からは所得税を徴収し、その一部が青春を謳歌するだけの粗悪高校生にまで、高額の私立高校・外国人生徒にまで、支払われるのは著しく公平性に欠けるのではないだろうか。
 高校教育の税負担化については、その他にもいくつかの問題点が指摘されている。
 制度の負の面を過大に予想して徒に”膾を吹く”のは好きではないが、高額な授業料の故に諦めて公立を選んでいた対象者が私立高校に流れ、公立離れが進むだろうとの指摘もある。維新の吉村共同代表は指摘に対して「それはそれで公立高校の少数精鋭化、きめ細かな教育に繋がる」としているが、果たして。
 更には、私立高校が、授業料の値上げに踏み切る可能性も指摘されている。
 人頭定額支給の公費では足りないが、さりとて無償化制度と銘打たれたからには授業料の値上げとは出来ず、〇〇費、XX金の名目で保護者に負担を求めるケースが出てくることは火を観るよりも明らかであるように思える。
 年収の壁引き上げを迫った国民民主党幹事長が、「財源捻出は政府・与党の責任」と云い放ったのは、つい先日である。財源・収支・効果などを度外視して人気取りの人柱を求める野党の姿勢は、高校教育の無償(税負担)化においても政策立案・波及効果の研究・制度設計に対する無能ぶりを如実に示しているように思えるが、果たして。



給食費の無料化

2025年02月25日 | 国政・行政
 義務教育における給食費無料化が実現するようである。
 無料化によって、これまで問題視されていた給食費を払えない世帯・児童、物価高による献立の貧弱化、地方自治体の赤字などの救済・健全化に多くの改善が図られることだろう。唯一、癪に触るのは「十分な余力がありながら払わなかった下種ども」の行為を追認する形にもなることであるが。
 昨日、連休逗留中で少食の孫との食事中の会話。
爺「来年度から給食費が無料になるかも知れない」
孫「ヤッタァ!!」
爺「そうか、子供心にも親の財布を気にしていたのか」
孫「ううん。お母さんからの”給食費を払っているのだから、残さずに食べなさい”というプレッシャーから解放される」
爺「それなら、ここの食事を有料にして、お母さんの遣り方が続けられるようにしなければなぁ」
孫「止めてよ。折角光を感じたのに」
 ともあれ、スナック菓子、清涼飲料水、ジャンクフードの偏った食生活で、健全な発育が危惧される発育期の児童・生徒に、1日に1食とはいえ栄養バランスのある食事を提供することには、税金を使う価値があるように思える。

創作劇台本

2024年12月22日 | 国政・行政

 創作劇の台本を書いてみた。登場する人物や団体は実在しない架空の設定であることは当然である。

 老舗大手”自民産業”雇われ社長である石破さんは、己の手腕不足による業績不振で会社の規模を大きく損ない、他社の支援なしでは会社を維持できない状態になった。
 途方に暮れた石破さんは、息抜きのために酒でも飲もうと出かけたが、途中で転びそうになってしまった。手を差し伸べてくれたのは国民と云う名のバー経営者の玉木さんで、「うちで休んで行きなさいョ」という優しい言葉に釣られてバーに入った。看板に書かれている「国民」という名に安心してのことであるが、出てきた請求書は103万円で但し書きには将来に亘って払い続けることと書かれていた。なじる石破さんに対して玉木さんは平然と「店名を国民とは略称していますが、本当は国民民主で国民のことはあまり気にしていません」と嘯く有様であった。
 金がないという石破さんに玉木さんは「転びそうな貴方を扶けた自分に金を払うのは当然。金をどう工面するかは貴方の勝手」と、店内に設置されている国債発券機にチラチラと目を向けながらニベもない。
 棟続きで古物商を営む維新堂店主は騒ぎにカモネギの匂いを嗅ぎつけるや駆けつけて、次にはウチが援けますので、大学生の息子の教育費を無料にし、自分の控除も引き上げてと頼み込んだ。
 維新堂に対する石破さんの姿勢から、「もっと取れる」と踏んだ玉木さんは、金額を178万円に書き換え、但し書きにもガソリン税の暫定部分廃止を追加した。将にぼったくりバーの手口である。
 騒動に驚いた会社の会計担当者が駆けつけて、「一時金ならともかく将来に亘ってこんなに取られては会社が潰れます。ガソリン税はボロボロになりかけている道路を補修するために是非必要です」と繰り返しても、玉木さんと維新堂は聴く耳を持たない。
 原因を作った石破さんはと云えば、人の良いだけが取り柄で争う気概もく、石破構文と揶揄される意味の無い原則論や理想論を繰り返して社長に居座る方策に汲々とするのみで、会計担当者の困惑をよそに処理を部下に丸投げにして決断しようとしない。
 三軒隣で老舗の立民商事は、一時的な業績向上にはしゃいでいたが玉木さんと維新堂が手にした獲物を羨ましく思うものの、これまでの放漫経営・寄り合い所帯の体質が災いして、指をくわえるしかない様子。
 騒ぎを報じる新聞・テレビも、一頃の財政再建は忘れたかのように、”手取り何万円増”と他人の懐勘定をのみ報じるのみである。

 ここまでが前編であるが、後編では、石破さんが愛想尽かしされて社長の座を追われるのか、道路維持、教育・子育て支援という巨額国債の発行に手を染めるのか、立民商事の反撃は・・・と盛り沢山である。乞う御期待。