goo blog サービス終了のお知らせ 

もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

進水式考

2025年03月22日 | 天皇・皇室
 愛子内親王殿下がジャパンマリンユナイテッド磯子工場(横浜市)で行われた公船の命名・進水式に臨まれた。
 進水したのは文科省所管の国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が運用する極域研究船で、式典では「みらいⅱ」と命名された後に内親王が支綱を切断されて進水した。
 JAMSTECの進水式にはこれまでも清子内親王、佳子内親王が御臨席されたと知ったが、これ以外の公船の進水に皇族の何方が御臨席されたのかは知ることができなかった。
 進水式は、建造船台から滑り落ちる船台進水と建造ドックに注水するドック進水に分けられる。近年では、艦船の大型化等によって船台進水は少なくなっているが、支綱切断とともにくす玉が割れて船が滑り始める船台進水の方が遥かにドラマチックである。自分も本来ならば船台進水の数日前には着任できる一次艤装員に指名されたものの、後任者の都合で進水式までに赴任できずという残念の経験がある。
 自分が入隊直後に勤務した呉では、海軍工廠跡地を自衛隊係留桟橋゚と呉造船所が受継いだために両者隣接していたこともあってか、造船所で民間船の進水式がある場合には進水と同時に汽笛を鳴らして「仲間の誕生」を祝うという麗しい風習があった。後年、検査修理中の三菱下関造船所では建造船オーナーから船台進水式に招待されたこともあった。
 船は女性であるとして女性代名詞で呼ばれる慣例から、進水は女性の手によってなされるのが一般的である。豪華客船クイーンエリザベスは女王陛下が進水させ、アメリカの歴代空母は大統領夫人が進水させる。日本でも、民間船はオーナー夫人が支綱を切断することが多いと聞いているが、残念なことに護衛艦では、概ね防衛副大臣が支綱を切断して進水させるので、艦は誕生時から祝意に薄い鬼子的な扱いをされている現状である。内親王による進水は無理としても、せめて総理夫人によって進水出来ないだろうか。とはいえ、自衛隊の最高指揮官である事すら知らなかった鳩山由紀夫氏とその夫人による進水には大きな疑問が残るが。
 JAMSTEC(ジャムステック)についても勉強した。冒頭にも書いたように文部科学省所管の国立研究開発法人で、調査船や潜水船などで海洋、大陸棚、深海などを観測研究するとともに、スーパーコンピュータで気候変動や地震などに関するシミュレーション研究をする機関であることを知った。
 保有している有人潜水調査船「しんかい6500」は有名であるが、その他にも深海潜水調査船支援母船「よこすか」を始め、「みらい」「かいめい」「新青丸」「ちきゅう」「白鳳丸」各船を含む多くの研究所を持っている。今回進水した「みらいⅱ」は砕氷能力も持っているとされるので、北極航路と新北前舩の開発に大きく貢献するもののように思える。
 ともあれ、「未来ⅱ」の将来に栄光あれ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。