日本国に対してなされていた慰安婦賠償請求でソウル地裁が日本敗訴と判決したことが速報された。
日本政府は、訴因が国際慣例となっている「主権免除」に該当し「門前払いすべき事項」として審理にも応じていない。さらに同種別件の賠償請求が同じ地裁で13日に判決されるが、そこでも日本敗訴は免れないことと思われる。日本政府は、主権免除の国際慣例と日韓請求権合意から裁判自体の正当性が無いとして裁判に応じてすらいないために控訴することは考えられないので1審判決が確定し、以後韓国国内の日本政府保有財産の差し押さえ・現金化にまで発展して、徴用工訴訟と同じ経過をたどることになると考える。韓国国内に大使館等の公館以外の日本政府資産があるのかどうか知らないが、貪欲な韓国人であれば日本の印象を貶める以外にも実利を得る方法を知っているのだろう。
もはや法治国とは言えない韓国の司法と民意の後進性はさておき、日本政府が主張している「主権免除」について勉強してみた。
Wikipediaでは、【主権免除とは、国際民事訴訟において、被告が国または下部の行政組織の場合、外国の裁判権から免除されるという国際慣習法で、国家免除、裁判権免除とも呼ばれる。】とあり、更に【19世紀以降、「全ての活動に対して主権国家が他の国家の裁判権に属することはない」という絶対免除主義原則が確立したが、20世紀にはいると国家の活動を「権力行為」と「職務行為」に分け、免除の適用範囲を前者についてのみ認める制限免除主義が有力となっている。】とされている。日本においては、1928(昭和3)年に大審院が絶対免除主義をとる判断を下して以来最高裁判所も判例を引き継いでいたが、2006(平成18)年に制限免除主義を採ると大審院の判例を変更したとされている。
また、主権免除という国際慣例の成文化については、2004(平成16)年に「国家及び国家財産の裁判権免除に関する条約(国連裁判権免除条約)」が採択され、日本も署名・批准したが、同条約は2010年の時点で署名30カ国、批准11カ国に留まっているため、条約(30か国以上の批准で発効)としては効力を持たない現状であり、今もって国際慣例としての域を脱していないようである。(韓国は未批准)
南北関係破綻、検察改革の混乱、コロナ再拡大等で、就任以来最低の支持率36.6%でレイムダック状態に追い詰められた文大統領は、与党を使って収監中の朴槿恵・李明博両大統領への恩赦をちらつかせたりと人気回復策に躍起であり、今回の地裁判決は渡りに船と小躍りしているかも知れない。一方で、地裁判事は実利を期待して政権に阿る判決を出したのかも知れないし、それ以上に実利で司法の良心を売り渡したのかも知れない。何でもあり、御上の恣意的な司法判断を甘受する韓国社会であれば、国民をとしか見なかった李朝に郷愁以上の正当性を感じるのも理解できる気がする。