ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

最近読んだ本の短評

2003年07月28日 | 読書
 動物化するポストモダン:: オタクから見た日本社会
   東浩紀著. -- 講談社, 2001. -- (講談社現代新書 ; 1575)

 →ものすごく読みやすい。TVゲームやアニメ、コミックなどのオタク文化を分析して、ポストモダンな社会とは何かを呈示する。豊富な図表も見やすく、これはお奨め。


  泥の河 ; 蛍川 ; 道頓堀川 : 川三部作   宮本輝著. -- 筑摩書房, 1986. (ちくま文庫 ; み-3-1)

 →宮本輝の泡立つような珠玉の感性がつまっているのは、「泥の河」だと思う。情景の美しさでは「蛍川」。大阪の、というか日本の戦後史がどろどろとした道頓堀川に煌くように描かれた「道頓堀川」も捨てがたい。いずれも読者を物語世界に引き込む筆力が感じられる作品。ついでに、宮本作品で、

 
  錦繍
    宮本輝著: 新潮社, 1985.5 (新潮文庫 ; 3401, み-12-2)

 →元夫婦だった男女の往復書簡からなる、書簡文学。風景が美しく、音楽が美しく、それらは宮本輝の選び抜かれた真珠の粒のような日本語によって語られる。しみじみとした味わい、愛と憎しみの中でどうしようもなく離れていく二つの人生の悲しみと、互いへの思いやりと深い愛情に感動する。涙度やや高し。


 映画の構造分析 : ハリウッド映画で学べる現代思想
   内田樹著 晶文社 2003.6

 →毎度おなじみ内田先生の本。やはり映画好きにはたまらなく引き込まれていく題材ですな。取り上げられた映画を見たくなるのは必定。映画を堪能し、現代思想にも啓蒙されるというおいしい本。ただし、映画の内容に関してはネタバレがあるので要注意。内田先生は結局のところ、ジェンダー論がお好きと見える。
 葉っぱ64(栗山光司)さんがbk1書評をつけておられるので大いに参考にしてください。