初めての海外旅行は社会人になった26歳の時で、訪れたのはエジプトとギリシャだった。以降、海外旅行に嵌まり、「長期休暇の度に行く。」という感じが、30代後半位迄続く。
当時、海外に行って良く思ったのは「物価が安いなあ。」という事。円高だった事も大きいが、飲食物では「こんなに量が多いのに、日本の半分~3分の2位の価格だ。」みたいに感じる事が結構在った。
今は知らないが、当時の中国では「自国民向けの価格」と「外国人向けの価格」が存在していた。外国人向けの価格ですら安く感じられたのに、自国民向けの価格はもっと安かったので、「不公平だなあ。」と思わなくも無かったっけ。
円安が止まらない中、日本へのインバウンドが増加している。日本人の感覚からすれば「日本の物価は高過ぎる。」と思うが、余りの円安に加え、自国での収入が日本と比べると概して多い外国人にとっては、「日本は、何でも安い。」という事になるのだろう。
以前、池上彰氏が興味深い話をしていた。2022年秋、取材でニューヨークに滞在した彼は、拉麺と餃子のセットを“普通の店”で頼んだ所、チップも含めると(当時の為替レートで)5,400円位したので、とても驚いたそうだ。日本人の感覚からすると「べらぼうに高額!!」と思うのだが、日本の平均時給が「1,113円」なのに対し、例えばアメリカだと「2,331円」と倍以上。其れに加えて極端な円安なのだから、「日本は、何でも安い。」と外国人が感じるのも当然か。(日本で拉麺と餃子のセットが1,500円位で在っても、外国人からしたら「滅茶苦茶安い!!」となるのは理解出来る。)
そんな状況なので、「日本人向けの価格」とは別に「外国人向けの価格」という“二重価格”を設定する店が、日本で出て来ているそうだ。「日本人よりも概して稼いでいるし、円安が止まらないのだから、二重価格も仕方無い。」と理解を示す外国人が居る一方で、「同じ商品なのに、外国人に高い値付けがされるって不公平。」と否定的な考えを持つ外国人も居ると言う。
繁忙期には高い値付けがされたりと、同じ商品でも値段が変わったりするのだから、二重価格自体は理解出来る。又、日々物価の高さに苛立たされている身からすると、「滅茶苦茶稼いでいるのだし、円安の恩恵を被っているのだから、外国人向けの価格が在っても良いのでは?」という思いが無い訳では無い。でも、自分自身が大昔、「二重価格って不公平だなあ。」と思った事を考えると、否定的な考えも理解出来る。