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Jerry Donahue / Telecasting (1986)

2006-02-19 08:43:03 | Music > Country

Jerry Donahue - guitar, bass
Dave Peacock - banjo
Marc Donahue - keyboard
Dave Pegg - bass
Gerry Conway - drums
Ric Sanders - violin
Freebo - bass
John Jorgenson - mandolin

etc.

久しぶりにギタリストなアルバムを紹介しようかなぁ~なんて思いまして、何にしようか思案していたんですが、ちょうど boostermania さんのところで The Hellecasters の名前を見かけ、即 Jerry Donahue に決定。安易といえば安易ですがキッカケとはそんなもの(笑)。でもいつか取り上げたいと思っていたギタリストなんですよね~。

熱心なギター・ミュージック・ファンであれば、どこかで超絶テレキャスター・トリオ The Hellecasters の名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。「カントリー色の強い楽曲は苦手だがカントリー・ギターそのものには興味がある」という方にはピッタリのインスト・バンドです。今回はそんな HELLECASTERS のメンバーの一人 Jerry Donahue が 1986年にリリースしたソロ・アルバムを紹介したいと思います。Jerry は英国トラッド・ロック・バンド Fairport Convention の後期を支えたアメリカ人ギタリストで、FAIRPORT 加入前は Sandy Denny 擁する Fotheringay にも在籍していました。常識ではとても考えられないようなベンディングを始め、数々の高度なカントリー奏法を極めたギタリストですが、楽曲は意外にもカントリー色が薄いのが特徴です。名手 Albert Lee とは、彼が Heads, Hands & Feet の頃からの友人で、HHF のデビュー作には彼の名前もクレジットされています。この二人は僕自身カントリー奏法にハマっていた頃、最も影響を受けたギタリストですね。

オープニングの "Tokyo" は Jerry が FAIRPORT 時代に発表した曲のセルフ・カヴァーで、オリジナルは 1973年リリースの "Nine" というアルバムに収録されています。タイトルから察するに東洋を意識したものと思われますが「クロマティックな音階が印象的」という程度で東洋人の耳にはそれほど東洋的には聞こえてきません(笑)。ちょっとしたトリビアになりますが、Jerry は過去に Sylvie Vartan のバックで来日したことがあるそうで、"Tokyo" はそのときに書いた曲なんだとか・・・(笑)。それはさておき Jerry のプレイを語る上では避けられない代表曲の一つであることは間違いないでしょう。パッと聴いた感じは単音弾きに聞こえますが、実は複弦の鳴りをうまく利用したカントリー風のリックです。昔、FAIRPORT のヴァージョンで耳コピに挑戦したことがありますが、ポジショニング、弦の選び方などで結構苦労しました(笑)。

全編にわたり、ため息が出るようなスーパー・リック満載の本作ですが、やはり聴きどころは Jerry Reed の名曲 "The Claw" ではないでしょうか(コンポーザーのクレジットはファミリー・ネームの Hubbard)。イントロにオリジナルの "The Beak" を加え、かなり速いテンポにアレンジされています。それでもあっさりと高速ロールを決めてしまうあたり、さすがという他ありません(笑)。またブレイクでは James Burton ばりのチキン・ピッキングも披露。日本のロック系ギター雑誌ではカントリー風のフィンガー・ピッキングのことを総称してチキン・ピッキングと呼んでいるようですが、本来はカントリー・ギター奏法の一つであり、フラット・ピックで中指や薬指を使うことを指すわけではありません。ちなみにこの呼び名は「コッコケー」とニワトリの鳴き声に似た音を出すことから付けられたとされています。例えば Dixie Dregs の "Ice Cakes" に出てくるメイン・リフはチキン・ピッキングを応用したものですが、Eric Johnson の名曲 "Cliffs Of Dover" のイントロで聴けるフィンガー・ピッキングのフレーズは正確にはチキン・ピッキングと呼びません(笑)。チキン・ピッキングに関しては Jose さんのサイトで詳しく解説されていますので是非一度ご覧になってみてください(こちら)。

何かと異ジャンルに関連付けたくなる ghostwind ですが、このアルバムでは The Corrs のデビュー作でもお馴染みのトラディショナル曲 "Toss The Feathers" がメドレーに組み込まれています。CORRS 版はかなりポップでコンテンポラリーなアレンジでしたが、こちらはカントリー風のビートに乗せて Jerry のギターと Ric のヴァイオリンが絶妙なユニゾンを聞かせてくれます。また同メドレーでマンドリンを弾いているのは、後に Jerry と The Hellecasters を結成することになる John Jorgenson です。

参加ミュージシャンについても少し触れておきますね。Dave Pegg, Gerry Conway, Ric Sanders は FAIRPORT 時代の旧友。Freebo は Bonnie Raitt のバンドに在籍していたことで知られるベーシストで、Jerry とは古くからの付き合いだそうです。Little Feat の Paul Barrere や DREGS の T Lavitz らと結成した The Bluesbusters で二枚のアルバムをリリースしています。DREGS ファンはこちらも要チェックですね(笑)。本作でバンジョーをプレイしている Dave Peacock は元々ギタリストで、元 Heads, Hands & Feet の Chas Hodges と組んで Chas & Dave というデュオで活動中です。

"Telecasting" は当時イギリスのみの限定発売だったそうで、残念ながら現在では非常に入手困難な一枚になっています。しかし嬉しいことに 1998年になって、新たにリズム・セクションを録り直し、プロダクションの飛躍的な向上が図られたリニューアル版 "Telecasting Recast" がリリースされました。こちらであれば今でも比較的入手しやすいかと思います。また本作に収録されている "The Beak / The Claw" と "King Arthur's Dream" の二曲は The Hellecasters のデビュー作でも取り上げているので、そちらを聴いてみるのも手かもしれません(笑)。以下は "Telecasting Recast" のジャケットです。



あの Danny Gatton に「惑星一のベンダー男」と言わしめた Jerry Donahue。機会がありましたら是非聴いてみてくださいね。


The Hellecasters Official Website:
http://www.hellecasters.com/


"Telecasting Recast" アルバム試聴(amazon.com)
http://www.amazon.com/gp/product/B00000G14E/102-2167133-0594507

Maura O'Connell / Helpless Heart (1989)

2005-12-27 15:12:18 | Music > Country

Maura O'Connell - vocal
Bela Fleck - banjo
Mark O'Connor - guitar, bass
Russ Barenberg - guitar
Jerry Douglas - dobro
Sam Bush - mandolin, fiddle
Stuart Duncan - fiddle
Tim O'Brien - backing vocal
Nanci Griffith - backing vocal
John Cowan - backing vocal
Edgar Meyer - bass, keyboard
David Grisman - mandolin
Howard Levy - harmonica
Rusty Young - Pedal Steel
Timothy Britton - uillean pipes

with John Jarvis, Bob Mater, Grey Larson, etc.

本作の主人公 Maura O'Connell は Dolores Keane や Mary Black を輩出したことで有名なアイリッシュ・トラッド・バンド De Dannan に在籍した経歴を持つアイルランド生まれの女性シンガーです。De Dannan 脱退後はナッシュビルに移り住み、数多くのカントリー・ミュージシャンと交流を深めています。先日紹介した Steve Wariner のクリスマス・アルバムでも素晴らしいハーモニー・ヴォーカルを聞かせてくれました。私にとっては久しぶりに彼女のアルバムを聴くいいキッカケになりましたね。

"Helpless Heart" は数多い彼女のアルバムの中でもお気に入りの一枚なんですが、まずはクレジットを見てビックリです。プロデューサーを務める Bela Fleck が自身の人脈から集めたと思われるミュージシャンがズラリと名を連ねているんですよね。一人一人紹介していたらキリがないほどスゴイ顔ぶれです(笑)。カントリーやブルーグラスが好きな方にとってはお馴染みの人たちばかりですが、一人だけ面白い人が参加しているので紹介させてください(笑)。

本作でハーモニカを吹いている Howard Levy は Bela Fleck & The Flecktones のオリジナル・メンバーであり、ロック・ポップス界からジャズ・フュージョン界まで幅広く活躍するミュージシャンです。過去に Steve Smith, Jerry Goodman, Oteil Burbridge の三人と組んで Tone Center レーベルから "The Stranger's Hand" というハード・フュージョンのアルバムをリリースしたことがあります。超絶技巧ファンの方は是非チェックしてみてください(笑)。

ではアルバム紹介にいきます。オープニングの "Can't Stop The Girl" から Bela の軽快なバンジョーが踊るポップ・グラス・チューン。かなり NGR 的でありますな~(笑)。・・・なんて思いきや、ブレイクではいきなりイリアン・パイプとフルート、そしてバンジョーのユニゾン! まさにアイルランド meets ナッシュビルなわけです! ただ試聴サンプルではここまで辿りつかないんですよ(残念)。このケルティック・フレーズはエンディングでもう一度やってきますが、何故かフェイド・アウト。もっと聴いていたいぞ~(笑)。ちなみにこの曲はブリティッシュ・トラッド・フォーク界の女性シンガー Linda Thompson のペンによるもので、オリジナルは彼女の 1985年のアルバム "One Clear Moment" に収録されています(未聴)。

一曲目はどちらかというと挨拶代わりの元気ソングでしたが、アルバム本来の持ち味は二曲目以降のアコースティックなサウンドで彩ったヴォーカル・オリエンテッドな曲にあると思います。カントリー、ケルト、フォークといった要素が楽曲のスタイルとしてぶつかり合うことなくほどよくブレンドされ、とても自然に表れているところが本作の真の魅力ですね。

タイトル曲でもある "Helpless Heart" はアイルランドが世界に誇るシンガー・ソングライター Paul Brady の曲。バックに流れる Jerry Douglas のドブロがいい味出してます。ちょっぴりアンニュイなムードの漂う "Summerfly" では Sam Bush が落ち着いた味わいのマンドリンを弾いています。Nanci Griffith 作の "Trouble In The Fields" は本作での一番のお気に入り。Maura と Tim O'Brien の美しいハーモニー・ヴォーカルが味わえます。作者の Nancy 本人も "Western Highway" でチャーミングな歌声を聞かせてくれます。牧歌的でとても綺麗な曲ですね。"Cast A Long Shadow" では Howard Levy と当時若手フィドラーの筆頭株だった Stuart Duncan が哀愁を帯びたソロで Maura のヴォーカルを好サポート。"Only A Fool" と "Isn't It Always Love" は Karla Bonoff の曲。ラストの "You'll Never Know" でマンドリンを弾いているのは大御所 David Grisman です。

ついついこの手のアルバムは各曲の参加ミュージシャン紹介になってしまいますが、自分向けの備忘録も兼ねているのでご勘弁を・・・(笑)。ミュージシャンつながりで音楽を楽しむ方には思わぬ検索でヒットするかな~なんて思ったりもしています(笑)。また SSW に興味のある方は、オリジナルと聴き比べてみるのも面白いかもしれません。そういえばこのアルバム、1987年に "Western Highway" というタイトルで Third Floor というマイナー・レーベルからリリースされていたそうです。


Maura O'Connell Official Website:
http://www.mauraoconnell.com/


"Helpless Heart" アルバム試聴(cd Universe)
http://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=1100336

Vince Gill / Let There Be Peace On Earth (1993)

2005-12-25 12:05:41 | Music > Country

Vince Gill - vocal, guitar
Dean Parks - guitar
Carlos Vega - drums
Stuart Duncan - fiddle
Charlie McCoy - harp

Leland Sklar, Steve Gibson, Shane Keister, John Hughey, etc.

Steve Wariner と来れば、次はこの人でしょう(笑)。というわけで今回は AOR カントリーの第一人者としてシーンをリードする Vince Gill が 1993年にリリースしたクリスマス・アルバム "Let There Be Peace On Earth" を紹介したいと思います。Steve のときのように多彩なゲストは迎えていませんが、職人肌のミュージシャンたちが Vince をしっかりとサポートしています。

オープニング曲は本ブログで三度目の登場となる "Do You Hear What I Hear"。盟友 Steve のアルバムでも取り上げられていました。アコギやストリングスをバックにしっとりと唄われています。『あの曲』に似ているという話はもういいですね(笑)。ジャズ・ヴォーカル調の "Have Yourself A Merry Christmas", "I'll Be Home For Christmas"、AOR 調の "One Bright Star" などは Vince のヴォーカルに焦点を合わせたクリスマスらしい楽曲。誰もが知っている "Santa Claus Is Coming To Town" はゴキゲンにスウィングするギター・インストにアレンジされていて、アルバムの中でとてもいいアクセントになっています。『グリーンスリーヴス』が大好きな私は "What Child Is This" の収録も嬉しいですね。Vince の甘く切ないヴォーカルが心に沁みます。名曲 "White Christmas" は前半がエレクトリック・ギターによるインスト、後半がヴォーカルという二部構成で Vince の魅力的な二つの顔が同時に楽しめる一曲です。表題曲の "Let There Be Peace On Earth" は愛娘 Jenny とのデュエット曲。幸せそうな親子の顔が目に浮かびます。Randy Goodrum 作の "Til The Season Comes Around Again" は Amy Grant や Kenny Rogers, Reba McEntire を始め、数多くのアーティストにカヴァーされている定番。アルバムは Vince らしいメロディに溢れたオリジナル曲 "It Won't Be The Same This Year" で幕を下ろします。

各曲、アルバム全体の統一感が失われない程度に工夫が凝らされていて、非常に楽しめるクリスマス・アルバムに仕上がっていると思います。


Vince Gill Official Website:
http://www.vincegill.com/


"Let There Be Peace On Earth" アルバム試聴(cd Universe)
http://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=1104926

Steve Wariner / Christmas Memories (1990)

2005-12-25 04:00:19 | Music > Country

Steve Wariner - vocal, guitar
Maura O'Connell - vocal
Nanci Griffith - vocal
Chet Atkins - guitar
Mark O'Connor - violin, mandolin

The Chieftains:
Paddy Moloney - uillean pipes, tin whistle
Sean Keane - fiddle
Martin Fay - fiddle
Matt Moloy - flute
Kevin Conneff - bodhran
Derek Bell - harpsichord

私の大好きなカントリー・アーティスト Steve Wariner が 1990年にリリースしたクリスマス・アルバム。このシーズンになると必ず聴く一枚です。カントリーという枠を超えた素晴らしいヴォーカル・アルバムで、企画ものとはいえ、その仕上がりには大満足です! 加えてゲスト陣には私の好きなアーティストが揃っているんですからね~、まさに◎ですよ(笑)。

オープニングのタイトル曲 "Christmas Memories" は Steve のオリジナル。アコギとピアノでしっとりと奏でられるインストゥルメンタルです。続く "Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow" はオーケストラをバックに従えて、すっかりスタンダード・ヴォーカルの趣です。"I Saw Three Ship" や "Past Three O'Clock" ではアイリッシュ・ミュージック界の重鎮 The Chieftains が全面参加。Steve のアイリッシュ・ミュージックに対する敬意がうかがえますね。こういう交流を発見するたびに、つい頬が緩んでしまいます(笑)。ちなみに "Past Three O'Clock" でチャーミングなハーモニーを聞かせてくれるのは Nanci Griffith です。

DREGS に在籍経験のある天才ヴァイオリニスト Mark O'Connor も "Our Saviour Is Born" でその自慢の腕前を披露している他、"We Are The World" 似の "Do You Hear What I Hear" ではマンドリンをプレイしています。また Steve の敬愛する Chet Atkins が "On Christmas Morning" と "God Rest Ye Merry Gentleman" に参加しています。後者は Loreena McKennitt の "A Winter Garden" アルバムでも取り上げられていましたね。

本作での一番のお気に入りはクリスマス・ソング三曲のメドレー。ドラマティックな盛り上がりを見せる "Hark! The Herald Angels Sing" に始まり、一転して素朴でトラッドの香りも漂う "The First Noel" へと流れていきます。Steve の温かいヴォーカルはもちろんのこと、ゲスト・ヴォーカリストとしてハーモニー・パートを担当している Maura O'Connell が素晴らしい! とにかくハモリのメロディが美しいんですよね~。Eric Johnson の "The First Nowell" に匹敵する感動を与えてくれます。メドレーは "Oh Come All Ye Faithful" で再びドラマティックな展開に戻り、Steve のヴォーカルとオーケストラが最高潮に達したところで終焉を迎えます。短いながらも緩急が織り交ぜられた見事な構成のメドレーだと思います。


Steve Wariner Official Website:
http://www.stevewariner.com/


"Christmas Memories" アルバム試聴(amazon.co.jp)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000008UB7

Happy Birthday, Albert Lee!!!

2005-12-21 00:13:21 | Music > Country
 
今日は Albert Lee の誕生日ですね。1943年生まれですからもう62才なんですよね(私の両親と同い年!)。還暦を過ぎ、髪は真っ白になりましたが、相変わらずのスーパー・カントリー・リックを決めてくれるスーパーお爺ちゃんです! この先ず~っと元気で現役でいてくださいね、アルバート翁!

The Tony Rice Unit / Backwaters (1982)

2005-12-20 00:06:04 | Music > Country

Tony Rice - lead & rhythm guitar
Wyatt Rice - rhythm guitar
John Reischman - mandolin
Fred Carpenter - violin
Richard Greene - violin
Todd Phillips - bass

The Tony Rice Unit 『私の勝手に三部作』シリーズの第三弾(笑)。一曲目の "Common Ground" から八分近くにわたる強烈なインプロヴィゼーションが繰り広げられています。アルバム全体を通して即興演奏の占める割合が増したジャズ色の濃い作品に仕上がっており、前作では控えめに感じた Tony のギターも本作ではかなりアグレッシヴな印象を受けます。またサウンド面の問題もかなり改善されており、"Mar West" とまではいきませんが繊細なタッチも失われることなく再現されています。タイトル曲の "Backwaters" はイントロの複音フレーズがクールなスペースグラス・サウンドの曲で Tony のフィーチャー度もかなり高いです。"My Favourite Things" は今やミュージカルの名曲という以上にジャズのスタンダードとして定着した感のある Rodgers & Hammerstein の曲。おそらく参考にしたのは COLTRANE のヴァージョンだと思いますが、大好きな Julie Andrews がミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中で唄ったこの曲を TRU がカヴァーしてくれるなんて! 本作の中でも一、二を争う珠玉の出来で、かの "Mar West" がアレンジの妙を味わえる名曲だとすれば、"My Favourite Things" は究極のインプロヴィゼーションを味わえる名曲といえるのではないでしょうか。"On Green Dolphin Street" も多くのジャズ・ミュージシャンにカヴァーされているスタンダードですね。アコースティック・サウンドによるスウィンギー感がたまりません。Richard (L) と Fred (R) の二人のヴァイオリニストが左右のチャンネルに別れてそれぞれソロをとっています。音色としては Richard の方が好みだなぁ(笑)。"A Child Is Born" は Dave Gruisin のカヴァー。カリブの香りが漂う "Mobius Mambo" はマンボのリズムと TRU サウンドの調和が見事です。

このアルバムを最後に TRU としての活動は休止状態に入ります。2000年になって 18年振りに The Tony Rice Unit 名義の "Unit Of Measure" というアルバムがリリースされましたが、ジャズ的要素は薄く『スペースグラス』サウンドは後退したように感じました。個人的には TRU 名義である必要性があまり感じられなかったですね。いつの日かまた "Mar West", "Still Inside", "Backwaters" のような『スペースグラス』サウンド全開のアルバムを聴いてみたいものです。


Tony Rice Official Website:
http://www.tonyrice.com/

"Backwaters" アルバム試聴(cd Universe)
http://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=1002547

The Tony Rice Unit / Still Inside (1981)

2005-12-17 09:33:38 | Music > Country

Tony Rice - Guitar
John Reischman - Mandolin
Fred Carpenter - Violin
Todd Phillips - Bass

"Mar West" に続き、翌年の 1981年にリリースされた The Tony Rice Unit『私の勝手に三部作』の第二弾。前作に漂っていたひんやりとしたエコー感やステレオ感、輪郭のハッキリした音像は後退し、全体的に高音域が絞られた丸みのあるサウンドになっています。これが狙いなのか音質的な問題なのかはわかりませんが、結果的にマイルドな印象を受けることは確かです。わずかながら楽曲もジャズ色を強めており、前作よりも落ち着いた雰囲気に感じられます。またプレーヤーの交替も少なからずサウンドの変化に影響を与えているでしょう。John Reischman は繊細で柔らかなタッチを持った Sam Bush とはまた一味異なるマンドリニスト。Fred Carpenter はヴァイオリン以外にもギター、マンドリンと何でもこなすマルチ・インストゥルメンタリスト。現在はヴァイオリン・ショップを経営しているそうです。ベーシストの Todd Phillips は前作に引き続いての参加です。

前作のタイトル曲 "Mar West" と同様、アルバムは「これぞスペースグラス!」といった "Within Specs" で幕を開けます。スピーディーかつエキサイティングなプレイが矢継ぎ早に飛び出す展開は圧巻です。続く "Devlin" は David Grisman の "Hot Dawg"(1978) に収録されていた Tony のペンによる曲の再演。"Mr. Diffenbach" は Fred のヴァイオリンをメインに据え、クールなムードを漂わせたスペースグラス・サウンドです。メジャーとマイナーのコード感が複雑に絡み合い、程よくジャジーでアップテンポの "Vonetta" は Earl Klugh のカヴァー(オリジナルは 1976年リリースの "Earl Klugh" に収録)。Earl のヴァージョンを基調としながらも、見事 TRU サウンドに仕上げている点は流石です。哀愁を帯びたフリーテンポのギターで始まり、リズム・インしてからの Todd のウォーキング・ベースが気持ちいい "Tzigani" は先日紹介した Stephane Grappelli / David Grisman のライヴ盤 "Live" でも取り上げられている David Grisman の曲。"E B A" は Jon Sholle が 1976年にリリースした "Catfish For Supper" に収録されている曲で、このアルバムには Tony 本人の他、Bela Fleck, David Grisman, Darol Anger, Rob Wasserman, Tony Trischka といったそうそうたる顔触れが揃っています。John Reischman のペンによる "Birdland Breakdown" は彼のマンドリンを主役としたスピーディーな展開で東欧の舞曲を思わせる一曲です。ラストは再び Tony が甘美なメロディに溢れたリード・プレイを聞かせてくれる "Makers Mark"。決して Tony のワンマン・プロジェクトとならず、各メンバーにスポットが当てられた楽曲がうまく配置されているところに好感が持てますね。

現在のところ、本作は未だ CD化にこぎつけておらず、アルバムを手に入れるには LP か CT を探すしかありません(CT は公式サイトで購入可能なようです)。コンピレーション盤であれば、前作 "Mar West" の記事でもチラっとお話した "Devlin" というアルバムに本作から八曲が収録されていますので、まずはそちらを聴いてみるのも手かと思います("Mr. Diffenbach" と "Tzigani" のみ割愛)。マニアな情報ですが、80年代に NEC アベニューという国内のレーベルから TRU 三部作の抜粋盤 CD が日本独自編纂でリリースされたことがありました。実はこのアルバム、"Devlin" では割愛された "Still Inside" からの二曲が入っているんですよね。つまり二枚揃えば "Still Inside" は完成するというわけ。ちなみに私はこのパターンです(笑)。ただし NEC アベニューはすでに消滅しているので、このアルバムも地道に中古店などを探すしかないようです。





Tony Rice Official Website:
http://www.tonyrice.com/

The Tony Rice Unit / Mar West (1980)

2005-12-15 00:25:53 | Music > Country

Tony Rice - Guitar
Richard Greene - Violin
Todd Phillips - Bass
Sam Bush - Mandlin
Mike Marshall - Mandolin

今回は Darol Anger, Mike Marshall ネタから派生して、彼らと同じく David Grisman Quintet のメンバーだった Tony Rice のアルバムを紹介したいと思います。その道では非常に有名なギタリストであり、私の『OH! MY G3』でも選出させていただきました。とにかく大好きなブルーグラス/アコースティック・ギタリストなんです(笑)。

過去から現在に至るまで、Tony Rice は常に二つの顔を持ち続けてきたギタリストだったように思います。一つはブルーグラス・アーティストとしての Tony、そしてもう一つは今回紹介する The Tony Rice Unit を始めとしたアコースティック・ギタリストとしての Tony です。TRU はブルーグラスの既成概念の打破に始まり、David Grisman 門下生であった Tony が彼のもとで学んだドーグ・ミュージックのさらなる探求に挑んだ意欲的なプロジェクト。"Mar West" はそんな TRU の誉れ高き名盤として位置付けられているアルバムで、"Still Inside" (1981) や "Backwaters" (1982) とともに私が勝手に三部作と呼んでいるアルバムの中で最もスリリングな演奏が味わえる一枚です。

ブルーグラスとは一線を画す斬新なフレーズ、ジャジーなコードやシンコペーションを多用したバッキング、『スペースグラス』と形容されるこのスウィンギーでお洒落なサウンドを初めて耳にしたとき、あまりのカッコ良さに言葉を失いました(いやホント・・・笑)。とくに表題曲の "Mar West" や "Is That So" なんて鳥肌ものです! そして Tony とともにそんな素晴らしいサウンドを作り上げているのが、ヴァイオリンの Richard Greene、マンドリンの Sam Bush, Mike Marshall、ベースの Todd Phillips といったミュージシャンたち。ブルーグラスの花形楽器であるバンジョーをあえて外した編成で繰り広げられるアコースティック・ジャズ・ミュージックに私はすっかりノックアウトされました(笑)。楽曲の構成は各々がリードをとり、テーマ・メロディや即興を織り交ぜていくというスタイルでジャズの手法に非常に近いといえるでしょう。Miles Davis 作の "Nardis" を取り上げていることからもジャズへの傾倒ぶりがうかがえます。また緊張感の高い曲がひしめく中、心和む "Waltz For Indira" やちょっぴりブルージーな "Whoa Baby, Everyday I Wake Up With The Blues" がいいアクセントになっているんですよね。DGQ 時代に Tony が書いた "Neon Tetra" も TRU ヴァージョンとして再び収録されています。

いずれの楽曲も Tony の正確無比のピッキングから生み出される珠玉のフレーズが聴きどころであることに変わりはありませんが、マンドリン界の HENDRIX こと(そう思っているのは私だけ?・・・笑)Sam Bush も相変わらず切れ味鋭いプレイを聞かせてくれます。輪郭のハッキリした力強いサウンドは彼の持ち味ですね。また "Nardis" と "Neon Tetra" には Montreux でお馴染みの Mike Marshall がもう一人のマンドリニストとして入れ替わりで参加しています。もちろん、ベテラン Richard Greene のヴァイオリン、ドラムレスのサウンドでボトムをしっかりと支える Todd Phillips のプレイも聴き逃せません!

そういえば、かなり昔の話になりますが、Night Ranger の Jeff Watson がアコースティック・ギターを大胆に取り入れたソロ・アルバム "Lone Ranger" リリース時のインタヴューで Tony Rice の素晴らしさを語っていました。当時 Jeff の口から Tony の名前が出てくるなんて意外!って思ったせいか、今でも覚えているんですよね(笑)。

本作は 2002年に日本で世界初CD化されました(初回限定盤)。これが入手困難な場合、次作 "Still Inside" の収録曲とのカップリング CD "Devlin" もあります。こちらは "Mar West" から一曲("Mar East")、"Still Inside" から二曲が割愛されていますが、手軽に聴きたい方には最適のアルバムです。





Tony Rice Official Website:
http://www.tonyrice.com/

Albert Lee / Live From Mars (DVD)

2005-11-21 00:00:34 | Music > Country
 
先生や王子も自らのギター・スタイルに取り込んでいるカントリー・ギター。コンテンポラリーな形に発展させたのは紛れもなく Albert Lee の功績でしょう。私は親しみを込めてアルバート翁と呼ばせていただきます(笑)。私にとっての G3 は Steve Morse, Eric Johnson, Albert Lee ですが Albert だけ敬称がないのも淋しいですし、もうすっかり頭は白くなってしまいましたからね(笑)。

普段はあまり何かをお薦めしたりしないんですが「カントリー・ギターに興味はあるんだけど何から聴いてよいのかわからない」という方のために(恩着せがましい・・・笑)、まことに ghostwind 流ではありますが、この一枚! なぜなら~、

(1) どこで買っても千円ちょっとであり、とにかく安い。
(2) ハイブリッド・メディアなので DVD + CD 貼り合わせの一枚ディスク。
(3) DVD だから音だけでなく映像が観れる。
(4) CD だから MD に録音したり、MP3 化も簡単。
(5) ライヴだから本物のプレイが拝める(しかも選曲サイコー!)。
(6) カントリーというよりオールド・スタイルのロックンロールであり、サウンドは非常に聞きやすい。
(7) ボーナス映像で Emmylou Harris が踊っているところが観れる(オバちゃんだけどカワイイ)。

ちなみにこの作品、過去に教則ビデオとしてリリースされた "Country Legend" からライヴ・シーンだけを抜き出し再編集したものです(ライヴ本編50分くらい)。ある意味廉価版なのですが、オリジナルには収録されていないレア映像などを含むボーナストラックや本編の音源だけを取り出した CD が付いていたりと、特典も盛り沢山です。

これだけの内容でこの安さ、一度くらい昼食を我慢してみませんか?(余計なお世話?!・・・笑)


P.S. 冒頭でチラッと書きましたが、皆さんにとっての G3 を挙げるとすれば誰になりますか? ちょっと気になったので~(笑)。B3 や D3, K3 などでも構いませんです(ベーシスト、ドラマー、キーボーディストね・・・笑)。よろしければコメントくださ~い!

Steve Wariner / No More Mr. Nice Guy (1996)

2005-11-20 00:05:49 | Music > Country
 
たまには sorapapa さんに負けじと全曲レビュー形式をパクってギタリストなアルバムを紹介しちゃいます(笑)。でもそこは ghostwind 流ということで・・・(ニヤッ)。

今回、アルバム全曲一言コメントに挑戦するのは、私の敬愛するカントリー・アーティスト Steve Wariner が 1996年にリリースした "No More Mr. Nice Guy" というアルバムです。いつものヴォーカルものとは趣向を変え、インスト中心のギター・アルバムに挑戦しています(彼はギタリストとしても超一流!)。カントリー界に限らず、様々な方面から迎えた多彩なゲストとの共演にも注目です。幅広いスタイルの楽曲が収録されていますから、初めての方にもちょっぴりオムニバス気分、サンプラー気分で楽しんでもらえるんじゃないでしょうか(笑)。ぶっちゃけ ghostwind は、ミュージシャンつながりで音楽を聴くタイプの人が釣れないかなぁと思いつつ、針を垂らしたわけです(爆)。

01) No More Mr. Nice Guy
Steve の盟友 Vince Gill と組んで、Albert Lee 直系のブッ飛びカントリー・ギター・リックを炸裂させています。もうギターがパキパキいいまくってますからねぇ。いったん体が受け付けてしまうと中毒になりますよ、このスタイルは。私も学生時代はカントリー・ギターにドップリはまっていたので、こんなんばかり弾いてました(笑)。どれだけパキパキいわせるかに命を懸けてたって感じですかね(笑)。ちなみに "No More Mr. Nice Guy" はナイス・ガイというレッテルを貼られがちな二人のささやかな反抗だそうです(笑)。冒頭でのこの台詞は米球界の鉄人で Steve の友人でもあるというノーラン・ライアンというから驚き!

02) Big Hero, Little Hero
Steve のビッグ・ヒーロー Chet Atkins とともに晩年の彼のスタイルを思わせるカントリー・フュージョン的な曲を披露しています。どこまでも優しく心地良いギターの響きがたまりません。Acoustic Alchemy あたりが好きな人にも気に入ってもらえるんじゃないかなぁ。

03) Prelude / Practice Your Scales Somewhere Else
クラシカルなアコギのイントロがとても美しいです。当ブログではお馴染みの? Mark O'ConnorSam Bush が参加し、スウィング感溢れる演奏を聞かせてくれます。こういうオールド・スタイルなサウンドっていいなぁ。中間部では Steve お得意のスキャットとギターのユニゾンが聴けます。

04) The Theme
Randy Goodrum とのジャムから出来たという AOR/フュージョン風のインスト曲。まさに「一芸に秀でる者は多芸に通じる」ですね。Larry Carlton 御大がギターで参加していたり、Steve の交流の広さがうかがえる一曲です。

05) Forever Loving You
妻への思いを形にしたという美しいメロディを持った曲。メロウなアコギのフレーズが印象的です。

06) Next March
ちょっぴり FLECKTONES 臭さも感じる Bela Fleck との共演曲。Bela は相変わらずの天才ぶりを発揮しています(笑)。Steve のオシャレなリードもいい感じですね。

07) If You Can't Say Something Good
Mac McAnally とのフォーク調のブルーズ・セッション。とにかく渋いです(笑)。

08) Hap Towne Breakdowne
オープニングの "No More Mr. Nice Guy" に続き、再び炸裂系カントリー・ギターが堪能できる一曲。陽気なサウンドは笑顔で高度なリックを決めるプレーヤーたちの顔を連想させてくれます。Carl Jackson, Mark O'Connor, Jimmy Orlander が参加しています。

09) For Chester B.
Steve が敬愛する Chet に捧げた小品。感謝と愛情が感じられるしっとりとした曲です。

10) The Brickyard Boogie
若い世代のピッカーたちとのジャム・セッション。ブギーに乗せて繰り広げられる伸び伸びとしたプレイが気持ちいいです。

11) Don't Call Me Ray
Leo Kottke とも交流があるとは! 彼が Steve の家に遊びに来たときに作ったそうです。Leo のスタイルと Steve のスタイルが絶妙に交じり合ったデュオ曲です。

12) Guitar Talk
ラストに来て Steve もちょっと唄いたくなったようです(笑)。この曲には何と Richie Sambora がゲスト・ギタリストに迎えられているんですね。Bon Jovi マニアは要チェックです(笑)。もう一人のギタリスト Lee Roy Parnell のスライド・プレイもクールです。


ってな感じですかね~(笑)。ちなみに US 盤はジャケットが異なります。


Pat Flynn / Request (2004)

2005-11-10 00:00:35 | Music > Country
 
New Grass Revival・・・大好きなアーティストですから、どんなに知名度が低くても取り上げ続けますよ~(笑)。どこかで見かけることがあったら私のブログを思い出してくれたら嬉しいなぁ・・・(笑)。

80年代、新生 New Grass Revival のギタリストとして活躍した Pat Flynn の初ソロ・アルバムです。アグレッシヴなプレイからツボを押さえた控えめなプレイまで NGR のアルバムや数々のセッション・ワークでそのセンスを遺憾なく発揮してきた Pat Flynn は Tony Rice と並んで私が最も影響を受けたブルーグラス・ギタリストの一人です。

本作はヴォーカルに重点をおいたアレンジなので NGR ほどアグレッシヴなプレイを聴くことはできないですが、開放弦を多用した独特のフレーズはビシバシと決まっていますし、心地良いコード感のリズム・ギターも健在です。Pat のプレイって、いつ聴いてもオシャレでクールなんですよね~。今度は弾きまくりの強力インスト・ギター・アルバムも聴いてみたいなぁ・・・。本作には NGR 時代の旧友 John Cowan, Bela Fleck の他、Stuart Duncan や Kenny Malone らも参加しています。

オープニングの "Sundown" は EAGLES にも通じる爽やかなアコースティック・ナンバー。ヴォーカルは勿論 Pat 本人で、NGR ではアルバム中、数曲でリードをとる程度でしたが、本作ではそのマイルドなヴォーカルを全編通して披露しています。続く "Shape I'm In" は The Band のカヴァー。Bela のバンジョーが冴え渡るブルーグラス・ヴァージョンに変貌を遂げています。"Lila" は NGR 時代のセルフ・カヴァー("Friday Night In America" (1989) に収録)。オリジナルでは John がリードでしたが、本作ではハーモニーに回って Pat のヴォーカルをサポートしています。スティール・ギターなども入り、よりポップな仕上がりです。"If I Had A Hammer" は Pete Seeger が書いたフォークの名曲です。私は Peter, Paul And Mary のヴァージョンが大好きでした。Pat のヴァージョンはアップ・テンポなビートでカッコイイです。いやぁ、アレンジ・センスがいいなぁ。Bela のスティール・ドラム風のバンジョーもサイコー! "All On A Rising Day" は Pat と Peter Rowan の共作。かなりカントリーっぽい仕上がりです。バックのハモンドも雰囲気があっていいですね。オリジナルは Peter が 1991年にリリースした同タイトルのアルバムに収録されています(Pat は未参加ですが Sam Bush, Alison Krauss, Jerry Douglas らが参加しています)。"In The Middle Of The Night" は再び NGR の曲です。先日、紹介した "New Grass Revival" (1986) に収録されています。元々本人がリードをとっていたこともあり、大きな変化は感じられませんがダイナミックさは増しているアレンジだと思います。"The Word" は Flying Fish レーベル(過去に NGR も所属)からアルバムをリリースしている Alaska's Hobo Jim というアーティストのカヴァー・・・かな?。残念ながら詳しいことは知らないのです。"Big Mistake" はフォーク系 SSW の David Wilcox のカヴァー。爽やかなアップ・テンポの曲です。"Michael Row The Boat Ashore" はトラディショナル曲で、NGR も得意としていた南国的な雰囲気が感じられるアレンジです。ラストの "Mohter Lode" は本作で唯一のストレートなブルーグラス。Pat のソロも炸裂しているし、アルバムを締めくくるには相応しい一曲ですね。

完全にワンマン・レヴューですが書きたいだけ書いたのでスッキリしました(笑)。このアルバム、ジャケットがカワイイので皆さん、ジャケ買いしてくださいね・・・なんて(笑)。

New Grass Revival / same (1986)

2005-11-05 07:55:27 | Music > Country
 
先日、cherry さんのブログで取り上げられていた John Waite の "Mask Of Smiles" を久しぶりに聴いていたんですが、思わぬ発見がありました。NGR と同じく Marvin Gaye の "Ain't That Peculiar" をカヴァーしていたんですよね(今頃気付いたのかよ!って感じなんですが・・・笑)。そんなわけで今回は "Ain't That Peculiar" の NGR 版が聴ける彼らのセルフ・タイトル・アルバム "New Grass Revival" を紹介したいと思います。

本作は Sam Bush, John Cowan, Bela Fleck, Pat Flynn による新生 NGR 第一弾のアルバムで、彼ららしいポップなロックグラスが集められています。リズム・セクションとしてドラムが加わった曲もありますが、基本的には Sam のマンドリンとフィドル、John のベース、Bela のバンジョー、Pat のギターという編成です。テクニカルな一流ミュージシャンの集まりとはいえ、楽曲を重視したアレンジはとても聴きやすく、親しみやすいサウンドだと思います。どの曲も素晴らしい出来なのですが、特に "What You Do To Me", "Sweet Release", "Saw You Runnin'", "Revival" などがお気に入りです。

Nitty Gritty Dirt Band / Will The Circle... (1989)

2005-10-14 00:05:34 | Music > Country
 
先日の Bruce Hornsby で思い出したのがこのアルバム(タイトル文字数制限に引っ掛かりましたが、正しくは "Will The Circle Be Unbroken Vol.2")。私の大好きなカントリー・ロック・バンド Nitty Gritty Dirt Band が大勢のゲストを迎えてレコーディングした一大セッションの記録です。本作から遡ること 17年前、同じように多数のゲストを迎えて制作された "Will The Circle Be Unbroken" の続編となります。今回もメンツが凄すぎです。私にとっては New Grass Revival の四人が参加しているだけでもヨダレものなんですが、他にも Jerry Douglas, Mark O'Connor, Ricky Skaggs, Chet Atkins, Chris Hillman, Roger McGuinn, Emmylou Harris, John Hiatt, John Denver, Bernie Leadon, Vassar Clements, Johnny Cash, etc. といった豪華なアーティストたちが集まりました。カントリーに興味がない方でも何人かの名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。

本作で私が大好きなのは、やっぱり NGR + NGDB で演奏される "Don't You Hear Jerusalem Moon" ですね。最愛のブルーグラス・バンドとカントリー・ロック・バンドの共演ですから、これだけは譲れません!・・・って意味不明(笑)。それともう一つ、凄く気に入っている曲があって、それが冒頭で話した Bruce Hornsby が参加している "The Valley Road" なんですよ。当時、彼のアルバムは 1st しか持っていなかったので、クレジットを見るまでは Bruce の持ち込んだ曲だとは気付きませんでした。その後、早速オリジナルも聴いてみましたが、スミマセン、私にとってはブルーグラス・スタイルで疾走するこっちのアレンジの方がカッコいいです(笑)。ちなみにオリジナルは Bruce Hornsby And The Range の 2nd アルバム "Scenes From The Southside" に収録されています。この曲では EAGLES に在籍していた Bernie Leadon が Banjo を披露していることも付け加えておきます。"You Ain't Going Nowhere" では元 The Byrds の Roger McGuinn と Chris Hillman が再会を果たしています。カントリー・ロック時代の BYRDS は大好きだったので、こういうのは嬉しいですねぇ。全編にわたって好サポートしている Jerry Douglas と Mark O'Connor のプレイも素晴らしいです。細かいことを書き出すとキリがないので、この辺りで止めておこうと思いますが、本作で聴ける NGDB のサウンドはポップでアコースティックなカントリー・ロックです。ロックやポップスのファンにもカントリーの入門篇として聴いていただきたいアルバムです。

Nickel Creek / This Side (2002)

2005-08-17 00:00:16 | Music > Country

Eric Johnson もお気に入りの若手ブルーグラス?バンド

マンドリン、フィドル、ギターという編成はブルーグラス出身であることを窺わせますが、サウンド的にはポップでコンテンポラリーなアコースティック・ミュージックという印象で、本作ではブルーグラスはエッセンスとして加味されている程度です。三人で取り分けるヴォーカルはかなりフォーキーですし、ドーグ・ミュージックやケルト・ミュージックからの影響も強く感じられます。

オープニングの "Smoothie Song" は本作中唯一のインストゥルメンタル曲で、クールな展開はほとんどドーグ・ミュージックの世界です。実はこの曲の PV にはある大物ゲストがダブル・ベースで出演しています。私は予備知識無しにこの映像を観たので「まさか!」という感じでしたが、ネット検索でそれが事実であることを知りました。ブルーグラス・ファンで彼の名前を知っている人は少ないと思いますが、実は HR/HM ファンにはお馴染みの Robert Trujillo なんですねぇ。そう、現 Metallica のベーシストです。どういう接点があったのでしょうか、ホントにビックリです。興味のある方は AOL Music のサイトでこの PV が視聴できますのでご覧になってみてください(こちら)。本作での私のお気に入りは "This Side" です。ギターの Sean Watkins がリード・ヴォーカルを取るこの曲は暖かい雰囲気に包まれていてアコースティック・ミュージックならではの心地良さを満喫できます。前述の AOL Music では "This Side" の PV やスタジオ・ライヴも視聴できますよ(特にスタジオ・ライヴはお薦めです!)。

私自身 Nickel Creek を聴き始めたのは最近のことです。EJ も Nickel Creek のファンであることは 2002年6月のインタヴューで知りました。特にマンドリンの Chris Thile については "He's great." って言ってましたね。何といっても 13才でソロ・アルバムをリリースしたという天才プレーヤーですから彼が唸るのも無理はありません! Chris Thile については NINO さんのブログで詳しく取り上げられているので興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか(こちら)。そうそう、書き忘れていましたが、プロデュースは当ブログではお馴染みの Alison Krauss です。

Nickel Creek は一般の洋楽ファンにも受け入れられやすいサウンドだと思います。夏の暑い季節、爽やかなアコースティック・ミュージックの風を感じてみませんか?


Nickel Creek Official Website:
http://www.nickelcreek.com/

John Cowan / same (2000)

2005-08-14 00:00:39 | Music > Country
 
ブルーグラス界で花開いた異色のロック・ヴォーカリスト!

New Grass Revival 時代からソウルフルなヴォーカルを持ち味としてきた John がそのスタイルを前面に押し出した極上のロック・グラス・アルバムです。自身の名前を冠したアルバム・タイトルからもその意気込みが伝わってきます。私にとっては五本の指に入るほど大好きなヴォーカリストであり、未だ衰えを知らない力強く伸びやかなハイ・トーン・ヴォイスはいつ聴いてもシビれてしまいます。それでいて "All I Wanna Feel" や "This River" のようにソフトで暖かいヴォーカルも聴かせてくれるのですから最高です。ブルーグラス、ロック、ソウル、ブルーズといった John の愛する音楽が程好いバランスでブレンドされており、そんなサウンドをバックに唄う彼のヴォーカルもヴァラエティに富んだ表情を見せてくれます。アレンジ的にはバンジョー、フィドル、マンドリンがサウンドの核となっていますが、エレクトリック・ギターやキーボードなどもふんだんに盛り込まれており、NGR よりもかなりロック寄りのアルバムと言えるでしょう。打ち込みっぽいビートのドラムが斬新な "Roll Away The Stone" やホンキートンク調の "Wichita Way" ではパワフルな John のヴォーカルが聴けますし、ケイジャン・フィーリング溢れる "My Heart Will Follow You" は NGR っぽくて、私のお気に入りの一曲です。また "Nothing But The Blues" や "I Want You To" といった本格的なブルーズ・ヴォーカルが堪能できる楽曲も収録されています。ライヴではバック・バンドを従え "The John Cowan Band" として活動している John ですが、ソロ名義である本作では気心の知れたミュージシャンの助けを借りて John の目指す新たなロック・グラスの世界を作り上げています。私にとっては Sam Bush や Jerry Douglas の参加も嬉しいところです。プロデュースは女性シンガー・ソングライターとして有名な Wendy Waldman が担当、彼女と共に Bryndle のメンバーである Karla Bonoff や Kenny Edwards もバッキング・ヴォーカルとしてクレジットされています。


John Cowan Official Website:
http://www.johncowan.com/