おそらく先月一番聴いた一枚。かなり "遅ればせながら" でしたが、予想を上回る完成度の高さにしばし酔いしれていました。個人的には前任者のアルバムも大好きだったんで Steve Perry 無き後の新生 Journey にはわりと肯定的なほうなんですが、それを差し引いても素晴らしい出来であることは本国におけるチャートアクションも裏付けていますよね。
方向性としてはメロディック・ロックの王道路線一本に絞ったような気がします。Steve Augeri 時代のアルバムには Bad English の流れを汲むアメリカン・ロック・スタイルもふんだんに盛り込まれていましたが(
前作の "Every Generation" なんて Augeri の声なのに John Waite が浮かんでしまう・・・)、今回はブルージーなグルーヴは控えめに、高揚感のあるメロディが前面に押し出されています。僕を含め、これを待ち望んでいたファンも多かったのではないでしょうか。とはいえ、あくまで Perry の声にこだわり続けるファンがいることも事実。amazon のレビューでもその手の意見をいくつか見かけましたが、何をどう感じるかは各人の自由なので僕には何ともいえません。ただそれが障壁となって素直に聴けないだけならちょっと勿体ないよね・・・。
Arnel Pineda については新加入が公式アナウンスされた頃、ネットで動画を見まくったので歌の上手さは認識していたつもり。バックバンドとのレベル差が歴然としていましたからね。ただカヴァーが主体で、どれもオリジナルそっくりに唄いこなすものだから、Journey のフロントマンとして本人のオリジナリティが出せるのかが心配でした。まあそれもアルバムを聴いたら吹っ飛びましたけどね(笑)。それこそ "Greatest Hits" 盤ではかなり Perry を意識しているようですが、新曲のほうは Journey という伝統に敬意を表しつつも、彼自身の艶やかで伸びのある声をアピールしているように感じました。
未来は誰にも予測がつかないものですから "安泰" という言葉はないでしょうけれど、この歌唱力と最高の楽曲を引っさげた Journey が末永く続くことを願って止みません。そう思わせるだけのアルバムでしたね。