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The Johnny Hiland Band / Loud And Proud (2007)

2009-02-22 22:44:47 | Music > Country
 
2004年に Steve Vai 主宰の Favored Nations レーベルからリリースされたデビュー作では Mr.Big のリズム・セクション Billy Sheehan と Pat Torpey をバックに超絶カントリー・ロックを聞かせてくれた Johnny Hiland。カントリーのみならず幅広いジャンルのスタイルを吸収したハイレベルなプレイには正直度肝を抜かれました。そんな衝撃から丸三年、今度は自身のバンド名義で正真正銘ロック・ギター界に殴り込みを掛けてきたのが本作です。のっけからディストーションを効かせたギター・サウンドでフルピッキングの高速リックが飛び出してきます。おまけにタッピングやらアーミングやら HM/HR 系ギタリストも顔負け。アルバムには十八番のカントリー・インストはもちろんのこと、しっとりとしたアコギの小品、自身が唄うヴォーカル曲も収録されており、懐の広さは相変わらずです。個人的にはラストの "Chicken Pickin' Heroes" で Ricky Skaggs, Steve Wariner, Vince Gill の黄金トリオと共演しているのが感涙モノでしたね。

最近はソロ・アルバムにカントリー・スタイルの楽曲を収録するロック・ギタリストが増えてきました。カントリー奏法もマスターすべきスタイルの一つとして認識されつつあるのでしょうね。「ちょっとだけカントリー・リックに興味を持ったけど誰から聴けばいいかわからない」という人は是非本作を聴いてみてください。かなりロック寄りの作品ですから違和感なく耳に入ってくると思いますよ。



Restless Heart / Greatest Hits (1998)

2008-07-02 06:42:43 | Music > Country
80年代はカントリー・ポップ・バンドの代表格として飛ぶ鳥を落とす勢いだった Restless Heart。90年代に入りヴォーカリストの Larry Stewart がソロ活動に専念するためバンドを脱退、バンドの存続が危ぶまれます。AOR バラード "When She Cries" のシングル・ヒットで一時的に持ちこたえたものの、その後は徐々にトーン・ダウン。結局ラジオ局に全く相手にされなかったという "Matters Of The Heart" を最後にバンドは解散してしまいます。本作はバンド亡き後にリリースされた彼らのベスト・アルバムです。80年代にウェイトを置いた選曲は好感が持てますし、全16曲というボリュームもちょうど良いです。ちなみに彼らはカントリー特有の楽器をほとんど使わず、AOR カントリーともいうべき都会的なアレンジが持ち味です。Larry 脱退後は EAGLES を彷彿させるウェストコースト系のサウンドも強く押し出されていました。

彼らとの出会いは Michael J. Fox 主演の映画「摩天楼はバラ色に」のサウンドトラックに収録されていた "Don't Ask The Reasons Why" というバラード。当時この曲の音楽性を期待して "Fast Movin' Train" というアルバムを買ったのですが、想像していた音とは少し異なりがっかりした記憶があります。やはりあのサウンドは完全に David Foster のものだったんですよね(笑)。まあ今となってはそれも懐かしい思い出のひとつです。

今回この記事を書くにあたりバンドについて少しばかり調べたのですが、2004年にオリジナル・ラインナップで再結成していたんですね。現在も元気に活動しているそうです。



The Desert Rose Band / same (1987)

2008-07-01 23:23:25 | Music > Country
The Byrds で "カントリー・ロック" というスタイルの礎を築いた一人 Chris Hillman、後に Hellecasters を結成するマルチ・インストゥルメンタリスト John Jorgenson、カントリー/ブルーグラス界の職人ミュージシャン Herb Pedersen、そんな個性豊かな三人が中心となり結成されたカントリー・ロック・バンドが The Desert Rose Band です。僕は The Byrds からの流れで聴きましたが、John Jorgenson というスーパー・ミュージシャンに出会えたのも幸運でしたね。

サウンドはまさにコンテンポラリー・カントリーのお手本。二十年を経た今聴いてみると、如何に現代のカントリーがロックに接近したのかがわかります。本作に凝縮されているのは正に今のカントリー・サウンドなんですから!



Sharp Dressed Men: A Tribute to ZZ Top (2002)

2008-01-07 00:05:00 | Music > Country
ZZ Top というと高校時代はリアルタイムの "Afterburner" とその前作の "Eliminator" くらいしか知りませんでしたが、その後テキサス・ブギー時代の彼らに思いっ切りハマりました。当時の MD は今も残っていますが、そろそろ買い揃えようかと思案中(借り直しでもいいかな)。土臭いサウンド、クキクキと掻き鳴らされる Billy Gibbons のギターはやっぱり最高っす! 今回はちょっとヒネリを加えて、カントリー界のアーティストがそんな彼らの楽曲をカバーしたトリビュート・アルバムを紹介します。

初めて聴いたときはあまりのハマり具合に度肝を抜かれました(笑)。ブギーのグルーヴとコンテンポラリー・カントリーのグルーヴが驚くほどマッチしているんですよ。完コピに近いアレンジも多く、ニヤッとさせられること請け合いです(Brooks & Dunn の "Rough Boy" なんて結構キテマス)。ベタなアーティストによる完コピはつまらないですが、畑違いのアーティストだからこそ面白みが増すってもんですね(笑)。そういえば HR/HM 系アーティストによる ZZ Top のカヴァー・アルバムもありましたね(参加メンバーにあまり惹かれなかったのでこちらは未聴)。紹介とか言っておきながら、たいしたことは書いていませんが、どこかで安く見かけたら仲間に入れてやってください。「ここでフィドルかい!!!」なんてツッコミを入れながら聴くのは乙ですぞ~(笑)。




Garth Brooks / In Pieces (1993)

2008-01-06 12:18:06 | Music > Country
実は去年の暮れあたりから、カーステレオと MP3 プレーヤーを繋ぐカセット・アダプターの断線が酷くなってきまして、さすがに聞くに堪えない状態です(苦笑)。出来れば自己修理したいと思っているのですが、今回の断線は L字プラグの根本で起きている模様。この部分の半田処理って特殊なんですよねぇ。自分ではちょっと無理かも・・・。とはいえ、たかが断線で買い直すもの馬鹿馬鹿しいので、別のプラグをコードの途中から付け替えるしかないかな(不恰好になるのは諦めるとして・・・苦笑)。

当時、全米チャートを駆け上り、日本でも洋楽ファンの間でその名が知られるところとなった Garth Brooks。その頃の僕はというと、ブルーグラスにどっぷり浸かっていたのでコンテンポラリー・カントリーとはほとんど接点がありませんでした(苦笑)。Garth のアルバムを聴いてみようと思ったのも、後に彼が僕の敬愛する New Grass Revival の楽曲をよくカヴァーしていると知ったからで、本作でも "Callin' Baton Rouge" というケイジャン・スタイルの NGR チューンを取り上げています。この曲は僕が初めて手にした NGR のベスト盤に収録されており、理屈ぬきに大好きな一曲なんですよね(笑)。本家の四人がゲスト参加しているのも嬉しい!

Garth Brooks といえばカントリーのポップ化に拍車をかけた張本人。米国でのアルバム総売上枚数は The Beatles や Elvis Presley、Led Zeppelin に匹敵するスーパースター級のアーティストです。そんなお方ですから、本作はまさにコンテンポラリー・カントリーの王道といったサウンド。至るところにロックやポップスの要素が詰まった親しみやすいアルバムに仕上がっています。カントリー特有のクセを極力薄め、一般のリスナーをシーンに引き込んだ功績は大きいでしょうね。僕にとっては NGR をカヴァーした一アーティストという存在ですが、非常にリラックスして聴けるお気に入りの一枚です。


Collin Raye / Twenty Years And Change (2005)

2007-09-25 00:33:44 | Music > Country
 
Journey や Survivor を唄うカントリー・シンガー!

Collin Raye との出会いは、あるレストランで BGM として流れていた "Open Arms" のカヴァーに遡ります。もちろん言わずと知れた Journey の名バラードです。声の良さとアレンジに魅了され、以来彼のアルバムをチェックするようになりました。事の次第については以前取り上げた同曲所収のベスト盤 "Direct Hits" の記事でも触れています(こちら)。

時は流れ 2005年、Collin は再び自身のアルバムでメロディック・ロックの名曲をカヴァーすることになりました。それが本作に収められている Survivor の "The Search Is Over" です。"Open Arms" 同様、これまた見事な仕上がりで、一人ほくそ笑むのは勿体ないと、本作を紹介させていただくことにしました(笑)。ちなみに最近の記事で今回につながるちょっとした伏線を張っていたのですが、お気付きになりました?(笑)

さて本題の "The Search Is Over" ですが、カントリー系のアーティストと聞いて、おそらくほとんどの人がそれ風のアレンジを思い浮かべるのではないでしょうか。かくいう僕もそんな一人でした(笑)。ところが実際に聴いてみると、思いのほかストレートなアコースティック・サウンドであることに驚かされます。フィドルやペダル・スティールといったカントリー色の強い楽器が顔を出すことはなく、アコースティック・ギターとピアノを除けば、アコーディオンやマンドリンが加わる程度。ひと言で言うなら、本家のヴァージョンをそのままアンプラグドに置き換えた感じです。Collin のヴォーカルもあまりカントリーっぽさを感じさせないスタイルなので、言われなければその畑の人と気付くのは難しいでしょうね(笑)。

とにかくオリジナルを知る人には是非一度聴いていただきたい名カヴァーです。伸びやかで深みのある Collin の声は素晴らしいの一言で、多くの人がそこに Jimi Jamison の影を見るのではないでしょうか。好みは人それぞれですが、表現力では明らかに Toby Hitchcock を上回っていると思います。Jim Peterik や Tommy Denander といったメロハー界の仕掛人が彼に関心を持ってくれると面白いんですがねぇ(笑)。

アルバムはカントリーというジャンルに根差した音楽ではありますが、Collin の持つバックグラウンドは多岐に渡り、それらを活かした幅広いスタイルの楽曲が楽しめます。例えば Eagles を彷彿させる "You're Not Drinkin' Enough" では Don Henley にそっくりなヴォーカルが聞けますし、幾通りかの声色を使い分ける器用さも併せ持ったアーティストなんですよね。メロディック・ロックやウエスト・コースト・ロックがお好きな方なら Collin の目指す音楽に何か通じるものを感じてもらえると思います。よろしければ、下記のサイトで試聴してみてください。ちなみに購入の際は amazon がお安いですよ~(笑)。


Collin Raye Official Website:
http://www.collinraye.com


"Twenty Years And Change" アルバム試聴(cd Universe)
http://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=6936336



Rascal Flatts / Me And My Gang (2006)

2007-07-15 11:30:24 | Music > Country
 
ちょっぴり書き足りない気がしたので、もう一枚 Rascal Flatts のアルバムを紹介します(笑)。

個人的なベストが三枚目であることは前回書きましたが、"とっつきやすさ" という点では本作が一番でしょう。一般的にはコンテンポラリー・カントリーと呼ばれるスタイルですが、ほとんど "カントリー・ポップ" といった趣です。カントリー系の楽器が顔を出さなければ、ほとんどそれだとわからないでしょうね。また本作では音楽性の拡張が目覚しく、バラード系の楽曲を中心にスケール感の大きさを前面に出したアレンジとなっています。このあたりはプロデュースを手掛ける Dann Huff の好みも反映されているという気がします。今までになくボトムが効いているのも頷けますし・・・(笑)。個人的にはもう少しライトなグルーヴのほうが好きなんですが、これに関しては好みの問題ですね。

アルバムを通して聴いてみると、とにかくヴォーカルの上手さに耳が行きます。デビュー作に比べ、表現力が豊かになりましたね。コブシの効かせ方こそカントリー・スタイルですが、ロングトーンのフェイクなんかはほとんど昨今のボーイズ・グループのような感じで、結構ウネウネしています(笑)。起伏の激しいメロディもしっかりと唄えていますし、聴いていて気持ちがいいですよ。おそらくこういったヴォーカル・スタイルやメロディ・ラインがカントリー臭さを薄くしている一つの要因になっているのでしょうね。

また収録曲ですが、トーキング・モジュレーターをかけたギター・リフから始まる "Me And My Gang" や国内盤のボーナストラックとして収録されている Tom Cochrane のヒット曲 "Life Is A Highway" なんかはガンガンにロックしていてカッコいいですし(Gottahrd みたい/笑)、レゲエ調の "Yes I Do" に挑戦したり、裏の裏をかいて純度100%の疾走カントリー・チューン "Backwards" をブチ込んで来るあたり「こいつら只者ではないな!」と思わせてくれます。さすが全米ビルボード No.1 を獲得したアルバムだけあり、楽曲の質の高さは折り紙付きですぜ!

そうそう、驚くことに彼ら、ライヴではあの Boston の曲をカヴァーしているんですよ。しかも選曲が "Foreplay / Long Time" という渋さ!(笑) 残念ながらオリジナル・アルバムには収録されていませんが、DVD リリースのライヴ盤で聴くことが出来ます。かなりカッコいいですから興味のある方は是非チェックしてみてください!



Rascal Flatts / Rascal Flatts (2000)

2007-07-14 11:54:37 | Music > Country
 
彼らの曲を初めて聴いたのは、とあるテレビ番組の BGM でした。ポップ・カントリーを基調とした陽気で爽やかなサウンドに、すぐさま心を奪われましたね(笑)。すぐさまネット検索に向かい、彼らが Rascal Flatts というグループだということを知るわけですが、程なくしてすべてのアルバムを揃えたことはいうまでもありません(笑)。

そんな出会いの曲が、本作に収録されているオープニング・ナンバー "Prayin' For Daylight" です。Faith Hill あたりのサウンドがお好きな方には文句なしにお薦め! どの曲でもそうですが、カントリー臭さは極力抑え目にポップ感覚抜群でグイグイと押してきます。Gary LeVox, Jay DeMarcus, Joe Don Rooney の三人のヴォーカル・ハーモニーも絶妙で、昨今のボーイズ・グループにも引けを取らない美しさです。クレジットを眺めるとギターに Brent Mason や Dann Huff といった名前がチラホラと見えますよ(笑)。

今までに四枚のアルバムをリリースしており、セカンド・アルバム "Melt" はデビュー作とほぼ同一路線。昨年発表された最新作 "Me And My Gang" はカントリーという枠に囚われない幅広い音楽性が魅力で、一般の洋楽リスナーでも違和感なく聞けるアルバムだと思います。ちなみに個人的には、最もポップで高揚感のある三枚目 "Feels Like Today" がお気に入りです。



大和ブルーグラスフェス

2007-05-02 10:27:55 | Music > Country
 
近々、神奈川県の大和市で「第一回大和ブルーグラスフェス」が開催されます。最近ご無沙汰だった mixi を散策していたら見つけた情報です。一般入場は無料とのことですし、家からそんなに遠くないので都合がつけば足を運んでみるつもり(相変わらず予定は未定だけど・・・)。出演は日本のアマチュア・バンドが中心のようですが、生のブルーグラスに触れる機会が身近に訪れるというのは嬉しい限り。興味のある方は是非!

野外フェスなので晴天だといいなぁ・・・。


大和ブルーグラスフェス 公式サイト:
http://marumin.no-ip.com/yamato/

大和ブルーグラスフェス ポスター:
http://marumin.no-ip.com/yamato/poster01.jpg


Albert Lee の教則ビデオが DVD 化

2006-11-15 21:30:57 | Music > Country
 
DCI から出ていた "Advanced Country Guitar" と "Virtuoso Techniques" の二本の教則ビデオが 2 in 1 の DVD としてリリースされました。今までもバンド・パフォーマンスの部分だけは "Highlights" という DVD で観ることはできましたが、教則部分も含めたフル・サイズの収録は今回が初めてです。リリース元は "Highlights" のときの Warner Brothers Pub. から Alfred に変わっています。去年の初め同じように 2 in 1 で DVD 化されたモース先生の DCI 教則ビデオはまだ Warner Brothers Pub. だったんですけどね。以下は DCI からリリースされたときのオリジナル・カヴァーです。




Skip, Hop & Wobble (1993)

2006-11-11 11:51:55 | Music > Country

Jerry Douglas - dobro
Russ Barenberg - acoustic guitar
Edgar Meyer - acoustic bass

with special guest:
Sam Bush - mandolin

ブルーグラスの枠を越えて活動しているミュージシャンたちはジャズ・アルバムのように特にバンド名を冠することなくアーティストの連名で作品をリリースすることがよくあります。バンドとして新たな音を模索するのではなく、互いに持ち寄った音楽性から生まれてくるサウンドを本人達が楽しんでいるといった具合です。本作も Jerry Douglas, Russ Barenberg, Edgar Meyer という三人の名手が自分達のバック・グラウンドを生かした、ある種ブルーグラス・ジャズともいえる味わい深い世界を作り出しています。Jerry の変幻自在なドブロ、Russ のメランコリックなギター、Edgar のクラシックのテクニックに裏打ちされたコントラバス、どこかブルーグラス的なニュアンスを漂わせながらも、その卓越したインプロヴィゼーションはジャズ・ミュージシャンに勝るとも劣らないでしょう。またセッションは張り詰めた空気とは対極の終始和やかでリラックスしたムードで進行しますから、秋の夜長に聴くアコースティック・ミュージックとしてもお薦めです。ブルーグラス界のロック野郎こと Sam Bush のゲスト参加も嬉しいところですね(笑)。


Jerry Douglas / Fluxedo (1982)

2006-11-09 23:16:54 | Music > Country

Jerry Douglas - dobro, lap steel, vocal
Russ Barenberg - guitar
David Parmley - guitar
Ricky Skaggs - guitar
Sharon White - guitar
Sam Bush - fiddle, mandolin, slide mandolin
Bela Fleck - banjo
Phil Gazell - harmonica
Mark Schatz - bass
Cheryl Warren - bass
Buck White - piano

1st の路線を踏襲しつつも、ドーグ過ぎず、ブルーグラス過ぎず「これぞ Jerry 流のニュー・グラス・サウンド!」といった楽曲が並ぶ 2nd アルバム。特に Bela Fleck と Sam Bush が参加しているオープニングの "Tennessee Fluxedo" は圧巻です。"Fluxedo" という言葉は "Fluxology" と同様、Jerry のニックネーム "FLUX" をもじった造語で、そのままアルバム・タイトルにもなっています。ちなみに本作では Jerry 唯一の書き下ろし曲です。続く "Sunny Skies" は James Taylor のカヴァー(オリジナルは 1970年の "Sweet Baby James" に収録)。前作の "Say A Little Prayer For You" と同様、さりげなく唄ものを取り上げるところに Jerry の懐の広さを感じます。Boone Creek 時代の名曲 "Intro" は Jerry と Ricky Skaggs の共作。オリジナルではドラムやベースを加えた躍動感のあるアレンジでしたが、こちらはダブル・ベースがそっとリズムを支える程度、とても落ち着いた雰囲気で聞かせてくれます。スラーやスタッカートを生かしたフレーズがいかにもドブロらしくて素敵です。ちなみに「イントロ」というタイトルではありますが、れっきとしたフルサイズの楽曲です(笑)。Don Reno も取り上げていた "Cincinnati Rag" では DREGS の "The Bash" 並みにノンストップで痛快な Jerry のソロが聞けます。サステインの効いたロールはドブロならではで「息つく暇もない!」とは正にこのことですね(笑)。本作では本業のドブロ以外に "I Think It's Gonna Work Out Fine" でラップ・スティールをプレイしています(ラップ・スティールとは膝の上に乗せて演奏するタイプのスティール・ギター)。非常にメロディ・ラインの美しい曲です。また "Ben Dewberry's Final Run" では珍しくヴォーカルまで披露しています。Jerry の渋い声とハーモニカの音色はなかなか相性がいいようです。

本作は未CD化ですが、コンピレーション盤 "Everything Is Gonna Work out Fine" で収録曲のすべてを聴くことができます。ちなみにオリジナル・アルバムのトラックリストは以下の通り。

Jerry Douglas / Fluxedo (1984) [Rounder 0112]

01. Tennessee Fluxedo
02. Sunny Skies
03. Intro
04. Tell Her Lies (And Feed Her Candy)
05. Birth Of The Blues
06. Nite Crawler
07. Cincinnati Rag
08. Panhandle Rag
09. I Think It's Gonna Work Out Fine
10. Ben Dewberry's Final Run



[YouTube] Ricky Skaggs / Country Boy (Live)

2006-11-03 10:31:40 | Music > Country
しつこいようですが、もう少しだけ "Country Boy" ネタを紹介させてください(笑)。だって Alison Krauss がハーモニー・ヴォーカルとフィドルで参加している "Country Boy" があったんですもの! フィーチャー度が低いのがちょっぴり残念ですが、こんなのが観れるなんて驚きです。また「ライヴ」ですから Ricky Skaggs の偽りの無いギター・テクニックも堪能できますよ。ハーモニカはもう一人のゲストである Clint Black がプレイしています。

Ricky Skaggs / Country Boy (Live)

Ricky Skaggs / Country Boy (1984)

2006-10-31 22:48:52 | Music > Country

The Ricky Skaggs Band:
Ricky Skaggs - vocals, guitars, mandolin
Jesse Chambers - bass
Bruce Bouton - steel
Gary Smith - piano
Bobby Hicks - fiddle
George Grantham - drums
Lou Reid - banjo

Crom Tidwell - kazoo
Eddie Bayers - drums
Joe Osborn - bass
Dennis Burnside - piano
Lloyd Green - steel
Bill Monroe - mandolin
Buddy Emmons - steel
Molly Bright - harmony vocals

先日、アルバート爺ちゃんの名曲 "Country Boy" のライヴ映像を紹介しましたが、オリジナルは 70年代に Albert 自身が在籍していた英国のロック・バンド Heads Hands & Feet のデビュー作に収録されています。自身のソロ・アルバム "Hiding" で再演したことにより一気にその名が知られるようになりました。ハード・ロックで例えるなら "Smoke On The Water" に相当するカントリー・ギター・ファン必聴の名曲です!(笑)

実はこの "Country Boy"、Albert Lee 本人だけでなく、Ricky Skaggs というブルーグラス出身のカントリー・スターにも取り上げられているんですよね。ロック・バンドが生み出したカントリー・チューンが本家のアーティストにカヴァーされるなんて本当に名誉なことだと思います。しかも Ricky はこの曲をアルバム・タイトルにまでしてしまうという熱の入れようです(笑)。もともと Albert とは Emmylou Harris のバック・バンド時代の同僚で、"Hiding" 版の "Country Boy" にもフィドルとハーモニー・ヴォーカルで参加していました。Ricky のヴァージョンは Heads Hands & Feet のオリジナル版ではなく、この "Hiding" 版をベースにしていますから、おそらくセッションの合間にでも Albert から直接教わったのではないでしょうか。ブルーグラス・フィール溢れるカントリー・スタイルの演奏はさらにスピードを増しており、Ricky はあのリックをなんとアコギで弾き切っています(しかも唄いながら!)。後半にはアコギやマンドリン、フィドル、バンジョー等によるインタープレイが繰り広げられ、この手のバトルが好きな人にはたまらない展開となっています。

今回、僕も初めて知ったのですが、この曲には PV が存在していたんですね。まさかこの曲を試聴できるマテリアルが見つかるとは思ってもいませんでした。ただしチープな作りは失笑モノなのでその辺のツッコミはなしです(笑)。

Ricky Skaggs / Country Boy (PV)


"Country Boy" の話ばかりしてしまいましたが、アルバムは Bill Monroe の定番 "Wheel Hoss" や(本人もマンドリンで参加)、Peter Rowan の "Rendezvous"、Alison Krauss もカヴァーしていた Larry Cordle の "Two Highways"、Wayland Patton の "Something In My Heart" など全10曲を収録。ブルーグラス出身のアーティストらしいアコースティックなカントリー・サウンドで爽やかに聞かせてくれます。


Jerry Douglas / Fluxology (1979)

2006-10-28 09:56:55 | Music > Country

Jerry Douglas - dobro
Tony Rice - guitar
Wes Golding - guitar
Ricky Skaggs - fiddle
Terry Baucom - fiddle
Darol Anger - violin
Jack Hicks - banjo
Steve Bryant - bass
Todd Phillips - bass
Bobby Sloan - bass

70年代、The Country Gentlemen, J.D. Crowe & The New South, Boone Creek など数多くのバンドに在籍し、自らの腕に磨きを掛けてきた Jerry Douglas。そんな彼が満を持してリリースしたソロ・デビュー作 "Fluxology" が今回ご紹介する一枚です。ブルーグラスをベースとしながらも、その枠に捉われないアコースティック・ミュージックは当時のシーンにおいて、時代を一歩先行くサウンドだったに違いありません。すでに現在の Jerry を予感させるプレイやアレンジが顔を覗かせており、舵はしっかりと今のスタイルに向けられていたことを伺わせます。

アルバム・タイトルの "Fluxology" は Jerry のニックネームである "flux" と「○○学」を表す接尾辞の "-logy" を組み合わせて作られた造語。ちなみに "flux" とは「絶え間なく変化する」の意で、クロマティック・スタイルの Jerry のプレイを例えて名付けられたそうです。自分のプレイを形容した言葉がニックネームだなんて、何ともカッコイイではないですか!

今のところ、"Fluxology" は CD 化されておらず、アナログ盤が存在するのみですが、2nd アルバム "Fluxedo" とのコンピレーション CD "Everything Is Gonna Workout Fine" で全10曲中9曲を聴くことができます。2nd の方はフル収録ですから、かなりお得な一枚と言えますね(笑)。



唯一割愛されたのは Burt Bacharach の名曲 "Say A Little Prayer For You" のカヴァーで Aretha Franklin や Dionne Warwick の歌唱で有名な大ヒット・ナンバーです。以前 TV ドラマ「大奥」のエンディングとして使われていたこともありますから、ご存じの方も多いのではないでしょうか(この時のカヴァーは Kazami というアーティスト)。収録時間に余裕があるにもかかわらずこの曲が割愛された理由はわかりませんが、やはり 2 in 1 のカップリングでリリースして欲しかったですね。というのも僕が最初にお薦めしたかった曲が "Say A Little Prayer For You" なんですよ(笑)。サステインの豊かなドブロの音色とバカラック節と呼ばれる叙情的なメロディが見事にマッチしていて、美しく官能的な曲に仕上がっているんです。テクニカルなスタイルではないですが、ドブロの魅力がすごく伝わってくるアレンジだと思います。僕自身、この曲を聴いてドブロのサウンドが好きになったようなものですしね(笑)。アナログ盤の再生環境をお持ちの方は是非中古レコード店で "Fluxology" を探してみてください!

・・・とこういう書き方をすると、あたかも僕はアナログ盤を持っているように聞こえますが本当は違うんです(笑)。こんなマニアックな情報、誰が知りたがるのかはわかりませんが、実はこの割愛された一曲が収録されているコンピレーション盤が存在するんですね。もちろんこちらは CD です。Tony Rice の時もそうでしたが、NEC アベニューはまたしてもやってくれました。それが "Best Rounders" シリーズの Jerry Douglas 篇 "Jerry Douglas And Friends" です。Rounder はブルーズやフォーク、ブルーグラスなど、主にルーツ・ミュージックを扱っているアメリカのレーベル。20年近く昔になりますが、NEC アベニューはこの Rounder が所有する音源をアーティスト毎に編纂し、"Best Rounders" という名でシリーズ化していたんです。もちろんブルーグラス系のアーティストも多数リリースされました。幸運なことに、この時期は僕自身がブルーグラスを聴き始めた頃とちょうど重なるんです。右も左もわからないジャンルの音楽でしたから、手っ取り早くアーティストのことを知るにはまさに打ってつけのシリーズでしたね(笑)。



おそらく CD 音源での "Say A Little Prayer For You" はこのアルバムだけだと思います。今となってはアナログ同様こちらも入手困難な一枚になってしまいましたが、二枚の「技あり!」コンピは合わせて「一本!」の "Fluxology" になるわけです(笑)。ごくたまにですが中古屋でもこのシリーズの CD を見かけます。どのジャンルのコーナーに紛れ込んでいるかはわかりませんが、「ベスト・ラウンダーズ」というタイトルを見かけましたら是非一度手に取ってみてください。

おっと、これだけ長々と書いて、曲紹介がまだ一曲だけとは・・・(苦笑)。いい加減、先に進まないとアガサ・クリスティの名作のように誰もいなくなっちゃいそうですね(笑)。

アルバムは Jerry の自作曲とスタンダードがほぼ半々で収録されています。これはある意味「革新」と「伝統」という二つのスタイルをバランスよく織り交ぜた構成といえるでしょう。「革新」という点からいえばジャズやニューエイジの流れを汲んだドーグ・ミュージックの影響が強いですね。これは Tony Rice, Darol Anger, Todd Phillips といった David Grisman Quintet 時代の旧友が参加していることからも明らかです。こういったサウンドは Windham Hill や Narada といったレーベルのアーティストが好きな方なら受け入れやすいかもしれませんね。現に Darol Anger のようにブルーグラス出身でその方面に進出していったアーティストも少なくありません。その他では Ricky Skaggs, Wes Golding, Terry Baucom, Steve Bryant といった Boone Creek 時代の盟友らがバックを支えています。

オープニングは「これぞ Jerry の真骨頂!」といった感の "Fluxology"。タイトル曲であるところに自信のほどが伺えます。まさに Jerry の "flux" たる所以がギッシリ詰まった超絶ドブロ・チューンです。当時はこの斬新なスタイルを受け入れ難かったファンも多かったと聞きます。やはり天才は常に凡人の一歩も二歩も先を歩いているものなんでしょう(笑)。この曲ではそんな Jerry のスーパー・プレイに加えて、ギターに Tony Rice が参加しています。一聴して彼とわかるジャジーなリックがクールでカッコいいです。これもまた一つの聴きどころですね。ちなみに粋なヴァイオリン・ソロを聞かせているのは前述の Darol Anger・・・だと思います。というのも Fiddle として Ricky Skaggs の名前もクレジットされているんですよ。フレージングからすると Darol っぽいんですけどね(笑)。続けて Jerry の自作曲を紹介していきます。"C-Biscuit" はちょっぴりほんわかムード漂うコミカルな一曲。こういうスタイルのプレイを聴くと、ドブロって本当に表情豊かな楽器なんだなぁって思いますね。和音の使い方がクールな "Red Bud Rag"、強力なシンコペーションが味わえる "Alabam'" は Jerry のハイレベルなテクニックとアレンジ・センスが光る佳曲です。

本作に収録されているスタンダードについても簡単に書いておきます。"Randy Lynn Rag" は Earl Scruggs のペンによるバンジョー・チューン。主役の座はバンジョーに譲っているものの、やはりドブロの存在感は圧倒的です。"Wheel Hoss" はブルーグラスの創始者 Bill Monroe の曲で、オーセンティックな路線が好きな人にはたまらない一曲でしょう。Nitty Gritty Dirt Band も取り上げていた "Dixie Hoedown" は新たにドブロ・チューンとして生まれ変わりました。"FLUX" に決まりまくるロールが最高です! "Bill Cheatham" は Jerry のアレンジによるトラディショナル曲。そしてアルバムはドブロの独奏曲 "Blues For Vickie" でしっとりと幕を下ろします。

相変わらず書き出すと止まらないですが、書きたいことはほとんど書けたのでスッキリしました(笑)。二枚目以降はもうちょっと軽めにしなきゃ・・・(笑)。


to be continued...