本書は25才という若さで七大陸の最高峰を制し、世界最年少登頂を達成したアルピニスト野口健が波乱万丈の半生を語った自伝である。著者が人生に落ちこぼれ、自分自身を見失いかけていた若き日、一冊の本と出合うことから人生が大きく変わっていくことになる。世界に誇る冒険家、植村直己の「青春を山に賭けて」がそれであった・・・。
正直読んでいて胸が熱くなった。「誰のためでもない、自分のため」と言い聞かせ、「生きてやるんだ」と自身を鼓舞し、弱い自分と決別するために必死に生きている姿が克明に描かれているのである。自らの人生に終止符を打つ若者たちがニュースで取り沙汰される今の世の中、偉そうに正論ばかり並べている教育論者より、この本のほうがよっぽど説得力があるんじゃないかと思う。
「成功ばかりしている人の言うことには、真実味がない。失敗もしている人の言葉の方が信頼できる。」
僕が本書を読んでいて感じたこととまったく同じことを野口氏はこの本のなかで言っていた。数多くの失敗を経験した者だからこその本音だと思う。もし自分自身の存在意義に迷いや疑問を感じている人がいたら、是非この本を読んでみてほしい。這い上がるために必要なのはホンの小さなキッカケと後押しである。本書は自分の中にある小さな勇気の存在をきっと気付かせてくれるだろう。植村さんの本が野口氏の人生を変えたように、本書によって未来が大きく変わる若者がきっと出てくるに違いない。
僕のほうが野口氏より先に人生をスタートさせたはずなのに、いつしか僕の目に映るのは彼の背中だった・・・。
P.S. 彼のことをまだよく知らない頃、僕より五つくらい年上の方だとずっと思っていました(笑)。
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