「モース先生が参加しているから」というだけで何の予備知識もなく購入した一枚。ジャケットに書かれたそうそうたるギタリストの名前からかなり濃いギター・アルバムを予想していたのですが、実際にその手のスタイルが聴けるのはラストの "Jason" という曲のみ(彼らが参加している曲もこれだけ)。アルバムはオリジナルが十曲、カヴァーが二曲、インストが二曲という順で構成されており、オリジナル曲以外はボートラ的扱いかもしれません。
予想とはかなり異なるサウンドでしたが、実はこれがなかなかいい感じのメロディック・ロックで、ちょっとした掘り出し物を見つけた気分になりました。Deacon Street は Tommy Denander なるスウェーデン人ギタリストの AOR プロジェクトで本作が二作目になるそうです。各曲のヴォーカルは本人を含めた総勢八人で分け合っていますが、バックはほぼ固定された布陣なのでアルバムの統一感は損なわれていません。
ソフィスティケイトされた AOR 寄りのサウンドは時折メロハーの香りも漂わせ、オープニングの "Beautiful Chardaine" から爽やかな風を運んでくれます。Journey や Toto、最近の Chicago が好きな人にもお薦めですね。"Leann" なんか Fergie に歌わせたらモロ "Isolation" アルバムのサウンドだもん(笑)。"The Promise Of Forever" や "I Give This Promise" といったちょっぴり Backstreet Boys っぽいバラードもお気に入り。"(Kill Us) On Another Day" は "Images And Words" の頃の Dream Theater をほんのりと感じさせるサウンド。ヴォーカルの唄い回しも何となく James Labrie っぽいしね。ところでタイトルまで似ているのはご愛嬌?(笑) "Action" はハード・ポップ・バンド Sweet が残した名曲で Def Leppard も取り上げていましたね。他にも多くのバンドがカヴァーしていますが、個人的にはトリッキーなギターが満載の Steve Stevens ヴァージョンが「サイコー!」とか思っているので、機会があったらこちらも聴いてくださいませ(笑)。Deacon Street 版は Joe Elliott ほど個性的な声でもなく、Steve Stevens ほどギターが目立っているわけでもなく、仕上がりとしては普通といった感じかな(笑)。ちなみにもう一曲のカヴァーは Kiss の "Easy As It Seems" です。アルバムを通して一撃必殺のキラーチューンはなかったのですが、その他のオリジナル曲も平均点以上の出来で「好盤」といってもいい一枚だと思います。
さて、本作の目玉?である先生(その他大勢)参加の "Jason" ですが、正直微妙です(笑)。先生のプレイだけが目当てなら近年稀に見る失望系かも・・・(プレイ内容云々ではありません)。最初から最後まで入れ替わり立ち替わり続くギター・ソロは興味のない方にとっては退屈極まりなく感じられるでしょう。かといってバトルというほど熱いプレイをしているわけでもなく、煮え切らない中途半端なフレーズが多いので、ギタリストの立場からしてもあまり感動がありません。でもいいんです、そんなことは。好きなギタリストが美味しいフレーズを披露してくれさえすれば! 先生のパートは 2:16-2:31 の15秒ほど。軽いタッピングから入り、その後はやや流し気味のクロマティックラインが聞けるのみ・・・。短!!!
気を取り直して他の参加ギタリストを挙げておきますね(笑)。Jeff Watson, Reb Beach, Marty Friedman, Bruce Gaitsch、そして意外な人選 Christopher Cross です。まあ Christopher はもともとハード・ロッカーですし、Chris Geppert 時代には地元テキサスで行われた Deep Purple の公演で、体調を崩した Richie に替わりステージに立ったこともあるという方ですから・・・(Eric Johnson 談)。ちなみに個人的に一番ニヤっとしたプレイは懐かしの演歌フレーズが飛び出す Marty のソロでした。ちょっぴりファーストを思い出しちゃいましたよ(笑)。
そういえばこの曲、Jason Becker へのトリビュートなんでしょうかね。親友の Marty も参加していますし、ちょっと気になります。・・・とかなんとか書いてる間に Tommy の参加アルバムを調べていたら Jason Becker のトリビュート・アルバムがあったので間違いなさそう。しかも持っているアルバムも結構あるし(笑)。
とにかくアルバムのクォリティが低ければ撃沈するところでした(笑)。メロディック・ロックとしての魅力を感じることができる方は聴いて損はないと思います。先生のプレイ以外に興味はないという方は・・・財布と相談してください(笑)。
Tommy Denander Official Website:
http://www.tommy-denander.com/
"II" アルバム試聴
http://www.nehrecords.com/shop/DeaconII.htm