気分はガルパン、、ゆるキャン△

「パンツァー・リート」の次は「SHINY DAYS」や「ふゆびより」を聴いて元気を貰います

大原秋景色5 大原の法華堂と勝林院

2023年04月22日 | 洛中洛外聖地巡礼記

 三千院を出て、西の参道筋をさらに北へ進みました。この日の拝観予定は三千院まででしたので、それからは散策して帰るだけでしたが、その散策コースを嫁さんが「ちょっと北へ寄りましょう」と言って変更したのでした。

 それで、上図の律川に架かる赤い橋を渡りました。三千院の境内地の北を画する川ですので、これを渡れば他の寺院や陵墓のエリアに入ります。

 

 まもなく右手に上図の宮内庁管理地、後鳥羽天皇と順徳天皇の父子の陵墓がありました。その参道入口は平日のみ開けられるそうで、土日および春秋の繁忙期には閉じられています。なので、外から陵墓の聖域を遠目に覗き見るのみでした。

 

 その後鳥羽天皇と順徳天皇の父子の陵墓の区域の北側には、上図の法華堂が建っています。嫁さんは今回初めてその存在を知ったそうで、どういう建物なんですか、と訊いてきました。もともとは後鳥羽上皇の遺骨をおさめていた建物、つまりは納骨堂やな、と説明しました。

 後鳥羽天皇といえば、上皇となって後に鎌倉幕府に叛旗を翻して「承久の乱」を起こしたことで知られます。結果的には破れて隠岐に配流となり、そのまま亡くなりました。仁治元年(1240)、上皇と血縁関係にある梶井宮第二十世門跡の尊快法親王が、後鳥羽天皇と順徳天皇の菩提を弔うために水無瀬離宮から殿舎を移築して現在の御陵の位置に法華堂を建立し、後鳥羽天皇の遺骨を奉安しました。

 平安時代から鎌倉時代にかけての皇室、公家、武家の墓所は多くが仏教建築の堂宇として建てられ、法華堂や阿弥陀堂、多宝塔などの形式をとりましたが、現存する事例は僅かで、京都においては他に竹田の近衛天皇安楽寿院南陵の多宝塔が知られています。

 

 法華堂の説明板です。嫁さんが真面目に読んでいて、「尊快親王が梨本門主と書いてありますけど、梨本って?」と私を振り返りました。梨本は梨本坊のことで梶井宮の別称や、と答えておきました。

 天台宗の名刹に三門跡というのがあります。青蓮院、妙法院、そしてここ大原の三千院を指します。三千院の寺号は前述したように明治四年(1871)に京都市梶井町から現在地に移転してからの称で、それ以前は円融院と呼ばれました。円融院は中世から近世までは梶井宮とも呼ばれ、また梨本坊とも呼ばれました。

 この三門跡のうち最も古い歴史をもつのが円融院でした。もとは最澄が延暦年間(782~806)に比叡山延暦寺を開いた際に比叡山内の東塔の南谷の梨の大木の傍に一宇を構え、円融房と称したのに始まります。それで円融院の別名が梨本門跡であるわけです。
 そして円融院は比叡山東麓の坂本に里坊を構えていましたが、その所在地が東坂本の梶井(現・大津市坂本3丁目)であったために、梶井宮、梶井門跡の別称が生まれました。中世以降は正式名称の円融院よりも別称の梶井門跡のほうが広く使われて知られたようで、ここ大原でも梶井門跡の称のほうが定着しています。

 

 現在の法華堂は、仁治元年(1240)創建以来の建物が江戸期の元文元年(1736)に焼失した後、安永七年(1778)に再建されたものです。その後、幕末明治の後鳥羽天皇陵の修造に際して現在地に移築、それまで奉安されていた後鳥羽天皇の遺骨は陵墓のほうに埋納されています。

 

 法華堂参道口より北には勝林院の境内地が望まれました。

 

 勝林寺の門前には山門や土塀などの仕切り施設が無いので、参道筋からそのまま勝林院の本堂と前庭が見えます。嫁さんに「どうする?拝観していくか?」と声をかけましたが、相手は「ううん、次の機会にする。勝林院だけじゃなくて実光院も宝泉院もあるし、寂光院にもまた行ってみたいしね」と答えました。
 その後の予定は、四条河原町へ移動して東急ハンズ等で買い物、となっていましたから、ここは嫁さんの希望にあわせておくことにしました。

 

 なので、勝林院門前から川沿いに西へ下る上図の裏道をたどって大原バス停へ向かいました。

 

 この裏道の、実光院北側の土塀沿いの紅葉もまた見事でした。

 

 帰り道の景色は、道端の石仏といい、遠くの重なる山々といい、いかにも大原の里のそれでした。

 

 途中で、呂川沿いの参道に合流し、近くの呂川茶屋にて一服しました。嫁さんが「大原に来たからには焼き団子食べないと」と上図の名物の焼き団子を嬉しそうにほおばるのでした。
 これ、この団子の形や焼き方といい、藁造りの円環といい、ゆるキャン聖地巡礼で行った身延山ロープウェー奥の院で見た「くし切り団子」と一緒じゃないか、と思いましたが、口には出さないでおきました。

 秋の大原の紅葉と古寺特別公開見学の半日は、かくのごとしでした。  (了)

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