娘夫婦へ。「父からの贈り物」

この草履は、あなた達へ お父さんからの贈り物です。

夏の終わり頃、お父さんが 買って来ました。


店に来る道で、手作りをしている おばさんの店が 時々出ていて、
この草履を見つけて 可愛いし あなた達に どうかな？ と思って 見ていたんですって。

そして、何回目かの ある日 又 店が出ていたので 「これは あの子達が フランスか イギリスの部屋か庭で 履いたらちょうど良いな～」と思って 買ったそうです。



私が お父さんの店に着いたら、お父さんはとても嬉しそうに 戸棚から それを出して来て、

「どうや？ あの子達に ちょうど良いやろ？」
と 見せました。

「うわ～ かわいいね！ これは きっと喜ぶわ～」 と私も 嬉しくなりました。

これを どれにしようかと あれこれ選んで買う時の お父さんの様子を 想像してみて下さい。
かわいいでしょ？


その時、手作りをした おばさんは「男の人が 買ってくれはったんは 初めてです」
と言って とても喜ばはったそうです。


送ってもよかったんだけど、 長い間置いておいたのは
手渡したかったからです。


今度、あなた達が 帰って来た時か、私達がそちらに行った時に わたします。


「お父さんの贈り物」
それまで 置いておきます。