長岡天神の交差点のバス停に、バケツに入れた たくさんの切り花を路上に並べて おじさんが売ったはります。
昨日 信号待ちで見ていたら、おじさんは 持参のお茶を美味しそうに飲んで 麦わら帽子を取って首に巻いたタオルで 汗を拭いたはります。
凄く暑い日だけど、ちょうどバス停のテントとその上に大きな木が茂り いい感じに陰を作っています。
みどりのバケツに入った花は ほとんど 菊の花です。
小菊や中菊、白いの、ピンク色、黄色いの、といっぱいです。
「なんや、菊ばっかりやん!」と思ったけど、この暑さでは
菊ぐらいしか持ちこたえられません。菊の花は強いです。
菊の匂いがしてきそうです。
それから どんどん 思いは懐かしい菊の花へと・・・
昔、菊の花は どこの家の庭にも咲いていたし よくままごとでも遊びました。
特にちぎった時の あの菊の匂いはたまらなく好きでした。
1つ 想い出深い 遊びがあります。
仲良し三人組の まさ子ちゃん、よし子ちゃん、と私は この遊びを「ひみつ」と名付けていました。
その頃 菊の花は秋にしか咲きませんでしたから、この遊びは秋のことです。
その当時 庭でもどこにでもガラスの破片は 転がっていました。5センチから10センチ位の破片をいくつか拾って来て 土の上に置き、棒切れや釘で そのガラスの形をうつします。
ガラスを取って その形に土を掘ります。
その中へ 庭の菊の花を入れて飾ります。菊以外の花は皆しおれてしまいます。
大輪の菊は花びらをちぎって敷き詰め その上に綺麗な小菊や中菊を いろどり良く、葉っぱもあしらって 美しく飾ります。
そこへ 先程のガラスをはめ込みます。
そして、土を優しくかぶせて隠し 次の日の朝まで待ちます。
その時の三人だけの 「ひみつ」を持ったワクワク感は 子供心にもたまらないものでした。
次の朝、外が明るくなって来たら 一番に庭に出て 友達を待ちます。
三人が揃ったらら 「ひみつ」の土を ソ~と のけます。
その時は 皆 声をひそめて 「よし子ちゃんのきれいやな~」 とそれぞれのを ほめながら 1つづつ開けて行きます。
それはそれは 綺麗でした。
外の冷たい空気と土の中で、ガラスに 露がいっぱいついて 冷たくなった 菊の花は 本当に美しかったです。
今では、アンティークのお皿や 刺繍の柄 ちょっとした物に描かれた絵でも、薔薇 薔薇 と言って 菊の花だと がっかりしてしまいます。
家で おばあちゃんが庭に菊の苗を増やしています。
私は、小菊も大好き、野菊も大好き、菊の匂いも大好きなのに ・・・
それでも やっぱり゛おばあちゃん、菊の花はいらんのに゛と思ってしまいます。
かわいそうな 菊の花。