3月2日にメスのセボシの産卵管が伸びていたので、採卵しました。アブラボテやシーナンタナゴは強めに腹部を押さないと卵が出てきませんが、セボシは軽く擦るだけでドバドバ卵が出てくるので絞りやすいですね。
腹部を押すと内臓にダメージを与えそうという理由で人工授精を躊躇される方がいるようですが、タナゴ類は割りとスレに強いと思いますし、産卵管が最大限に伸びて白くなっているタイミングで行えば悪影響はあまり無いかと思います。卵が出ないときは無理せず次の機会をまちましょう…
とはいえ、繁殖・産卵させる行為自体がその個体の寿命を縮める行為になりますので、懸念自体は間違っていないと思います。
それと二枚貝に産卵させること自体は自然なことだと思いますが、一方的にタナゴ類がイシガイ類を産卵に利用しているだけで二枚貝は卵を産み付けられても何もメリットが無いです。
むしろ卵を産み付けられ過ぎて窒息死することもあるようですし、イシガイ目の二枚貝類はタニシやカワニナのようなありふれた生き物ではなく、希少な野生動物ですのでタナゴ以上に大事に見守ってあげるべき存在です。前回の記事でも書きましたが、乱獲に加担しないようイシガイ類の売買はやめましょう!
ハナシが人工授精から脱線してしまったので、軌道修正。
タッパーの色がミスマッチで申し訳ないですが…授精に使用したオスの発色はイマイチながら精液を出してくれました。
後日、発色したオス画像。貝無しでも飼育環境に慣れて水温が18度前後に上昇すれば、セボシタビラは発情します。
23度固定ヒーター管理で水深は2~3㎝にして、5日おき位に容器の3割程の水量を温度合わせした水道水で水換え。僕は全換水で無い限りは原則、カルキは抜きません。程々に殺菌効果がありそうだからです。
アブラボテの時も載せましたが、全体はこんな感じで湯せん方式です。それと普段はフタをして遮光してます。
左の土鍋容器には9匹入れていて、体が黒くなり卵黄は小さくなり、浮上が近いことが伺えます。
一方、右の伊万里焼?容器には20匹程入っていて、こちらは過密のせいか同じ3月2日生まれの土鍋容器のものと比べて発育が悪いです。
画質が非常に悪くて恐縮ですが、土鍋容器のものは3月19日に浮上しました。
この後、産卵箱の網目から稚魚はすり抜けてしまい周りにいた成魚に食べられてしまいました…これでは締まらないですので、、
発育の悪かった伊万里焼?容器のものも体が黒くなり、活発に泳ぎ回るようになり、浮上の兆候を見せたので3月25日に専用の30㎝水槽に移動させました。
稚魚の移動にはスポイトを使いますが、デリケートなこの時期に魚体を空気に触れさせると死んでしまうのでスポイトの先端を指で押さえて水と稚魚がこぼれないように移動させましょう。
卵黄がかなり残っている状態でも浮上することは浮上しますが、2~3日もの間ずっと苦しそうに水面付近で立ち泳ぎを続けていたので、卵黄が無くなる少し前に浮上用の水槽に移すのがベストだと思います。エサは後述しますが、卵黄が無くなる前までに与えましょう。
エサは屋外飼育容器のインフゾリアとブラインを沸かして与えました。腹がブライン色。
今朝のセボシ稚魚。体高が出てきて名前の由来である背鰭の黒斑がくっきり出てます。ここまでくれば人工飼料もガンガン食べてくれるようになります。
人によって、意見は分かれるかもしれませんがセボシタビラは飼育も繁殖も気軽に楽しめる魚だと思います。現在では国内希少野生動植物種に指定されてしまい、一般人の新規の飼育は叶わないものとなってしまいました。特定第1種国内希少野生動植物種への指定変更を行い、養殖ものの売買は認めるべきだと思います。
むやみやたらに一般人と生き物の距離を遠ざけようとするのはいかがなものかと思います。