野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

種差海岸を歩く

2019-01-23 08:56:47 | 旅行

 普段は時間をかけて新聞を読むことは少なくなった私だが、今朝の

「世界上位26人と下位38億人の資産が同じ」という記事には思わず

見入ってしまった。

 国際慈善団体オックスファムの報告によると世界上位26人の富裕層が

持つ資産は世界の下位半数38億人の資産に匹敵するのだという。

 この報告ではさらに、その資産格差は前年度に比べて富裕層は12%増え、

貧困層は11%減少したのだという。さらに富裕層の上位1%に0.5%課税を

増やせば、「学校に行けない2億6200万人の子どもの教育ができ、そのうえ

医療サービスの提供で330万人の命を救うことができる」としている。

等比級数的に拡大する格差社会の行き着く先には如何なる風景が待っているのか。

 4月から消費税が値上げされる日本でも同様に所得の格差は

益々広がっていくのだろう。 恐ろしい。

 

 さて青森の浅虫温泉の旅館に泊まった翌日。

 部屋から見えるおにぎり型の小島は湯ノ島という。吹雪の弱まった瞬間に

撮った写真なのだが、目の前にある小島がぼやけて見える。

 

 眼下の海上にはカルガモの群れが泳いでいた。

 

 浜辺には番の白鳥とヒドリガモ、カモメもいる

 

 予定ではこの日は一日陸奥湾沿岸を数か所訪ねてコクガンを探すことにして

いたのだが、天気予報によると今日は一日中吹雪とのことで断念。

朝食をいただいた後、穏やかな天気の八戸種差海岸を歩くことに計画を変えた。

 浅虫温泉駅に行く途中の浅虫海岸。

 

 民家

 

 

 10分ほど歩いて浅虫温泉駅に着いた。

青い森鉄道の改札口、駅舎の中は暖房がきいていて暖かい。

 

 8時54分の電車に乗った。

 

八戸で乗り換え、種差海岸駅に着いた時にはとうに11時を超えていた。

 空には青空が広がっていて、多少風はあるものの絶好のウォーキング日和だ。

青森市と八戸市、同じ県にあるとは思えない気候風土の違いだ。尤も昔は

津軽と南部で藩そのものが違っていた。土地の人の話では気風も随分と違うのだそうだ。

 

 私が歩いたのは種差海岸トレイルの一部分。ここは種差天然芝生地。

 少しだけ雪が残っている。

 

 

 日当たりの悪いところでは一面の雪景色。気温は氷点下を少し超えたあたり。

 

ウミウのフンで白くなった白岩。

 

 小さな漁港の桟橋にいたカモメはセグロカモメのようだ。

 

澤久保漁港と白浜漁港の間にあった巨岩。

 

 白浜漁港

 

 

 白浜海水浴場。平成18年に環境省認定の「快水浴場100選」に選ばれた。

 

 砂丘のように広いこの辺りは大須賀海岸、鳴き砂の浜辺が2㎞にわたって続く。

 

 

これもセグロカモメの群れ

 

 靴がめり込む砂の道より防風林ともなっている松林の下が歩きやすい。

 

 

 遠くの沖を大型船がゆっくりと通っていく。

 

 薄の原っぱ。

 

 

 中須賀から見た大須賀海岸。

 

 風は結構強いのに波はどういうわけか穏やかだ。

 

 少し離れた海上にクロガモの群れを見つけた。一羽が潜ると

合図があったかのように皆一斉に潜るのが面白い

 

 奥に一羽だけウミアイサが泳いでいる。

 

 こちらはシノリガモのようだ。

 

 前方に葦毛崎展望台が見えてきた。

 戦時中には海軍の監視所として使われていた。

 

 トレイルも終盤、鮫角灯台は日本灯台50選の一つ。

 

 マリエントという名の水産科学館

 

 電線の上ではスズメたちが遊んでいた。

 

 民家の間からみちのく潮風トレイルの起終点となっている蕪島が見えてきた。

 

 ウミネコの繁殖地としても有名な蕪島。

 

 

 終点の鮫駅に着いた。途中灯台に寄り道をして道に迷ってしまい、

やっとのことで14時8分発の八戸行きに乗ることができた。

 来るときの電車が40近く遅れたので、4時間で悠々歩く予定が

3時間と少しのせわしいウォーキングになってしまったのが残念だった。

 

 この辺で。

 

 


吹雪の三内丸山遺跡

2019-01-21 21:51:13 | 旅行

 正月以来、のんべんだらりと生きてきて、これじゃいけないと一念発起した。

 大人の休日俱楽部パスを使い青森まで吹雪を体験しに出かけてきた。

昼前に出て、4時間足らずで新青森駅に到着。何と早いものだ!

 電車を降りるとねぶたのミニチュアが出迎えてくれた。

 

 駅を一歩出ると本物の銀世界、吹きすさぶ風に情け容赦は全くない。

 

バス停にはバス一台もなく、人の姿もまったく見えない。

 

10分遅れでやってきた市内観光バスねぶたん号に乗って、念願の

三内丸山遺跡へ。(私は三内丸の山だと思っていたのだが、本当は三内地区にある

丸山遺跡ということらしい。つまり 三内 丸山 遺跡となる。)10分少々でバスは到着。

 

 周囲はすべて雪

 

建物の中に入るとやっと人心地がついた。

 

人の背丈より大きい土器がお出迎え。

 

 建物は時游館と呼ばれぐるりと一周するつくりになっている。

 

  遺跡入り口に従って左に入る。遺跡全体のミニチュア模型があった。

 

 その先外に出ると吹雪が待ちかまえていた。

 

 振り返った入り口はかまくらの入り口のようにすっかり雪に覆われている。

 

 しばらく進むと日本最大級といわれる縄文集落が見えてきた。

 

 あまりの寒さと強風で外に出ている観光客は少ない。

 

 

 

 三内丸山遺跡のシンボル 大型掘立柱建物が見えてきた。

 

 そばにある建物は復元された大型竪穴式住居

 

 軒先にできた氷柱もマンモスの牙のように大きかった。

 

 近づくと圧倒的な大きさが実感できる。5000年前にこんなものが作られていたとは……。

 

 

 

そばにある大型竪穴式住居に入ってみる、かなり広い。百人以上は

楽に収容できるようだ。

 

 囲炉裏のそばでどんな会話が交わされたのだろう。

 

 竪穴住居はこの遺跡だけで550棟以上!見つかっていて、規模の巨大さに驚かせれる。

 この遺跡ではそのうちの15棟が復元されている。

 

 高床式の建物もある。

 

 

 このドームのような建物がいくつかあってその中には遺跡が保存されている。

 

 大型掘立柱建物跡

 

 

 南盛り土。千年分の遺物がこの地層から発掘されたとのこと。

 

 建物のなかに戻って、さんまるミュージアムを見学

 

大型板状土偶

 

発掘された土器群

 

 

 

  思った以上の文化の豊かさにすっかり圧倒されてしまった。

 

 新青森駅まで戻って青森までの電車を待ったのだが、

吹雪はますます激しくなってきた。吹雪にさらされるホーム。

 

 やってきた電車も顔面が一面雪化粧だ。

 

 駅の外は一面の雪吹雪。その中で働く人たちがいる。

 

 今日はこの辺で。

 

 

 


銚子電鉄

2017-12-27 17:45:46 | 旅行

 生きている人間は捉えどころがなく不確かな存在だ。生きている人間に

唯一確実なことは「やがて死ぬということ」だけだ。このことだけは間違いがない。

でもほとんどの生きている人間は(私もだが)、死を他人事のように扱い自分には

関わりのないことだと思っているようだ。メメントモリ(汝死を覚悟せよ)という言葉があるが

我々にとって確かなことはただ一つ、いずれは死ぬことということだけなのだ。

 よりよく生きるためにそのことを忘れないようにしたい。

 

   久しぶりに18きっぷを使って関東最東端、銚子まで足を延ばしてきた。

思いはカモメを見たいのと、久しぶりに銚子電鉄に乗りたいという二つ。

3時間以上かかって着いた銚子駅。ホームの外れに銚子電鉄の改札がある。

 

 車内にいた女子高生風の車掌さんから切符を買う。

 車内の路線図

 

 4番目の笠上黒生(かさがみくろはえ)はもじって髪毛黒生と改名されていた。

 

  それにしても木製の電信柱と電気碍子、板塀などが懐かしい

 

20分乗ったら終着駅外川(とがわ)に着いた。運賃は340円。外川駅舎の

風格もなかなかだ。

 

 外川漁港をぶらつく

 

 ちょっと離れた岩にカモメがいるのだが、双眼鏡を使っても識別できない。

 

 サギ類にはサギがいない。キツツキという鳥もいない。がカモメ類には

れっきとしたカモメがいるのだ。

 

 

  私が本物のカモメですと言わんばかりに胸を張っていた。

 

 引き返す方向に海岸沿いを歩く。犬吠埼の灯台が見えてきた。

 

 天気予報は晴れだったのだが、昼に近づいたら雲が多くなってきた。

 

 遊歩道。

 

 時折イソヒヨドリが出迎えてくれる。

 

灯台の下まで歩いてきた。このあたりの地層は中世代白亜紀の「銚子層群」と言われている。

白亜紀の地層の上にたつ白亜の灯台。

 

 雲間から洩れた陽射しが岩礁を照らしている。

 

 

 

 

 沖合を大きな船がゆっくりと通り過ぎていく

 

 右の建物は元ホテルで今は廃屋となっていた。

 

 洒落た感じの犬吠駅。ここでぬれ煎餅を手土産に買った。私は濃口が本来は好きなのだが、

塩分控えめということで泣く泣く薄口にした。

 

 

 再び銚子電鉄に乗った。銚子漁港に一番近い観音駅までは300円。

 

 観音駅から銚子漁港まで歩く。途中気合の入った建物に遭遇。

船舶電機とは初めてだが、船用のランプや配電盤等を扱っている店のようだ。

 

 

 10分も歩いたら銚子漁港に到着。

 

対岸の桟橋にカモメが見えるのだが、遠すぎて種類までは良くわからない。奥にいる鵜は

カワウではなくウミウ。

 

 間近の海面に突然顔を覗かせたウミウ

 

 此方はウミウと対照的なカンムリカイツブリ

 

停泊している船の傍をたくさんのカモメが飛び交うのを暫く眺めていた。

 

 銚子大橋の手前で来たところで帰りの時間も来たようだ。

 急いで駅に駆けつけて、14時台の千葉行きに乗って帰った。

 

この辺で。


道央の春を行く ⑥

2017-05-24 20:34:24 | 旅行

 札幌滞在4日目の朝は、前日とは打って変わって気持ちよく晴れた。昼過ぎの

便までは5時間近くもあるので、ホテルから大通りを歩いて散歩することにした。

大通り西のはずれにある札幌市資料館は、1926年に裁判所として建てられたもの。

 

 まだ朝が早いせいか人通りは少ない

 

とても町のど真ん中とは思えない、緑の豊かさ。

 

 有島武郎文学碑があった。

 

 大通り公園はそこかしこで様々な工夫が凝らされ、歩いていて飽きない。

 

 

  公園の真ん中の大型トラックは、次なるイベント(ライラック祭り)の準備のための

机や椅子を下ろしていた。

 

 エゾヤマザクラが満開だ。

 

中心に向かうにつれ、人通りが少しずつ増えてきた。

 

 

 4日前来たときには蕾だったライラックも咲きだした。

 

 こちらの方ではすでに満開状態で、微かな甘い香りをまき散らしている。

 

 開拓記念碑。明治34年札幌に初めてできた公園ー偕楽園から移設したものらしい。

 

昭和60年完成した野外ステージ

 

  テレビ塔をバックに記念写真を一枚。

 

 そのテレビ塔が見えてきた。

 

 昭和14年完成したつちょっとアナクロな聖恩碑

 

 

西3丁目の噴水

 

 旧北海道庁前の通り

 

旧北海道庁の建物、観光客が少しずつ集まり始めている。

 

 咲き誇るエゾヤマザクラ

 

 白と紫のライラック

 

 まだ時間に余裕があったので、裏手の北大植物園に再び寄った。

 

 巨木の下を歩いていると都会の真ん中にいるのを忘れてしまう。

 

 

 アカゲラが鳴きながら飛び去って行った。

 

 東屋で休んでいると、様々な野鳥の声が聞こえる。

  

 中国の若い女性4人連れに頼まれ写真を撮ってあげた。

 

 

 本州では山地でしか見られないキビタキもいる

 

 

 これはハクセキレイ

 

 ムラサキセイヨウブナの大木

 

 

 

 取り立てて何もすることなく、一時間余りをぼっと過ごした。

何もないけど、いや何もないからこその満ち足りた時間だった。

どうやらここでは内地では味わえない、特別な時間が流れているようだった。

 この辺で。

 


道央の春を行く ⑤

2017-05-23 20:41:01 | 旅行

 三日目は朝から天気が悪かった。風邪をこじらせたのか余り

体調も良くなかったので、近郊の野幌森林公園を訪ねることにした。

 ここは新札幌駅の近く(バスで13分)にある公園だが、札幌面積2000ha超ととにかく広い公園だ。

 

 着いたのは記念塔口。百年記念塔が出迎えてくれた。

 

 開拓100年を記念して建てられたこの塔の高さはちょうど100m、以前は展望室があり

中に入れたようだが、今は老朽化し立ち入り禁止とされている。

 窓のあるあたりが8階の展望室であったところ。

 

 今回は探鳥が目的なので大沢口へ

 

 さっそくアカゲラに遭遇。

 

 遊歩道わきの湿地帯にはリュウキンカ

 

 オオバナノエンレイソウ

 

 コゲラもいる

 

本州ではおなじみのメジロ

 

 大沢口にある自然ふれあい交流館。ここでは私的には全く情報は得られなかった。

 

 

シラネアオイ

 

 先ほどからツツドリの「ポンポン ポンポン」という声がすぐ近くで聞こえている。

暫らく姿を探すも発見できず。

 

 

雨の中カタツムリが元気に歩き回っていた。

 

 良い香りがすると思ったら桂の大木

 

道端にはヒトリシズカ

 

 

 またアカゲラに出会った

 

これは待ち望んだのシマエナガと思ったら、本州でもおなじみのエナガだった。

 

 しかもすぐ逃げられた。

 

オオカメノキ(ムシカリ)

 

 

 キツツキ類の開けた穴。四角いのはクマゲラというから、これがクマゲラの跡だろうか

 

ニシキゴロモ

 

エゾタチツボスミレ

 

 

湿地帯にはミズバショウの群落

 

 

 ミズナラの木に寄り添って咲いているこの花は、ツルシキミでいいのだろうか

 

 ネコヤナギの仲間?

 

エンレイソウの群落

 

 遊歩道をぐるっと回って15km、とても都市郊外の公園とは思えない自然と大きな

スケールを持った公園だった。ただ、自転車も通ることのできる遊歩道であるのは

私的にはどうも頂けなかった。 せっかく見つけた鳥が、自転車によって飛び去ってしまうのは

何とも残念だった。

 それにしても、クマゲラはまだしも、キツネやエゾリスぐらいには出会いたかった……ナァ。

 

 この辺で。