T-55によるダイナミックカップリングアンプのType2の2回目になります。
前回、初段とドライブ段をAC結合することで出力段のT-55のカソードは、0電位へ接続可能、また、ドライブ段の定電流回路による電流制御で出力段のプレート電流は制御可能ということを記載しました。
しかし、単純にそうしただけでは音は出ないよ、ということで、どうするか、この内容で1週間引っ張ったわけですが、下記の回路に1つ部品を付け加えることで音が出るようになります。
答えは、下記のようにコンデンサを追加するが正解です。
定電流回路はインピーダンスが高く、カソード側と比べて信号成分が支配的になるため、信号成分をバイパスする必要がある、というのが答えだと思っています(なお、違っていましたらどなたかご指摘ください)。
最終的には、下記のような回路で製作しました。
さて、気になるType1とType2によるアンプの音質ですが、ほとんど差がないかなと思いましたが、わずかにType2の方が、優しい音のように感じました。この辺はカップリングコンデンサの有無に関係するのだと思います。あと、Type1の回路の場合、帰還回路のトランジスタを発熱が大きい定電流回路と同じ放熱板につけている場合、熱で劣化し音がドンシャリ音に変わってきますので注意が必要です。
ここ数年、カップリングコンデンサは下記の古い松下のオイルコンを使用しており、目立たないコンデンサですが、音は優しく自然な感じがすると個人的には思っています。
フィルムコンもいいのですが、印象としては音がきっちりとして耳には若干きつい印象があり、オイルコンがあれば優先して使用しています。
なお、古いオイルコンはリード線の部分がゴムでシールされているものがありますが、こういうのは大抵絶縁が劣化しており、カップリングコンとして使用した場合、直流分もわずかに流れますので、次段の真空管のグリッド電位が高くなり、プレート電流が大量に流れてプレートが赤熱したりします。
古いLUXや山水など日本製のアンプでよくプレートが赤熱したアンプを見かけますが、ほとんどは、カップリングコンの絶縁不良が原因と思われます。また当時の同じコンデンサを未使用の状態でいくつか購入し確認してみましたが、残念ながら全部絶縁不良で捨ててしまったことがあります。
この松下のオイルコンはシールが樹脂の様で、入手したものはほとんど劣化していないと思われ、絶縁不良は今まで一度もなく良好です。海外製などでは、軍用でハーメチックシール(ガラスによるシール)のものがありますので、価格は高いですが信頼度が違いますので、オイルコンはこういうのを選んだ方が良さそうですね。
また、古いオイルコンは、導体の巻き始め、巻き終わりがあり注意が必要です。どちらかをアース側に接続するのだったと思いますが、忘れてしまいました。いつもは、巻き終わりと思われる側をアース側(仮想アース含む:グリッド側など)になるよう接続しています。
これも忘れてしまったのですが、確か巻き始めの印がコンデンサにはついていたと思います。上記の写真でいうと、下側のコンデンサに”縦棒”のマークがありますが、これが確か巻き始めだったように思います(記憶が定かではないので巻き終わりの可能性もあります)。
一方、現代のフィルムコンやフィルムコンをベースにしてオイルに浸しているコンデンサは、巻き始めや巻き終わりの概念はありませんので、気にせず使用しても大丈夫です。絶縁体に導体を蒸着したフィルムを2枚重ねで撒いたロールの両端にメタリコン処理を施し、ここにリード線をハンダしますので、導体全体にわたって電極が接続されますので、巻き始め、巻き終わりの概念がありません。このため、こういうコンデンサで、巻き始め、巻き終わりを議論しても無意味です。
イラストがあれば、わかりやすいのですが、ネットでも出ていますので「メタリコン コンデンサ」あたりで検索してみてください。
ということで、アンプというよりコンデンサの話になってしまいましたが、Type2の話はここまでということで。