78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎西加奈子の『さくら』を読んでみた

2009-10-23 23:17:01 | 小説30冊読破への道
超美形の外見とは裏腹に内に籠もった妹。
肥満化し酒に溺れた母。
人生に疲れて失踪した父。
そして大学進学のために家を離れた“僕”。
わずか20年4ヶ月の命だった兄の死が招いた家族の崩壊。
そんな家族の誰もが愛する存在が、12歳の老犬「サクラ」だった──





今回はあえてネタバレはしない。

結論から言うと35点。

26万部も売れたらしく、本屋の「なんちゃら文庫100選」みたいなコーナーに目立つように置かれ、帯にはチュートリアル徳井の絶賛コメント。

完全に釣られました。



内容自体はそんなに悪くないのだが、
本筋に大して影響を与えない過去話が異常に長い。本編の8割は占める。
そりゃ読んでて辛かった。大した事件も起きない淡々とした日常が坦々と描かれるだけの過去話。
これがどっかの芸能人の過去であるなら興味を持って読める。だが全部作り話なのだ。
感情移入なんて出来るわけがない。



というわけで冒頭以外は過去話が延々と続く317ページまでは長いプロローグ。
318ページからが本編である。そこから読んでも内容理解に支障はない。
妹の名前がミキで兄の名前が一(はじめ)、そして「矢嶋さん」が兄の彼女であることだけ知っていればOKである。
あとは暇な時に本屋に行って318ページから立ち読みでもすればいいだろう(マテ

そしてラスト。
読む人によっては感動すると思う。だが当方はしなかった。
内容が悪いわけではない。表現というか書き方が悪かったのだろう。もったいない。
まあ読んでみれば分かります。



巻末の「解説」は比喩が面白いとか絵が具体的に浮かび上がるとか言ってるだけで、内容にはほとんど触れていない。
その比喩でさえも、エッセイストの東海林さだおにすら遠く及ばない。
26万部売れたというだけで、別に何か賞を受賞したわけでもない。
つまりはそういうことだ。

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