78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎『おそ松さん』2期1話感想……1話を改めて作るということ

2017-10-08 11:22:05 | ほぼ週刊サンマイ新聞

 TVアニメの2期というものは鬼門である。1期が人気だったからこそ2期が決定するわけで、その1期で上げてしまったハードルを超えない限り2期の評価を高く得ることは容易ではない。1期1巻の円盤を10万枚以上も売り上げ社会現象レベルにまで達した『おそ松さん』の2期が決定した時も、ファンは内容に対する不安を抱いていたのかもしれない。

 

 そして2017年10月2日、満を持して『おそ松さん』2期の1話は放映された。全話視聴した1期を全体的にとても面白かったと思っている当方は、この1話のBパートは確かに面白いと思えた。しかし、個人的にAパートは完全にスベっていた。


(※追記:TV放映時の本編は途中にCMやアイキャッチを挟まない特殊な構成だった為、厳密にはAパート、Bパートという区切りではありませんでした。ニコニコ動画で視聴した為勘違いしていました)


六つ子が『一発当てた』ことで富と名声を得るという設定はリアルでの作品人気とリンクする部分もありメタネタとしては決して悪くなかったのだが、その結果が全員ただ太っているだけという、あまり大きな捻りを感じられなかった。歌手デビューを果たしたカラ松の持っているCDが何故か8cmという細かいネタの幾つかにクスリとはしたが、おそらく1期でハードルを上げ過ぎたのだろう。想像の斜め上の更に斜め上を行く笑いを持ってこない限り、キャラ萌えとは無縁の面白さという観点のみで1期を評価している当方のような人々を満足させることは難しいのかもしれない。Bパートにはそれがあったので今回は良かったが、問題は2話以降となるだろう。

 

 しかし、この2期1話に限って言えば、面白さ以上に『1話を改めて作った』ということに大きな意義があると当方は感じた。ちょうど2年前、忘れもしない1期1話のお蔵入り騒動。TV放映こそされたが、その後ネット配信の完全停止と円盤未収録という伝説を残した。1期1話の完成度はとても高く、あの1話が無ければここまで話題にはならなかっただろう。ただパロディネタを詰め込みすぎて問題視された(と思われる)だけのことである。『おそ松くん』が成長して『おそ松さん』になるまでの過程の物語としてはとても良い出来に仕上がっていただけに、お蔵入りはとても勿体無いことであった。その過程の物語を一から作り直したという意味において、2期1話はとても意義があったということである。今度はパロネタもほどほどにし(無くなったとは言っていない)、お蔵入りにしない為の配慮もなされた上でちゃんと笑いがあった。

 

 おそらく2話以降は普通の物語に戻る。前述の通り、恐ろしいほど高くなってしまったハードルを超えられるかは不明である。そもそも1期の人気も、今になって振り替えれば面白かったのはもちろんだが、それ以上に女性ファンによるキャラ萌えと声優人気のウエイトのほうが大きく占めていたようにも思う。Aパートは制作側がそれに甘え過ぎた結果なのだろうか。純粋な面白さのみを追求する男性ファンが果たしてどこまでついていけるかに注目したい。

 

(#24:1167字)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿