2016年7月期TVアニメで最も注目度の高い『ラブライブ!サンシャイン!!』だが、7月16日に放送された3話がネット上で賛否両論になっており、その多くが2013年に放送された『ラブライブ!』(以下、無印)3話との比較によるものである。
無印とサンシャイン、それぞれの3話の内容はこぼれ話を参照していただくとして早速考察に入るが、どちらも“3話の意外性”を求めた点では共通している。3話に山場を持ってくるアニメは無数に存在するが、無印の3話も「ファーストライブで無観客」という衝撃があった。サンシャインの3話でAqoursのファーストライブ開催が決まった瞬間、結局無印の二の舞を踏み、意外性に欠けた展開になるのかと当方はがっかりしていた。案の定本番では観客の少ない様子が描かれ、おそらく高海千歌が懇願するなどして解散しない方向に持っていくだろうなとその時は思っていた。しかし実際は停電復旧のタイミングで満員となり、失敗に見せかけた成功だった。無印3話の衝撃には及ばないが、サンシャインの3話も確かに当方は驚かされた。
だが3話の意外性を求めるあまり、脚本の粗が目立ってしまう結果にもなっている。照明などのサポートメンバーも居ながら開始時間を間違えるのはありえないし、停電から復旧までの1分足らずの間に大勢の観客をすんなり入れられるわけがない。生徒会長の黒澤ダイヤが理由を説明するフォローはあったものの、それにしても何の実績もない無名の女子高生のライブでこんなに人が集まるのは不自然である。
ライブで披露されたオリジナル楽曲『ダイスキだったらダイジョウブ!』も、無印の『START:DASH!!』に比べると遥かに印象にも残っていない。これは落雷による停電で曲が中断されてしまったことも一因となっているが、それを抜きにしても「完敗からのスタート」を切った少女たちの現状と歌詞も曲調もリンクしていた『START~』には遠く及ばないのだ。
そして特筆すべきは感情移入できないAqoursの存在。メイン3人のキャラが弱く、動機もただ「輝きたい」だけで、廃校の危機でも無い為緊張感に欠ける。学校を背負う使命感を持つスクールアイドルというよりは、スクールアイドルに憧れた一般人のアイドルごっこにしか見えないのだ。楽曲の軽さもそれを表している。
ともあれサンシャインは3話にしてようやく無印からのループ的展開を脱しつつあることは確かである。ライブ前には手を重ねていたμ'sだが、それを思い出した千歌は敢えて「繋ごっか」と言い、3人で手を繋ぎ輪になってからの「あったかくて好き」は名シーンだと思うし、その瞬間からμ'sからの脱却は始まっていると当方は解釈している。4話は予告から察するに1年生組が加入する話となりそうで、無印の同じく4話を彷彿とさせるが、サンシャインならではのオリジナリティ溢れる展開に期待したい。
(#10:1193字)
無印とサンシャイン、それぞれの3話の内容はこぼれ話を参照していただくとして早速考察に入るが、どちらも“3話の意外性”を求めた点では共通している。3話に山場を持ってくるアニメは無数に存在するが、無印の3話も「ファーストライブで無観客」という衝撃があった。サンシャインの3話でAqoursのファーストライブ開催が決まった瞬間、結局無印の二の舞を踏み、意外性に欠けた展開になるのかと当方はがっかりしていた。案の定本番では観客の少ない様子が描かれ、おそらく高海千歌が懇願するなどして解散しない方向に持っていくだろうなとその時は思っていた。しかし実際は停電復旧のタイミングで満員となり、失敗に見せかけた成功だった。無印3話の衝撃には及ばないが、サンシャインの3話も確かに当方は驚かされた。
だが3話の意外性を求めるあまり、脚本の粗が目立ってしまう結果にもなっている。照明などのサポートメンバーも居ながら開始時間を間違えるのはありえないし、停電から復旧までの1分足らずの間に大勢の観客をすんなり入れられるわけがない。生徒会長の黒澤ダイヤが理由を説明するフォローはあったものの、それにしても何の実績もない無名の女子高生のライブでこんなに人が集まるのは不自然である。
ライブで披露されたオリジナル楽曲『ダイスキだったらダイジョウブ!』も、無印の『START:DASH!!』に比べると遥かに印象にも残っていない。これは落雷による停電で曲が中断されてしまったことも一因となっているが、それを抜きにしても「完敗からのスタート」を切った少女たちの現状と歌詞も曲調もリンクしていた『START~』には遠く及ばないのだ。
そして特筆すべきは感情移入できないAqoursの存在。メイン3人のキャラが弱く、動機もただ「輝きたい」だけで、廃校の危機でも無い為緊張感に欠ける。学校を背負う使命感を持つスクールアイドルというよりは、スクールアイドルに憧れた一般人のアイドルごっこにしか見えないのだ。楽曲の軽さもそれを表している。
ともあれサンシャインは3話にしてようやく無印からのループ的展開を脱しつつあることは確かである。ライブ前には手を重ねていたμ'sだが、それを思い出した千歌は敢えて「繋ごっか」と言い、3人で手を繋ぎ輪になってからの「あったかくて好き」は名シーンだと思うし、その瞬間からμ'sからの脱却は始まっていると当方は解釈している。4話は予告から察するに1年生組が加入する話となりそうで、無印の同じく4話を彷彿とさせるが、サンシャインならではのオリジナリティ溢れる展開に期待したい。
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