78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

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◎『ラブライブ!サンシャイン!!』3話、千歌の「繋ごっか」はμ'sからの脱却の始まりなのか

2016-07-21 02:07:28 | ほぼ週刊サンマイ新聞
 2016年7月期TVアニメで最も注目度の高い『ラブライブ!サンシャイン!!』だが、7月16日に放送された3話がネット上で賛否両論になっており、その多くが2013年に放送された『ラブライブ!』(以下、無印)3話との比較によるものである。

 無印とサンシャイン、それぞれの3話の内容はこぼれ話を参照していただくとして早速考察に入るが、どちらも“3話の意外性”を求めた点では共通している。3話に山場を持ってくるアニメは無数に存在するが、無印の3話も「ファーストライブで無観客」という衝撃があった。サンシャインの3話でAqoursのファーストライブ開催が決まった瞬間、結局無印の二の舞を踏み、意外性に欠けた展開になるのかと当方はがっかりしていた。案の定本番では観客の少ない様子が描かれ、おそらく高海千歌が懇願するなどして解散しない方向に持っていくだろうなとその時は思っていた。しかし実際は停電復旧のタイミングで満員となり、失敗に見せかけた成功だった。無印3話の衝撃には及ばないが、サンシャインの3話も確かに当方は驚かされた。

 だが3話の意外性を求めるあまり、脚本の粗が目立ってしまう結果にもなっている。照明などのサポートメンバーも居ながら開始時間を間違えるのはありえないし、停電から復旧までの1分足らずの間に大勢の観客をすんなり入れられるわけがない。生徒会長の黒澤ダイヤが理由を説明するフォローはあったものの、それにしても何の実績もない無名の女子高生のライブでこんなに人が集まるのは不自然である。
 ライブで披露されたオリジナル楽曲『ダイスキだったらダイジョウブ!』も、無印の『START:DASH!!』に比べると遥かに印象にも残っていない。これは落雷による停電で曲が中断されてしまったことも一因となっているが、それを抜きにしても「完敗からのスタート」を切った少女たちの現状と歌詞も曲調もリンクしていた『START~』には遠く及ばないのだ。
 そして特筆すべきは感情移入できないAqoursの存在。メイン3人のキャラが弱く、動機もただ「輝きたい」だけで、廃校の危機でも無い為緊張感に欠ける。学校を背負う使命感を持つスクールアイドルというよりは、スクールアイドルに憧れた一般人のアイドルごっこにしか見えないのだ。楽曲の軽さもそれを表している。

 ともあれサンシャインは3話にしてようやく無印からのループ的展開を脱しつつあることは確かである。ライブ前には手を重ねていたμ'sだが、それを思い出した千歌は敢えて「繋ごっか」と言い、3人で手を繋ぎ輪になってからの「あったかくて好き」は名シーンだと思うし、その瞬間からμ'sからの脱却は始まっていると当方は解釈している。4話は予告から察するに1年生組が加入する話となりそうで、無印の同じく4話を彷彿とさせるが、サンシャインならではのオリジナリティ溢れる展開に期待したい。

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◎【こぼれ話】『ラブライブ!』3話と『ラブライブ!サンシャイン!!』3話の内容比較

2016-07-21 02:01:57 | ほぼ週刊サンマイ新聞
 完成度の高さで話題となった無印の3話は、音ノ木坂学院高校2年生の高坂穂乃果、南ことり、園田海未により結成されたスクールアイドル“μ's”のファーストライブの模様が描かれている。2話で既にグループ名が決まり、歌とピアノの上手な1年生・西木野真姫作曲によるオリジナル楽曲も完成。順風の中で迎えた3話は、早朝の練習でパフォーマンスの向上が語られ、登校中には見知らぬ上級生にも話しかけられ、確かに注目を浴びる存在になっていた。ライブ告知のビラ配りでは内気な1年生・小泉花陽が「ライブ、観に行きます」とエールを送り、スクールアイドル公式サイトにおけるμ'sのランキングも上昇と、あたかもライブが成功するかのような流れを作ってからの本番、幕が開き一人も居ない客席のシーンで視聴者に衝撃を与えた。穂乃果の目は悲しみに満ちていたが、花陽が駆け付けたことで涙を堪え、ライブを決行。披露された『START:DASH!!』の歌詞は歌う少女たちの現状とリンクしていた。

「いつか私たちで必ず、ここを満員にして見せます!」

 穂乃果の決意表明は、廃校阻止の為の“手段”でしかなかったはずのスクールアイドルが“目的”に変わる瞬間でもあった。こうして3人は「完敗からのスタート」を切ったのだ。

 ではサンシャインはどんな流れだったのか。浦の星女学院2年生の高海千歌が自身の普通すぎる半生に嫌気が差し、「μ'sのように輝きたい」理由で幼馴染の渡辺曜とスクールアイドルを結成。千歌が作詞に初挑戦し、音ノ木坂からの転校生・桜内莉子の作曲により楽曲が完成、彼女も正式メンバーとなった。そしてここからが3話だが、生徒兼理事長の小原鞠莉が「ライブの会場を満員に出来なければ解散」というルールを提案し、学校の体育館でファーストライブを開催することに。3人は練習に励み、ビラ配りなどで告知を懸命に行い、グループ名も“Aqours”に決定。そして雨が降る中の本番、幕が上がった時の観客は僅か12人。解散が確定的となりつつも3人は練習の成果を披露、しかしサビの直前で落雷による停電。それでも涙混じりのアカペラで歌い続けていると、

「バカチカ! あんた開始時間間違えたでしょ」

 千歌の姉の一言と共に電気は復旧、体育館は老若男女の町民で埋め尽くされていた。

「これは今までのスクールアイドルの努力と、町の人たちの善意があっての成功ですわ」

 活動を反対し続けてきた生徒会長・黒澤ダイヤの空気の読めない突っ込みがあったものの、μ'sの歴史を踏襲しているかのように見せかけて、Aqoursは彼女たちの真逆、「成功からのスタート」を切っていた。