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◇企業システム◇レッドハットがソフトバンクBBおよびダイワボウ情報システムとソフト販売契約

2008-09-26 16:15:11 | システム開発

 【システム開発】レッドハットは、ソフトバンクBBおよびダイワボウ情報システム(DIS)とソフトウエア販売契約を締結した。今回国内大手ソフトウエア販売会社と業務提携したことによって、PCサーバー市場においてLinuxの普及拡大が一層図られることになる。今回の契約に基づき、ソフトバンクBBとDISはレッドハットの企業向けLinuxOS「Red HatEnterprise Linux」とミドルウエア製品群「JBoss Enterprise Middleware」をはじめとするOSS(オープンソースソフトウエア)製品のサブスクリプション販売を08年10月から開始する。今後各社が販売したレッドハット製品に関するサポートサービスは、レッドハットがユーザーに対して直接提供する。 (08年9月25日発表)

 【コメント】レッドハットはサイオステクノロジーとの提携強化を発表した後、今回ソフトバンクBBおよびDISとの間で新たにソフトウエア販売契約の発表を行った。この結果、レッドハットのソフトウエア販売は、サイオステクノロジー、ソフトバンクBB、DISの3社体制に移行することになり、大幅な販売力強化を実現させた。サイオステクノロジーとの提携の強化は、サイオステクノロジーが今回からレッドハットのミドルウエア製品「JBoss Enterprise Middleware」の扱いを開始することと同時に、Linux製品「Red Hat Enterprise Linux」は販売に専念し、サポートサービスはレッドハット自体が行うことになった。この新体制は今回契約したソフトバンクBBおよびDISでも踏襲されている。

 今回の一連のソフトウエア販売の強化策の発表は、わが国の今後の企業システム市場の動向にも影響を及ぼしそうだ。マイクロソフトは現在、企業システム市場、中でも特に中小中堅企業市場拡大を狙いに、全国の各自治体と提携するなど、活発な活動を展開している。一方、Linux陣営の雄、レッドハットはこれまで主に大手企業市場での実績を基に市場を拡大してきた。つまり、これまでレッドハットは中小中堅企業市場での実績はあまり高いとはいえなかった。ところが今回ソフトウエア販売体制が1社から3社に拡大することによって、中小中堅企業市場への浸透が急速に進展することが可能になってきた。こうなると、個人市場から中小中堅企業市場に舵を切り替えつつあるマイクロソフトと正面衝突することになってくる。

 マイクロソフトはこれまでの長い実績により独立系ソフトウエア企業との連携は十分な実績を持っている。これに対しレッドハットは大手IT企業とのパイプは強いかもしれないが、独立系ソフトウエア企業との関係はそう多くない。仮に今回の3社がフル回転したとしても、マイクロソフトのディーラーを含めたソフトウエア関連資産には到底及びそうにもない。レッドハットが今後マイクロソフトに対抗できるほどの体制づくりを考えているなら、現在全国各地に設立されているOSS組織との連携を強め、企業ユーザーにOSS導入のメリットを訴えるのが一番の近道ではないか。また、全国の地場ソフト企業は下請け体質からの脱却を目指しているところも多く、OSSにより自立したソフト企業への道を歩むことができる。(ESN)