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◇企業システム◇野村総合研究所が商用DBをオープンソースDBへの移行サービスを開始

2009-05-11 09:23:58 | DB

 【DB】野村総合研究所(NRI)は、商用データベース(商用DB)からMySQLや
PostgreSQLなどのオープンソース・データベース(オープンソースDB)への移行を支援する「OpenStandia/DB移行サービス」の提供を開始した。同サービスにより従来の商用DBと比較して、ソフトウエアコストを約1/3に削減可能としている。 (野村総合研究所:09年4月22日発表)

 【コメント】オープンソースソフトウエア(OSS)の優位性は、多くの場で明らかにされつつあり、徐々に企業システムでの導入実績も増加している。特に商用DBはコストが高いことがあり、OSSのDBであるMySQLやPostgreSQLは、導入を検討するユーザーが年々増加しつつある。しかし「商用DBからオープンソースDBへの移行は、高度の専門知識と経験とが必要であり、多くの企業にとって困難な作業」(NRI)となっていたのも事実。

 そこで、NRIでは「信頼性を考慮したオープンソースDBサーバーの構築に加え、移行ツールである『MySQL Maigration Toolkit』やOracle互換のDBであ『PosgreSQL Plus Advanced Server』などを利用してアプリケーションやデータの移行を支援するサービス」を開始したもの。

 100年に一度の不況に遭遇した各企業は、今後一層のコスト削減を求められることになるが、この際OSSは大きな切り札として、あらゆるケースに利用されることが多くなってくることは確実だ。ただ、これまでは各企業ともDBについては、Oracleをはじめとして既存の商用DBを導入済みなのが現状だ。これをユーザー独自でオープンソースDBに移行するには技術的な困難さが付きまとう。今回のNRIの提供するサービスはこのような潜在需要に裏打ちされているだけに、根強い支持を集めそうだ。

 ただ、オラクルのサン買収という晴天の霹靂によって、これまでサンのオープンソースDBのMySQLが、今後はオラクルへと移管される。この変化が今後どのようなことを引き起こすのかの予測は現段階では難しい。OracleからMySQLへ移行することを、果たしてオラクルとしてはただ黙って見逃すのであろうか。まだまだ、紆余曲折が待ち構えていると見たほうがよさそうだ。(ESN)


◇企業システム◇SRA OSS日本支社が米エンタープライズDB社のマスターリセラーに

2008-11-03 15:52:13 | DB

 【DB】SRA OSS日本支社は、オープンソースのデータベースソフト「PostgreSQL」をベースに、Oracle互換機能などを提供している米エンタープライズDB社の「Postgres Plusシリーズ」のマスターリセラーとなった。同時にOracleデータベースからのマイグレーションサービスを開始する。 (08年10月29日発表)

 【コメント】米エンタープライズDBの「Postgres Plusシリーズ」は、①Oracleデータベース機能を持つ「Postgres Plus Advannced Service」と②PostgreSQLの使いやすさを増した「Postgres Plus」の2種類のソリューションからなる。SRA OSS日本支社は、これまでPostgreSQLをベースとしたPowerGresを開発・販売してきたが、今回、これにPostgres Plusを加えることによって、OracleデータベースユーザーがOSS(オープンソースソフトウエア)のデータベースソフトPostgreSQLへの移行の際のコストを最小限に抑えることを可能にした。

 これに先立つ08年10月にNTTは、米エンタープライズDBとPostgreSQLの機能拡張と普及促進で包括的パートナーシップを締結した。具体的には①大規模な分散データベース環境を実現できるレベルにまで拡張性や可用性を向上させる機能開発②NTT事業会社や一般企業ユーザーへの普及促進での協業―がその内容。

 現在オープンソースDBは、サン・マイクロシステムズのMySQLとPostgreSQLの2つが有力製品として注目を集めている。2製品とも技術的にはOracleデータベースと遜色のないところまできていると言われているが、現在Oracleデータベースの牙城を壊せるところまでにはなっていない。その理由の一つは、オープンソースデータベースのサポート・サービス体制の不明確化が挙げられてきた。ところがここにきて、MySQLがサン、PotgreSQLがNTTおよびSRA OSS日本支社と、サポート・サービスの母体がユーザーにとって明確になったことで、この問題も解消されたといってよいであろう。Oracleデータベースからの移行の際のコストの問題も、今回NTTに続きSRA OSS日本支社がユーザーへの全面サポートを表明したことによって、一挙に解決のメドがたった。

 これによって、いよいよOracleデータベースとオープンソースデータベースとの一騎打ちがスタートラインについたと言うことができる。(ESN)


◇企業システム◇NTTと米エンタープライズDBがPotgreSQLで資本提携・協業

2008-10-08 17:08:08 | DB

 【DB】NTTと米エンタープライズDB社がオープンソースデータベース「PostgreSQL」の機能拡張と普及促進で包括的パートナーシップを締結した。NTTの100%子会社であるNTTインベストミント・パートナーズ(NTT-IP)からエンタープライズDBへの出資を含む、包括的なパートナーシップについて合意したもの。両社はPostgreSQLおよびその関連技術を対象に、①大規模な分散データーベース環境を実現できるレベルまで拡張性や可用性を向上させる機能開発②NTT事業会社や一般企業ユーザーへの普及促進―で協業する。 (08年10月7日発表)

 【コメント】オープンソースソフトウエア(OSS)のデータベースソフトの2大製品はMySQLとPostgreSQLである。MySQLはサン・マイクロシステムズが買収し経営基盤を確立、現在サンが販売促進に全力を挙げており、今後普及速度が上がることが見込まれる。今回、Postgre Plusの提供元の米エンタープライズDBにNTTが資本参加し協業を開始したことは、オープンソースDB全体の普及にとって大きな意義を持つ。エンタープライズDBのエドボイジャンCEOによると、NTTの出資は、米IBM、米ソニー・オンライン・エンターテインメントにつぐものという。NTTグループはOSSについては以前から取り組んでおり、今回の出資に当たっても宇治則孝副社長は「NTTはグループを挙げて『コスト削減効果』や『自力でシステムの故障解析がしやすい』などのメリットのあるOSSを推進している」と語っている。

 もともと、PostgreSQLは、米国カリフォルニア大学で開発された「Postgre」をベースとするOSSのDBMSである。Posgres開発コミュニティ「PosgresSQL Global Development Group」が組織され、世界中にいる開発者が改良を重ね、これにより、機能、性能、信頼性が向上し、現在では商用DBMSと比べても遜色ないといわれている。もし、商用DBと比べ劣っているとすれば、販売力とサポート力であろう。今回NTTがエンタープライズDBと協業したことにより、これらについて大きく改善が図られたと考えてよかろう。特に期待されるのが、一般企業ユーザーがPostgreSQLを利用した高信頼な企業システムを容易に構築するためのソリューション・パッケージングを共同で検討し、開発すること。この成果はエンタープライズDBのPostgres Plus製品シリーズに組み込んでリリースされるという。OSSを導入したくてもノウハウがない企業ユーザーにとっては朗報だ。

 一方、PostgresSQLのライバルのMySQLは、サンが08年10月30日-31日の2日間、「MySQLユーザコンファレンス2008」を東京ステーションオンファレンスにおいて開催することにしている。「MySQLのパワーを最大限に」をテーマに、MySQL製品の広範囲にわたる魅力と能力とが紹介される。MySQLの一つの売りは、グーグルがMySQとInnoDBを使って最小のダウンタイムでの24時間運用が求められるクリティカルなビジネスシステムを稼働させていること。今回PostgreSQL陣営にNTTグループが参加したことによって、企業の基幹システムへのPostgreSQLの利用が促進され、両者の競合が激しさを増すものと見られる。(ESN)


◇企業システム◇マイクロソフトがDBソフトの新バージョン「SQL Server 2008」を出荷

2008-08-07 14:15:00 | DB

 【DB/BI】マイクロソフトは、DBソフト「Microsoft SQL Server 2008日本語版」のボリュームライセンス出荷を8月1日から開始したのに続き、パッケージ製品出荷を9月19日から開始する。現在149社のパートナー企業から195のアプリケーション/ソリューションが対応され、「同2005」出荷時と比較して約50%の増加。今回、パートナー各社に対してSQL Server技術者育成施策のため、CSK Win テクノロジの熊澤幸生執行役員CTOを招聘した。また、トステム(東京都江東区)がSQL Server 2008を早期採用し、既に本稼働していることを明らかにした。 (08年8月1日発表)

 【コメント】データベース(DB)ソフトは、従来から企業システムにとって重要なソフトであるが、最近ビジネスインテリジェンス(BI)が経営戦略上重要視されるに従い、その基礎となるDBソフトは企業システム全体ににより大きな影響を及ぼしつつある。DBソフトはオラクルが一歩抜きん出た存在ではあるが、IBM、マイクロソフトさらに日本の大手IT企業も自社製品を揃え、オラクルに対抗している。このDBソフト市場に、最近ではオープンソースソフト(OSS)のMySQL(サン・マイクロシステムズ)やPostgreSQLなども参入し徐々に市場を拡大してきており、老舗が安閑としていられる市場ではなくなりつつある。

 DBソフト市場での新しい動きは、高速のメモリー型DBソフトが本格普及を見せ始めていることだ。メモリー型DBソフトの老舗「高速屋」の「高速機関5」は、従来型RDBソフトに比べ、およそ100倍の検索・集計性能、10倍のローディング性能、10分の1のDBサイズを誇っている。また、日立システムアンドサービスは、ベンチマーク「TPC-H」で世界最速を記録した独EXASOL社製インメモリー型のDBソフト「EXASolution」の日本語版の出荷を9月1日から開始する。EXASolutionは複数のIAサーバーでクラスターを構成し、パフォーマンスを高めることができるが、特に、複数のサーバーのメモリー空間をあたかも一つのメモリー空間のように扱えるメモリー・グリッドが高速の理由という。

 このように多様化するDBソフト市場において、マイクロソフトの「SQL Server」が今後企業ユーザーからどう評価されるかは「同2008」の持つ機能そのものにあろう。(ESN)