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◇企業システム◇NECが業界で初めて信用金庫のBPOを実現

2008-09-25 17:41:21 | アウトソーシング

 【アウトソーシング】NECは、愛知県下の複数の信用金庫の協力を得て、為替集中業務システムとその運用業務を一括して請け負う「信金バックオフィスセンター」を設立し、このほど愛知信用金庫ならびに尾西信用金庫向けに「為替集中業務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス」の提供を開始した。ITベンダーによる信用金庫向け為替業務BPOサービスは業界初。同サービスは、非コア業務の運用コスト削減に大きく貢献し、金融業界の業務革新を支援するもの。 (08年9月24日発表)

 【コメント】アウトソーシング事業は拡大を見せているが、中でもBPOの伸びに期待が高まっている。アウトソーシング事業というとハードウエアのみといった意味合いがあったが、BPOはアプリケーションも含めてアウトソースするもので、IT企業にとっては新分野ということができる。BPOの考え方のルーツは業種別ERPにあるといってもよいであろう。業種別ERPというのはある業種の有力企業同士が、各社の業務で共通化できる部分を共同でシステムを作成して使用する。この際、これらの業務はその業界のメイン業務でないことが条件となる。これにより参加企業は自社で開発するより、安くしかも早くシステムの導入が可能となる。

 今回、NECは信用金庫市場においてBPOを実現させることに成功した。やはりこの背景には金融機関の厳しい生き残り戦略があるのだろう。もし、信用金庫が一致団結しなければ、他の金融機関との厳しい戦いを強いられる。各信金で共通の業務の中で共通化できるものを共同で開発することによって、信金業界全体の経営基盤の強化を図ることができる。こう考えていくとBPO化が必要な業界はまだいろいろあるはずである。大手ITベンダーは昔からユーザー一社一社ごとのシステムを構築することに慣れすぎて、共通化という概念が希薄だ。一方、ユーザーもシステムの共通化のメリットについては理解しても、いざ、一歩踏み出すとなると社内外に抵抗勢力が大勢いることに気づき、そう簡単には実現できない。

 今後のシステム構築は、OSS(オープンソースソフトウエア)やSOA(サービス指向アーキテクチャー)、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)などを取り入れることによって大きくその姿を変えようとしている。つまり、共同開発や再利用、共同利用の概念が今後のシステム構築の主流になろうとしているのである。これまでは、OSSのような共同開発やSOAのような再利用をベースにした開発手法は夢だと思われてきた。ところが、最近、企業システムにOSSやSOAを取り入れて構築しようとする機運が急速に盛り上がってきている。BPOについてもほぼ同じことがいえると思う。システムを自社で一つ一つはじめからつくりあげる時代は、そろそろ終わろうとしているのではないか。(ESN)