【仮想化】マイクロソフト、日本HP、伊藤忠ソリューションズ(CTC)の3社は、マイクロソフトのサーバー仮想化技術「Hyper-V」およびサーバー仮想化の管理製品「Virtual Machine Manager 2008」と日本HPのx86サーバー「ProLiant」およびストレージ「StorageWorks」を組み合わせ、ソリューションの検証を共同で実証する。同ソリューションは、CTCが有するサーバー仮想化の設計・構築ノウハウに基づいて検証をした後に、仮想化ソリューションとしてユーザーに提供する。CTCは同検証で確立したシステム構築手法により構築したサーバー統合ソリューションを、仮想化ソリューションのラインアップとして08年秋より提供するとともに、同ソリューションの共同プロモーションを3社で実施することにしている。 (08年8月27日発表)
【コメント】仮想化技術を使ったサーバーの統合への関心がますます高まってきている。これは石油高騰による不況の影が色濃くなるにつれて、各企業ともよりコスト削減の意識が高まり、10台あるサーバーを1台に集約させることによりコスト削減を実現させたいとするユーザー側の意向が強く反映されていることが背景にあろう。マイクロソフトは絶好のタイミングで仮想化ソフト「Hyper-V」を市場に提供してきたが、同社は「仮想化ソフトはコストがかかるが、ウインドウズサーバー2008には最初から仮想化機能が標準で入っており、改めてシフトのライセンス料を払う必要はない」ことを強調している。さらに、同社は「VMBus」技術によって仮想化によるパフォーマンス低下を食い止め、サーバーの性能を有効活用できる点などをアピール。
今回、マイクロソフトの仮想化ソフト「Hyper-V」を中心に、HPのサーバー/ストレージ、それにCTCのSI技術を組み合わせたソリューションの発表が行われたわけであるが、既に日本HPはVMwareと自社ののサーバー/ストレージを組み合わせたソリューションを提供済みである。仮想化ソフト市場はVMwareのシェアが高く、それを各社が追っかけているのが現状。特に最近になり仮想化ソフト製品を一新させ、新規参入同然のマイクロソフトとしては、VMWareの壁を切り崩さねば成功は覚束ない。マイクロソフトとしてみれば、サーバー/ストレージベンダーとしてIBMとは組めない。そうなるとHPを取り込むことが勝利への一番近い道ということがいえる。
一方、日本HPにとっては仮想化や自動化、省電力・冷却化をテーマに市場に投入したブレードサーバー「BLADE3.0」を市場に定着させ、IBM、デル、サンをいかに引き離すかは喫緊の課題だ。それを実現させるには膨大なマイクロソフトの市場を抑えるのが一番手っ取り早い。マイクロソフトとしては既に「Hyper-V」で富士通と提携しており、今回日本HP、CTCと組んだことにより、対VMware対策は磐石なものになりつつある。今後のわが国の仮想化ソフト市場は、VMWareを軸として、マイクロソフト+日本HP+CTC+富士通+シトリックス、それに日本オラクル+日本IBM+アシスト+NTTデータの三つ巴の戦いの様相が濃くなってきた。(ESN)