【SI事業】富士通と日本オラクルは、このたびクラウド・コンピューティングなどの次世代型ITインフラに対応したソリューションを検証・開発する「SPARC Enterprise - Oracle Database ソリューション開発センター」を設立した。両社は、同センターで次世代型ITインフラにおける「SPARC Enterprise」および「Oracle Database」の性能検証、移行検証を行い、普及を推進する。(富士通/日本オラクル:10年3月3日発表)
【コメント】米オラクルがサン・マイクロシステムズを買収した以後、具体的な作業を行ってきたが、ようやく10年1月に買収作業が完了した。これで、買収が発表当時大きな話題となった案件も一件落着ということになる。もっともこの落着というこは、逆にいうといよいよこれから、いろいろな問題が表面化するということが言えるわけで、合併効果がどれほど発揮できるかは、これからのオラクルの戦略いかんに掛かってくる。
今回、オラクルが富士通との協業を、この時期に発表したのは、正にサンを買収して新事業に乗り出そうとする、絶好のタイミングであり、オラクルが富士通とのパートナーシップを如何に重視しているかの証でもあろう。逆にいうとオラクルは、サンを買収してはみたものの、激変する業界情勢を一歩でも読み違えると、買収の効果が現れないということを、痛切に感じ始めているかもしれない。つまり、UNIXサーバーは、WindowサーバーやLinuxサーバーに押され、かつてのような活況がないところにIBMやHPなど今後もUNIXサーバー事業を続ける力のあるベンダーがおり、かつてほど、そう簡単にサンのUNIXサーバーを売ることは容易ではない。そこで、富士通との関係を強化することによって、何とか乗り切ろうということがベースにあろう。
これは、富士通からみてもチャンスと言えるのかもしれない。これを契機にオラクルと全世界規模での協業体制が確立するとなると、今後富士通が描く世界戦略にとって大きな後ろ盾となる。そう考えてみると、今回の両社の協業は、富士通にとっての方が、メリットが多きいとも言えるかもしれない。
今回、「SPARC Enterprise - Oracle Database ソリューション開発センター 」を両社で設立したが、同センターでの活動を通して、SPARC/Solarisビジネスをさらに推進し、ユーザーシステムを支援することにしている。同センターでは、富士通のプラットフォーム製品の総合検証センター「Platform Solution Center」と、日本オラクルのパートナーソリューションの共同検証センター「Oracle GRID Center」に設置されている「SPARC Enterprise」、「Oracle Exadata」、「Oracle Database 11g」を活用し、次世代型ITインフラのソリューションや移行のための標準技術の開発、性能検証、ユーザーシステムのベンチマークテストを実施していく。