企業システム・レビュー・ネット

企業経営を左右する企業情報システム(経営+ITソリューション)のデータバンク作りを目指す

◇企業システム◇ネットメディアの将来は必ずしも明るくない

2008-03-29 22:41:14 | 視点
 【視点】ニフティはスパムブログの割合を調査し、その結果をこのほど発表した。それによると5カ月間の平均で約40%がスパムブログであることが判明したという。つまり約半数のブログが実体のないおとりブログで、本当のブログに引っ張ってくる偽ブログであるというわけだ。今、新聞や雑誌などの苦戦を強いられているが、これらの紙メディアはリアルな情報源だ。ブログをはじめとするネットメディアは今後ますます拡大するであろうが、ネットメディアが信頼性のない情報を撒き散らすと、ネットメディアの将来は必ずしも明るいとは言い切れない。(SK)

◇企業システム◇埼玉県上尾市がLinuxサーバーで電子行政システム構築

2008-03-29 14:47:42 | ユーザー
 ミラクル・リナックス、RKKコンピューターサービス(RKKCS)、日本IBMは、3社協力の下、従来の埼玉県上尾市のホスト機による電子行政システムを、Linuxサーバーによる「新基幹系電子行政システム」にリプレースし3月3日から稼働させた。ブレードサーバーは「IBM BladeCenter」、LinuxOSは「MIRACLE LINUX V4.0-AsisnuxInside」、高可用性ソフトは「MIRACLE CLUSTERPRO X」「MIRACLE FailSafe」とオープンスタンダード技術製品を採用。これにより10年単位のライフサイクルコストを比較した場合、従来のホスト機と比べておよそ6億円のコスト削減につながると予測している。また、新システムでは24時間継続してオンラインが稼働が可能となり、メンテナンスにかかわる職員の負担が軽減された。(08/03/11発表)

 【コメント】今、従来のホスト機(メインフレーム)のリプレースを考えているユーザーは多いが、選択肢としてLinux、UNIX、Windowsの3つが考えられる。これまでは、UNIXを選択するユーザーが多かったがこれからはLinuxあるいはWindowsを選択するユーザーが増えてこよう。そして、LinuxかWindowsかの選択となるが、オープンスタンダードの見地に立てばLinuxという結論に達する。この選択を行ったのが埼玉県上尾市である。

 ミラクル・リナックス、RKKCS、日本IBMの3社は、今回のシステムと同様なシステムとして北海道・西胆振4市町に共同利用型ASPサービスによる電子行政システムを構築し、08年1月から稼働させた実績を持っている。RkkCSは自治体業務のほぼすべてをパッケージ化した自社開発による総合行政システムの提供を行い、全国約1800団体のうち、130団体以上で採用されているという。これに日本IBMのブレードサーバーとミラクル・リナックスのLinuxOSなど、オープンスタンダード技術を加えてこうちくしたもの。このように、オープンシステムの構築にはそれぞれが得意とする分野を持ち寄るという水平なパートナー関係を築くのが主流となる。ホストシステムのように、1社の大手の下に下請企業が縦に連なる垂直関係と大きく異なる。

 今回の埼玉県上尾市のようにLinuxサーバーをはじめとしたオープンスタンダード技術を導入して、10年単位のライフサイクルコストを比較した場合、従来のホストシステムと比べて約6億円のコスト削減が予想されるなど具体的な成果が出てきたことは、財政圧迫に悩む全国の自治体にとって指針となりうるケースといえる。今後同様なシステムを導入する自治体が増えるのではないか。(ESN)

◇企業システム◇CTCが仮想化システムのホスティングサービス開始

2008-03-29 14:34:02 | アウトソーシング
 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、仮想化されたシステム基盤をデータセンター内から提供する新ホスティングサービス「IT統合基盤サービス」を開始する。同サービスはサーバー、ストレージ、ネットワーク機器をCTCが保有し、仮想化技術を用いて複数の顧客に対し共有型リソース・モデルでシステムを提供する“仮想化シェアード・ホスティングサービス”となっている。ユーザーはITリソースの使用料ごとに月額利用料金を支払い、サービスの提供を受ける。(08/03/13発表)

 【コメント】今や仮想化はITにおいて時代の寵児といった趣があるテクノロジーとなっている。この原因は各ユーザーがメインフレームを追放して、オープン系のサーバーを大量導入したことに始まる。当時はメインフレイムは“悪”、オープン系サーバーは“善”といった風潮があり、各ユーザーとも競ってサーバーを各部署に導入した。この結果何が起こったかというと、システム運用管理面で大きな問題を抱え、さらに1台のサーバーは安くても、多数となるとコスト的にも負担が大きくなってきた。

 そこに仮想化という救いの神が登場したわけで、各ユーザーは飛びついた。仮想化することによって大量のサーバーのシステム運用管理が楽になり、しかも段階的にシステム増設が可能でコスト削減につながる。しかし、この仮想化というソフトのノウハウを持っているユーザーは少なく、セミナーで仮想化の能書きを聞かされても、自社で開発までは技術者の確保なのでなかなか踏み切れないのが現状だ。

 今回、CTCが発表した「IT統合基盤サービス」そんなユーザーをターゲットにしたようだ。CTCがこれまで培ってきた仮想化技術にアウトソーシング技術を加味させ、“必要に応じて”“より速く”“より柔軟に”システム提供が可能というのが売りのようだ。ITが難しいのは一時のブームに乗ってシステムを切り替えると必ず揺り戻しが来ることで、ユーザーは当惑してしまう。その典型なのが集中処理と分散処理の揺り戻し現象だ。これからは分散処理から集中処理への揺り戻しが起きる可能性が強い。これまでIBMはメインサーバーという言葉に切り替えていたが、最近発表した機種はメインフレームという昔の言葉を使っている。メインフレーム復活もありえない話ではない。(ESN)

◇企業システム◇米IBMがコグノス買収し、IOD戦略推進

2008-03-29 14:28:05 | BI
 米IBMは07年11月にBIソフト企業のコグノス買収したが、これによって強化されたビジネス戦略およびロードマップを08年2月に発表した。これによりIBMが06年2月に発表したアプリケーションが必要に応じて必要なデータにアクセスできるIT基盤のビジョン「インフォメーション・オンデマンド(IOD)」戦略が具体化に向けて動き出した。これを受けて日本IBMは08年3月にIOD戦略を推進する製品として「Information Server V8.1」を発表した。Information Serverは、異種混合データベース環境のデータにアクセスし、各種のデータを統合、正規化し、ビジネス上の要求応じて供給できるように、情報の統合を支援するソフトウエア。(08/03/06発表)

 【コメント】BI(ビジネス・インテリジェンス=データ活用)ソフトウエア市場は地味ながら、今後大きく拡大する余地を秘めたソフトである。それはこれまで各ユーザー企業に蓄積されてきた膨大なデータを基に分析を行い、業務に活用するかが今後の経営を大きく左右するかということにかかっているからだ。このため大手IT企業各社は競ってBI事業に力を入れ始めている。特に最近、目立つのは、BI専門のソフト企業を大手IT企業が買収し始めたことだ。IBMはコグノス、SAPがビジネスオブジェクト、オラクルがはイペリオンをそれぞれ傘下に収めた。

 IBMは07年11月にコグノスを買収したが、日本IBMは今回、この成果として情報統合支援ソフト「Information Server V8.1」の日本語版を発表したもの。これによりDBを並列処理することで、大規模なデータでもリアルタイムに情報を統合でき、コールセンターや店舗窓口における応答の迅速化などを実現できることになる。

 IBMは06年2月に「インフォメーション・オンデマンド(IOD)」戦略を発表した。このIOD戦略はソフト、ハードなどにおけるIBMの強みを融合して、グローバル経済における顧客の競争を支援するのが狙い。つまり、オープン・スタンダードに基づくプラットフォームを顧客に提供し①企業の持つ情報価値の拡大②ビジネス・プロセスの最適化③企業全体のパフォーマンスの最大化―を図るもの。地味で話題にはなりにくいソフト製品群ではあるが、その中身はというと、かなりユーザー企業にとっては重要な意味を持つものだけに、IBMのIOD戦略の今後の展開を注意深く見守る必要があろう(ESN)

◇企業システム◇スルガ銀行が日本IBMに対し損害賠償請求訴訟

2008-03-29 14:18:32 | ユーザー
 スルガ銀行は日本IBMに対し、損害賠償請求訴訟(請求額111億700万円)を東京地方裁判所に提起した。同行では銀行業務全般わたる基幹システムの刷新を目指して、04年9月に「新経営システム構築プロジェクト」を開始し、システム開発を日本IBMに委託した。今回の訴訟は、日本IBMの債務不履行により新経営システムの開発を中止をせざるを得なくなったなどに基づき、スルガ銀行が被った損害の賠償を求めるもの。(08/03/06発表)

 【コメント】スルガ銀行は以前から、日本IBMと二人三脚でシステム構築を行ってきたという経緯があるだけに、今回の訴訟騒ぎにはびっくりさせられた。同時に請求額が111億700万円という巨額に達したことも驚きだ。ことの詳細は時間が経つにしたがって明らかになることと思うが、このこと自体他人事ではなく、いつ自社に降りかかってくるかも知れない問題なのだ。そもそも、企業システムを構築する際には、余程注意を払わないと今回の問題のような訴訟事件にいつ巻き込まれてもおかしくない。SI企業側からすると売上げを上げるため、ユーザー企業の多少のあいまいさには目をつぶりとりあえず受託してしまう。一方、ユーザー企業側からすると、あらかじめシステムの概要は説明し、後はプロのSI企業にすべて任せたのだから、完成するのが当たり前と考える。この2社間の意識のずれが将来大きな問題を生じさせる。

 このような“悲劇”を避けるため努力は行われている。その一つは「発注者ビュー検討会」である。同会はNTTデータ、富士通など大手9社で構成されており、既に、システムを使うユーザー企業に理解しやすい設計図を作成するガイドライン公表している。現在、システム自体の構造が複雑となり、一方ではシステムの信頼性に対する要求は強くなるばかりだ。このためにはシステム開発の標準化は避けて通れない。この意味から「発注者ビュー検討会」の成果に期待したいが、抱える課題も少なくない。もう一つ、経産省、CSAJ、JCSSAは、システム開発契約の厳格化を実現するガイドラインづくりに乗り出している。このほかJUASでも同様な取り組みを行っている。(ESN)

◇企業システム◇日本IBMが次世代メインフレーム「システムz10」発売

2008-03-29 14:00:06 | サーバー
 日本IBMは次世代メインフレーム「IBMシステムz10」を発表した。同機は従来機の「システムz9」に比べ、同数のCPU後世では1.5倍、最大構成CPU機では1.7倍の処理能力を発揮する。また、処理能力は約1500台のx86サーバーに相当し、設置面積を最大85%、エネルギーコストを最大85%それぞれ削減できる。さらに、x86サーバーのソフトウエア・ライセンス数を最大30分の1以下に削減することができる。(08/02/26発表)

 【コメント】メインフレーム全盛時代に、コンピューター業界に向かうところ敵なしの圧倒的強さを誇示してきたIBMであるが、PC時代に入りマイクロソフトにイニシアチブを奪われ、サーバー時代ではデル、インターネット時代に入ると今度はグーグルがマイクロソフトを脅かす存在にのし上り、さらにオープンソースソフトウエア(OSS)時代に突入した現在ではレッドハットに人気が集中している。つまり、最近のIBMはほとんど他社の二番煎じに甘んじてきた。この傾向が長く続くと、何もIBMでなければならない根拠は希薄となり、規模の大きい普通のIT企業に成り下がる可能性大であった。

 ところがIBMにとって神風が突如吹き始めた。その一つが地球温暖化である。現在全世界に設置してあるサーバーが使う電力は膨大なものとなり、地球温暖化を防ぐにはサーバーが消費する電力を何とか食い止め、さらに引き下げることが喫緊の課題として浮上してきたのである。この対策として一時期厄介者として駆逐されたメーンフレームが見直され、復活しそうな形勢となってきた。こうなるとIBMがかつてのような独走態勢をとることだってありうる。

 もう一つのメインフレーム復活のきっかけとなるのが、膨大な数のサーバーを一元管理することの難しさだ。現在、各ユーザーは複数のサーバーを統合するため仮想化に躍起となっている。この仮想化が上手くいくなら問題はないのだが、そう簡単でもなさそうなのである。異機種統合は企業にコンピュータが導入されて以来の古くて新しい問題だ。結論からいうと異機種統合の実現は難しい。そのことにユーザーが気が付き始めれば自然とメーンフレームの再評価に向かう。既にその兆候は見られる。

 こんな状況下にIBMが満を持して発表したのが次世代メインフレーム「システムz10」なのである。当然IBMは昔の倉庫から古色蒼然としたメーンフレームを引っ張り出してきたわけでなく、最先端のIT技術を駆使したぴかぴかのメインフレームを登場させた。昔メインフレームといえばプロプライエタリ(独自)アーキテキチャのクローズドなマシンであったが、システムz10はオープンなマシンなのである。少し前サン・マイクロシステムズはIBMのメインフレームをサンのUNIXサーバーにリプレースするキャンペーンを張り、両社は大喧嘩した経緯があった。ところがシステムz10ではサンとOpenSolarisプロジェクトで協業していることを売りの一つにしているのである。さしずめ昨日の敵は今日の友といったところだ。これにはマイクロソフト封じという思惑があるのであろう。

 もう一つシステムz10で忘れてはならないと言おうか、このことが一番大事と言おうか、IBMの大戦略「クラウド・コンピューティング」を実現させる有力なマシンの一つであるということである。07年11月にIMBはクラウド・コンピューティングの具体的計画である「Blue Cloud計画」を発表している。同計画はメインフレームやスーパーコンピューターを中心に、ネットワークを雲のように全世界に張り巡らそうという壮大な計画だ。言ってみればIBM版のWWWといったところか。これにより、これまで奪われてきた主導権をIBMは取りもどうそうと考えているに違いない。ITの王者はIBMをおいてほかにないと。(ESN)