【システム運用管理】地球温暖化対策として二酸化炭素排出量規制の動きに注目が集まっている。06年度の二酸化炭素排出量を部門別に1990年度と比較すると、工場部門が4.6%減少したのに対し、情報システム部門を含むオフィスなど業務部門は39.6%増加という結果が出ている。つまり、IT機器が増加・高機能するに従い、エネルギー使用量や二酸化炭素排出量が増加するわけである。一方、日本政府は温暖化ガス削減目標の達成に向け、ITを活用した省エネ活動を推進するため、環境対応を優先した「グリーンIT」への取り組みを行っている。このように、IT機器は地球温暖化対策にとって密接なかかわりを持っていることが分かる。このようなことから今回、日本CIO連絡協議会では各企業の情報システム部門に対し「グリーンITについて」のアンケート調査を行い、その結果を公表した。 (08年8月19日発表)
【コメント】地球温暖化対策=二酸化炭素削減が大きな課題として浮上してきている。テーマがあまりにも大きなものだから具体的にどう行動すればよいのかが分からない。ノーネクタイで室内温度を28度にしてどのくらいの二酸化炭素削減効果があるのか、あまり成果は聞いたことがない。悪く見れば省エネ対策はしていますよというポーズに過ぎないなどと考えてしまう。このような状況で各企業の情報システム部門にとっても二酸化炭素削減対策はそう簡単なことではない。IT機器であるサーバーやPCが多くの電力を食うことは論を待たない。今後、情報システム部門に対し電力の削減要求が高まってくることは目に見えている。
今回、日本CIO連絡協議会が「グリーンITについて」のアンケート調査を情報システム部門に対し行ったことは、正にタイムリーであった。IBMをはじめ多くのベンダーがグリーンITに対して取り組みを強化し始めているが、本質的にベンダーはIT機器を大量に使ってほしいというのが本音である。つまり、グリーンITを本当に推進するにはユーザー、もっと具体的に言えば各企業の情報システム部門が最もふさわしい。ところがこれまでベンダー側のグリーンITについての対応は聞けても、ユーザー側はというと沈黙を守ってきた。今回のアンケート調査の結果からユーザー側の実情が多少なりとも窺えたのは意義があろう。
「二酸化炭素削減のマネジメントは」の質問の回答が「計画なし」が49%、「実施済み」が31%であった。計画なしが約半数もあるとは驚きだ。「情報システム部門の温暖化対策は」の質問の回答が「サーバーの電力削減」「外部記憶装置の電力削減」について計画中と回答した企業が多かったのには頷ける。二酸化酸素削減はまず電力の削減が一番手っ取り早い。「PCは必要以外はスリープ状態にする」「サーバーの統合を行う」については実施中の回答が多かった。PCをスリープ状態にさせることは直ぐに効果を引き出せるし、サーバーの統合は、現在仮想化に対するニーズが高いことからも裏付けられる。「温暖化対策予算を独立で計上しているか」の質問に対し、イエスがゼロであったことは対策の本格的な取り組みはこれからということだろう。(ESN)