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◇企業システム◇各ベンダーが相次ぎSOAコンサルティングサービスの提供を開始

2008-09-08 15:45:14 | 視点

 【視点】SOA(サービス指向アーキテクチャー)の考え方が紹介されて数年が経過した。この間、各ベンダーはSOAソリューションの提供や標準化に取り組み一定の成果を挙げつつある。一方、ユーザーはSOAのセミナーへの参加などで、SOAの概念の把握やどのようなスキルが必要なのかについてのノウハウの蓄積に努めてきた。つまり、SOAを実際の企業システムに取り組むための準備は大分整ったと見てもよいであろう。ところが実際にどこから手をつけて、どのようなロードマップに沿ってシステム構築をすればよいのかとなると、もう一歩具体的な動きに欠けるきらいがある。

 SOAとはシステムをサービスの塊と捉えるところに特徴がある。サービスとはビジネスプロセスの中で反復可能なタスクのことを指しており、ビジネスプロセスはサービスの複合体ということができる。つまり、サービス指向とは、互いにリンクした一連のサービスを、一つのビジネスプロセスとして統合する方法論である。では何故このSOAに関心が高まっているかというと、最近BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の優劣が企業間格差につながるケースが出始めているからだ。従来十年一昔という言葉があったが、今はもう死語で、現在は1年どころか半年もすると業界環境は激変する。こんなスピーディーな時代では一からシステムを作り直していてはついていけない。すなわち、SOAを導入してシステム構築のスピードアップを図らねばならない。

 しかし、SOAのスキルを持ったユーザー企業はまだまだ少ないのが現状だ。そこでベンダー各社は最近SOAコンサルティングサービスの提供に一斉に走り出している。ユーザー企業にSOAについての理解を深めてもらい、SOAのノウハウを持った人材をユーザー側に育成して、具体的にSOAに取り組んでもらおうという作戦である。果して、ベンダー側の思惑通りSOA導入に踏み切るユーザーが本当に増えるのか、結果が分かるにはもう暫く時間を必要としよう。ここでは最近、SOAコンサルサービス事業を発表した日本オラクル、レッドハット、SAPジャパンの3社について見てみる。
 
 日本オラクルは、SOA導入のための新コンサルティングサービス「SOA Insight」の提供を開始した。同コンサルサービスは論議形式の会議(ワークショップ)を中心に、約2-4週間かけて簡潔かつ実践的なSOA導入の進め方をガイドするコンサルティングサービス。参加企業は目的や現在と目標の成熟度レベルに応じて特定した部分からSOA導入を開始、ロードマップに沿って容易にSOA構築を進めることが可能となる。

 レッドハットは、SOA導入初期段階に必要となるコンサルテーションサービスと、ユーザーの状況に合わせて独自に設計する技術者向けのトレーニングをセットにしたSOA導入支援の新サービス「RedHatSOAソリューションスターターキット」の販売を開始した。同スターターキットは、レッドハットのオープンソースSOAプラットフォーム「JBoss Enterprise SOA Platform」の購入者を対象にしたサービスで、コンサルテーションとトレーニングを合わせて合計6日間で提供する。SOA導入初期段階において必要となる基本事項の解決策を低価格で提供し、SOAプロジェクトの早期立ち上げを支援する。

 SAPジャパンは、SOA実装に必須である業務横断的な知識を持ち、ビジネスプロセスの視点でシステム設計ができるコンサルタントを育成するトレーニングを開始した。これに加え同社では、エンタープライズSOAにの必要なノウハウを包括的に網羅した方法論、およびエンタープライズSOA適用の導入方法の知識をまとめた方法論も提供することにしている。(ESN)