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◇企業システム◇アグレックスと日本オラクル、CRM事業の名寄せ業務で提携

2010-04-05 09:35:42 | CRM

 【CRM】ITホールディングスグループのアグレックスと日本オラクルは、アグレックスのデータクレンジング・名寄せツール「TRILLIUM(トリリアム)」と、日本オラクルのSaaS型CRMアプリケーション「Oracle CRM On Demand」を組み合わせ、総合的なCRMの提供を開始する。 収集した顧客データの品質向上は、CRMを実践する多くの企業にとって課題となっている。「TRILLIUM」は、「Oracle CRM On Demand」へ投入される顧客データの姓名・住所・その他項目を標準化・統一化して名寄せを行う。「TRILLIUM」を利用して顧客データの精度向上を図り、「Oracle CRM On Demand」を利用して精度の高い顧客データを効果的に活用することにより、顧客指向型経営を実践する基盤が整備される。(日本オラクル:10年3月31日発表)

 【コメント】毎年ITは高度化する一方であるが、多くの業務自体はというと以前とそう変わりなく行われているのが現状であろう。その一例として上げられるのが、社名、氏名、住所情報の一覧表作成作業だ。社名、氏名、住所情報の一覧表作成ほど担当者を悩ませるものはない。頭に(株)と付けた社名と付けない社名を、同一の会社と認識しなければならないなど、いわゆる名寄せ作業は大変だ。旧社会保険庁の年金問題も、名寄せ作業さえしっかりやっておけば、あのような事態は避けられたかもしれないのだ。

 ことほどさように、現場の業務をITで処理することは、人間が絡むのでいろいろとやっかいだ。この意味から今回、日本オラクルがアグレックスと提携したことは、CRM事業を推進するということから考えた場合、大きな意味合いがあるといえよう。ここで名寄せとデータクレンジングの意味を整理してみると次のようになる。名寄せとは、データベースに登録されている同一人物、同一企業、同一世帯などのデータを統合すること。一方、データクレンジングとは、統一されていない顧客データの整備を行い、システムが想定している正しいデータに修正することを指す。名寄せはデータクレンジングをした結果、データ間の関連性を導き出す行為ということになる。

 アグレックスが提供するデータクレンジング・名寄せツール「TRILLIUM(トリリアム)」は、住所・姓名・法人名キーワードの各種辞書を用いた高精度なデータクレンジング機能により、名寄せの際に問題となるデータ表記の違いを効果的に解消する。また、目的に応じた柔軟な名寄せ機能により、高精度な顧客情報整備を短時間で実現する。システム統合・データ統合時のDB構築といった初期の段階から、顧客照会業務などの運用時まで、幅広くご活用できる。「TRILLIUM」は米国Trillium Software社のワールドワイドなパッケージプロダクトで、日本においても多数の導入実績があり、データクレンジング・名寄せツールのデファクトスタンダードとも言えるソフト。

 アグレックスは、1965年の創業で、半世紀近くにわたり、大量のデータを抱える企業の煩雑な業務処理を一手に引き受けてきた。独自のアウトソーシングビジネスを中心に事業を展開し、その後、システム開発・運用へとその領域を拡大していき、現在では東証一部上場企業に事業を拡大している。いわば泥臭い第一線の現場業務処理を、こつこつと継続してきた企業であり、このような企業も、技術の最先端をいくIT企業とともに欠かせない存在である。(ESN)


◇企業システム◇SAPジャパン、住生コン、ブレアコンサルの3社がCRMソフトの新機能で協業

2008-07-30 15:28:36 | CRM

 【CRM】SAPジャパン、住生コンピューターサービス、ブレアコンサルティングの3社は、SAP CRMをベースに従来の「商談フェーズ管理(ビジネスプロセス進捗度)」だけでなく、“理(=自社、自分をどれだけ認めてもらっているか)”と“情(=どれだけ親密な関係か”の進化を示す「ASKの進捗度(顧客ニーズや顧客状況の把握)」という指標を追加し、評価、管理することで、商談フェーズの進捗管理を、より日本のビジネスに即したソリューションを開発し、販売を開始した。これにより導入企業は、営業スキルの共有や課題の把握、さらには新入社員などの短期育成や商談成立後のフォローアップなど、人間的部分に依存する情報を形式知化させることが可能となり、結果として企業全体の営業力を高めることができるようになる。 (08年7月28日発表)

 【コメント】CRMソフトはコールセンターなどでは欠かせないツールとして市場に定着している。これらのCRMソフトは売り上げ見込みや請求時期、過去の取引などの商談フェーズを業務的に管理する機能を有しており、これらのデータを基にコールセンターでオペレーターが顧客との対応に当たり、売上げ向上を実現させている。今回3社から発表されたCRMソフトは、これらに加えセールスマンが自社製品を販売するのに当たり、顧客とどれほど親密になっているか、顧客からの認知度がどのくらいかなど、これまで数値化されてこなかった点を数値化しようとする試みがなされている。

 既に似たような試みは行われている。バランススコアカードやナレッジマネジメントなどでは、これまで数値化が不可能な領域までも踏み込んで数値化し始めている。今回のCRMソフトは、SAPのCRMソフトをベースに、ブレアコンサルティングが長年にわたって蓄積した営業力向上ノウハウを盛り込んで、企業ユーザーに販売しようとするもの。このようなソリューションが提供され始めたの背景には、現在CRMソフト自体に差別化が求められていることを意味する。SaaS型のCRMソフトとしてセールスフォース・ドットコムやネットスイートなどに企業ユーザーの関心が集まっているが、これらのSaaS型CRMソフトはWeb機能について、パッケージ型CRMソフトの一歩先を行っている。このような状況下、パッケージ型CRMソフトとしては新たな付加価値機能をアピールする必要が出てきている。今後、CRMソフトの機能競争が激化しそうだ。(ESN)