【BPM】米IBMは、企業ユーザーがビジネス・プロセスを最適化し、ビジネスの俊敏性を実現することによって効率性を高めコストを削減し、ビジネスを成長させる手段を見つけ出す支援を目的とした、新しいオファリングを発表した。新しいソフトウェアは、ビジネス・プロセス・マネージメント(BPM)市場におけるIBMのリーダーシップを拡大する。IBMは、10年第1四半期に、BPMとインテグレーション・ソフトウェアのポートフォリオにおいて、2桁台の収益増加を達成した。業務を自動化し統合する必要性をより多くの企業が感じていることを認識し、IBMは20,000人以上の担当者を置き、過去18ヶ月間において、戦略的買収と研究開発に年間10億ドル以上を投資している。(日本IBM:10年5月10日発表)
【コメント】BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)は、企業を取り巻く環境が早急に変化する現在、必要の度合いがますます高まっている。例えば、企業合併などで、全く新しい条件下で、業務の効率化を向上させる最適解を見つけ、それに基づく新システムを迅速に構築しなければならなくなってくる。このような時に威力を発揮するのがBPRソフトウエアおよびイングレーション・ソフトウエアであるが、米IBMは、同市場に対しこれまで積極的に取り組んできたが、今後、さらに力を入れることを、今回、改めて明らかにしたものである。
IBMはBPM/インテグレーションソフトの意義について「ビジネス・プロセスをより効果的に管理することによって企業は、アドホックな管理と、時間のかかるタスクの自動化が可能になり、価値の高い仕事のために社員を解放し、一貫性と再現性に優れたより効率的な成果をもたらす」と述べている。導入事例としては次のユーザーのケースを挙げる。IBMはGlobe Telecom社にIBM Business Process Management Suiteを基盤にしたソリューションを導入し、同社のビジネス・オペレーションの統合を支援した。その結果Globe Telecom社は、新製品を市場に投入するまでの期間を6ヶ月から40日間に短縮することができた。さらに同社では、製品開発コストを最大90%削減することによって利益幅を上げ、新製品開発にかかわる経済的リスクを大幅に低減した。さらなる情報共有、洞察、共同作業を実現することによって、Globe Telecom社はより対象を絞ったオファリングの潜在顧客の認識が可能になったという。
今回IBMは、ユーザーがより俊敏性と高いビジネス・パフォーマンスを実現することを支援するために、ソフトウェア事業とグローバル・ビジネス・サービスの共同によるCenter of Excellenceの拡張を発表した。拡張機能は、銀行、保険、医療、通信業界のユーザーを支援するための業界別テンプレートを提供する、新しい業界別ソリューション・アクセラレーター、そしてBPMプロジェクトを加速させる業界別プロダクト・ライフサイクル管理の機能を提供する。このオファリングは業界標準に基づいており、個々のユーザーの持つ特有なビジネス・ニーズを満たすため、カスタマイズすることができる。
またIBMは、BPM関連事業の業績も今回明らかにした。それによると、10年の第1四半期、IBM WebSphereは13%成長し、そのうちインテグレーション・ソフトウェアは20%以上の成長を達成、さらにビジネス・ルール管理機能の提供によって、IBMのSmarter Planet推進の重要な役割を担うILOGは、30%以上の成長を実現したという。IBMの取り組みは、常に時代の先端を走っている。その結果、企業システムではBPM/インテグレーション事業、社会システムではスマートグリット事業など“Smarter Planet”に軸足を動かし始めた。今回の発表は、その成果の公開という意味合いがあろう。国産大手ITベンダー企業も、この新しいIBMの取り組みをしっかりと視野に入れておく必要があろう。(ESN)