企業システム・レビュー・ネット

企業経営を左右する企業情報システム(経営+ITソリューション)のデータバンク作りを目指す

◇企業システム◇NTTグループとソフトパッケージベンダーの6社が次世代型ERPソリューション提供

2009-06-03 09:20:48 | ERP

 【ERP】NTTデータ、NTTデータ イントラマート、NTTデータ システムズ、アイテックス、ウイングアーク テクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリングは、次世代型ERPソリューション「Biz∫(ビズインテグラル)」を推進する事業会社「NTTデータ・ビズインテグラル」を09年5月27日に設立し、09年6月1日から営業を開始した。業務の可視化と改善が可能なユーザープロセス中心型の次世代型ERP「Biz∫」は、単なるパッケージではなく、コンサルティングから活用サポートを含めたトータルサービスを提供。新会社は、国内の有力なパッケージベンダーとのパートナーシップにより、それらの総力を「Biz∫」に結集させ、最善のトータルソリューションを提供する。新アーキテクチャの基盤にはOSS対応統合型フレームワーク「intra-mart」を採用しており、標準機能としてSaaS、クラウドにも対応しているため、多様な利用形態での活用が可能となる。 (NTTデータ、NTTデータ イントラマート、NTTデータ システムズ、アイテックス、ウイングアーク テクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリング:09年6月1日発表)

 【コメント】ERPは企業の基幹システムとしてこれまで多くのユーザーでの稼働実績を有している。先頃もNECが自社の基幹システムに全面的にSAP ERPの導入を発表し注目され、また、三菱グループでも、今後わが国の企業がグローバル化するに伴い、三菱総合研究所、三菱総研DCS、三菱電機インフォメーションシステムズが、ERP事業の一層の強化を目的に、合弁で新たに「MRIバリューコンサルティング」を設立することを発表するなど、ERPに関する話題が再び活発になってきた。

 これは各企業が単にERPを導入する時代に一区切りがつき、これからはいかにERPを経営に活用できるかが焦点になっていることをあらわしている。今回NTTグループとソフトパッケージベンダーとが協業して新しいERPの提供に乗り出したことは、逆にいえばこれまでERPとソフトウエアパッケージの連携がうまく進展していなかったことの証明にもなろう。この意味でようやくERP導入の目的が、全社システムの統合化からBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)化へと移りつつあることが分かる。この実現のためにはSOA(サービス・オリエンテッド・アーキテクチャー)技術がキーとなっているともいえる。

 従来、一度構築したERPをベースにした基幹システムは、容易には変更不可能だ。それを抜本的に変えようとするのがSOA技術である。不況に直面した各企業では、新しい製造システム、新しい販売システム、そしてそれらに対応可能な会計システムの構築が急務となっている。つまり、それらをBPMとSOAを活用することにより新しい基幹システム構築を迅速に可能とするわけである。さらに、BI(ビジネス・インテリジェンス)などのパッケージソフトを連携させることにより、ERPが単なる統合化機能から、経営革新のツールとしての役割を担うことができることにもつながる。

 今回発表されたBiz∫(ビズインテグラル)には、これまで多くの実績を持つシステム基盤にOSS対応統合型フレームワーク「intra-mart」が採用されていることが一つの売りになろう。長年にわたって構築されてきたシステム基盤ソフトであるが故にユーザーからの信頼性を得やすいからだ。これは今回提携したアイテックス、ウイングアーク テクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリングのソフトウエア製品にも同じことがいえる。「Biz∫(ビズインテグラル)」の登場は、今後のERPシステムは1社のベンダーの提供より、経験豊富な複数のベンダーによる製品提供の方が、より経営に役立つシステム構築ができるという結論に導くことになるかもしれない。(ESN)


◇企業システム◇SAPジャパンとNECが協業強化へ

2008-12-24 16:23:01 | ERP

 【ERP】SAPジャパンとNECは協業を強化し、SAPが提供する中堅企業向けERP導入プログラム「SAP Business All-in-One fast-start program」のプラットフォームとして、NECのサーバー「Express5800シリーズ」を選定し、SAPジャパンおよびそのパートナー企業が販売することに合意した。「SAP Business All-in-One fast-start program」は、サービス、商社・卸、組立製造業界の中堅企業に向けた、低コストかつ短期間でERP導入を可能にするプログラムで、ユーザーが従業員数、ライセンス数を入力し、必要なソフトウエア機能を選択するだけで、導入にかかる費用の
試算を行うことができる。また、会計、販売、購買、在庫、その他の機能を統合的にサポートするSAP ERPの導入を3千万円台からという低価格(ソフトライセンス、ハード、導入サービス込み)で実現可能にする。 (08年12月24日発表)

 【コメント】SAPのERP導入プログラム「SAP Business All-in-One fast-start program」は、SAPの「オンライン・ソリューション・コンフィギュレター」機能を利用して行われ、導入時にはOS、データベース、SAP ERPなどに加え、ユーザーが選択した設定情報をハードウエアにプリインストール済みの状態でユーザーに提供するもの。
そのため特定のサーバーにプレインストールし、SAPのパートナーから販売されれば効率的であるし、サポートもしやすくなる。一方、NECのサーバー「Express5800シリーズ」は累計100万台(08年2月現在)を出荷、国内IAサーバーでトップシェアを誇っている。しかし競合も激しく、NECは市場で富士通、デル、HPなどと激しいシェア争い繰り広げている。今回SAPと提携したことによって、これらの激しいシェア争いの中で優位に展開できる一つの選択肢を得たことになる。

 現在SAPジャパンは、NECのほか富士通、日立製作所などとも提携し、ERP市場での体制を盤石なものにするための体制づくりに必死だ。08年11月5日には富士通とデータ可視化ソリューション「EIM(エンタープライズ・インフォメーション・マネジメント)」
で協業を強化した。これはBI(ビジネス・インテリジェンス)技術が背景に存在している。独SAPは08年2月にBI企業の大手・仏ビジネスオブジェクツを傘下に入れたが、ビジネスオブジェクツの得意とする一つがデータ可視化技術。これにSAPのソリューションを統合したのがデータ可視化ソリューション「EIM」である。一方、富士通は1995年からビジネスオブジェクツのデータ可視化ソリューションの日本語化および提供を行ってきた。03年からは富士通大分ソフトウェアラボラトリが日本ビジネスオブジェクツとパートナー契約を締結し、本格的に提供を行い、既に富士通グループ全体で300以上のユーザーを獲得している。今後両社では「EIMソリューションセンター」を富士通ソリューションスクウェア(東京都大田区)内に設置し、EIMソリューションの技術検証および導入支援を行うことにしている。

 日立製作所と独SAPは、両社でSAPソリューションのマーケティング、販売、システム構築に至る広範囲な協業をグローバルで推進することで合意し、「SAPグローバルサービスパートナー」のパートナー契約を08年12月2日に締結した。内容は日立のプラットフォームやミドルウェアおよびコンサルタントサービスとSAPソリューションを組み合わせ、米国をはじめとした世界各国のユーザーへ提供しようとするもの。このため日立は、SAP認定資格者を国内、海外合わせて、2011年までに2080人に増員することにしている。これまであまりマスコミには取り上げられていないが、日立は国内でSAPのパートナーとして常にトップクラスの実績を挙げてきた。今回はその実績を土台として広く世界へSAPビジネスで打って出ようとするもの。逆に言うと、もう日本国内だけで今後も成長を遂げることは難しいということであろう。昔トヨタが世界へ向けて製造・販売網を拡大していったと同じことだ。その意味では、日本のIT産業は自動車産業に比べ2-3周は遅れをとっているともいえる。

 いずれにせよSAPを中心としたビジネスは、これまでにない展開を日本の大手IT企業に与えつつあるといっていいであろう。これはSAPがドイツの企業であり、米国の企業でないところが、このきっかけをつくったと見ることもできる。米国企業であると
多かれ少なかれIBMかマイクロソフトの影響を受けており、戦略が硬直化しがちだ。これに対しSAPはIBMとマイクロソフトとはパートナー関係だけであり、自由な戦略が練れる。この意味からも日本の大手IT企業はSAPとの連携を密にとりながら世界進出の足がかりを掴むと、今後新しい展望が生まれるかもしれない。(ESN)


◇企業システム◇ネットスイートが日本市場対応のSaaS型ERPスイートを発売

2008-12-22 16:17:01 | ERP

 【ERP】SaaaS型ERPスイートを提供する米ネットスイートの日本法人であるネットスイートは、日本の会計基準および日本の財務報告と消費税制度向けなど日本市場向けにローカライズした「NetSuite-Release J」の販売を開始した。この新しいERP機能は、ネットスイートのSaaS型CRMおよびEコマースと統合されている。「NetSuite-Release J」はERP、CRMそしてEコマースを包含する単一の業務管理システムとしてゼロから構築されており、財務や倉庫管理から、マーケティング、CRM、顧客サービスまで、中堅企業が組織横断的に業務プロセスを自動化することを可能にする。 (08年12月9日発表)

 【コメント】SaaS型CRMソフトのセールス・フォース・ドットコムの影に隠れ、これまでネットスイートの存在はあまり日本市場では注目されてこなかった。しかし、セールス・フォース・ドットコムがCRMに特化した機能しか持たないのに比べ、ネットスイートはERPに加えCRMさらにEコマース機能を統合して持っているため、企業の基幹システムを一つのソフトでカバーできるという特徴を持っている。企業自体はまだ若く、1998年にエバン・ゴールドバーグとオラクルの創業者であるラリー・エリソンによって創業された。同社はSaaS型のソフトを提供する企業のリーダー役の立場にあるソフト企業ではあるが、最近の用語に従えば、クラウドコンピューティングを提供する有力企業の一社ということができよう。

 ERPは既に多くの企業で導入され、これにより導入企業では容易に全社標準化を実現でいるようになったなど、現在企業システムにとって欠かせない存在となっている。しかし、一方これまでのERPソフトには問題点も存在していた。その一つはコストがかかり過ぎること。何億円、何十億円もするERPソフトは、中堅中小企業はそう簡単に導入できない。また、ERPソフトはパッケージソフトが基本であり、個々の企業のアプリケーションに対応するには限度がある。この対策のためSOAなどを使い、個々の企業のアプリケーションに適合できるERPソフトの普及にベンダー側は今躍起になっている。

 ERPのコスト高の対策として現在注目されているのがOSS(オープンソースソフトウエア)型ERPソフトである。OSS型ERPソフトはまだまだ認知度が低いが、意外にいったん市場に根付くと、一挙にユーザーを拡大する可能性を秘めているだけに、注目製品だ。これに対しSaaS型はセールス・フォース・ドットコムがCRM分野で成功を収めたために、既に市場に定着したかの感がするが、セールス・フォース・ドットコムはあくまでCRMという単品製品での成功であり、ERP、CRM、Eコマースが統合されたERPスイート製品ではない。その意味からすると、今回の「NetSuite Release J」が企業システムにおけるSaaSの真価が問われる初のケースともいえよう。ところでERPスイートをSaaS型にするとどのようなメリットを企業にもたらすのであろうか。例えば法改正で一つ一つの企業で対応していたのでは大変な場合でも、サーバー側が一括して対応すればスムーズに対応できるというメリットが考えられよう。これらを実現するためにも、SaaSベンダーが第三者ソフト企業とパートナー契約を結び、ユーザーに魅力的なアプリケーションを提供できるかどうかに、SaaS型ERPスイートの未来がかかっているのではなかろうか。(ESN)


◇企業システム◇SAPジャパンと日本HP、エンタープライズSOAで協業

2008-09-17 16:22:10 | ERP

 【ERP】SAPジャパンと日本HPは、企業のSOA(サービス指向アーキテクチャー)導入を推進するため、エンタープライズSOA導入支援コンサルティング分野での協業を開始する。両社でエンタープライズSOA導入支援コンサルティングを行う専任コンサルタントチームを置き、共同販促活動を行う。同時に新サービス「Enterprise SOAワークショップ」を開始する。さらに日本HPの「SOAコンピテンシー・センター」内に「Enterprise SOAエクスパティーズ・センター」を開設する。 (08年9月17日発表)

 【コメント】今、企業システムは嵐の前の静けさの中にあるといえる。嵐とは何かというと①SaaS②SOA③オフショワ開発の3つに代表されるシステム開発に関する“革命”の起爆材を指す。SaaSはセールスフォース・ドットコムのCRMの成功で一躍注目を集めたが、セールスフォースは最近では盛んにPaaSという言葉を使い始めている。これは開発環境をネットを介して提供しようという試みで、同社ではソフト開発環境を大きく変えると主張している。この考え方はサンなどが前から模索してきたものある。もうソフトはパッケージを買ってきて使うのではなく、ネットを介して必要なものを必要に応じて使う時代へ徐々に移行しつつある。グーグルなどは既にオフィスソフトなどを無料での提供に踏み切っている。

 オフショワ開発は、日本のソフト企業にとって今後大きな壁になって立ちはだかることが予想される。このことはSOAの普及と密接なかかわりを持ってくる。従来、企業のアプリケーションは一塊の岩のような存在で、外に持ち出すなどのようなことは現実的はなかった。つまり、日本のソフト企業でなければ、企業に対する十分なサポートは不可能であった。しかし、SOAが普及すると様相はがらりと変わる。大きな岩のようなアプリケーションでも、細かな石の単位で開発すれば済む時代が近づいている。つまりソフト開発は何も日本国内でしなければならない状況ではなくなってきつつあるのである。

 そして、本命のSOAの普及だ。今回日本HPとSAPジャパンがSOA事業で提携したのは、Webサービス準拠のNetWeaverの普及の延長線上にある取り組みで、SAPジャパンが本格的にSOAへの傾斜を進めようとする意思表示でもある。SAPはパッケージソフトで世界有数のソフト会社に上り詰めた。そのSAPがパッケージソフトというビジネスモデルを自ら脱ごうとしている。もうこれ以上パッケージソフトという商品にしがみついていたら負けてしまうという結論に達したのであろう。これからは、既存のソフトを組み合わせてアプリケーションを構築する時代へと向かう。この流れは企業の情報システム部門にも大きな変革を促す。ソフト開発がメーン課題ではなくなり、企業が要求する課題に対し、どのようなシステムを構築するのかがメーンの課題となってくる。正に今、企業システムは嵐の前の静けさにあるといえる。(ESN)


◇企業システム◇SAPジャパンが中堅企業向けERP「All-in‐One」の下位バージョン発売

2008-07-28 10:24:47 | ERP

 【ERP】SAPジャパンは08年8月から、中堅企業向けERPの短期間・低コスト導入プログラム「SAP Business All‐in‐One FAST-START PROGRAM」を開始する。同プログラムは「SAP Business All-in‐One」(年商500億円未満の中堅企業を対象)のさらに小規模の企業を対象に、サービス、商社・卸、組立製造に対象業種を絞って提供する。「SAP Business All-in‐One」に比べて半分以下の期間で導入でき、会計、販売、購買、その他の機能を統合的にサポートするSAP ERPを3000万円からという低価格(ソフトウエアライセンス、ハードウエア、導入サービス込み)で提供可能にした。 (08年7月23日発表)

 【コメント】ERP市場は大手企業の市場が飽和し、それに伴い中堅市場の開拓の切り札として、SAPは「All-in‐One」を投入した。今回、発表した「All-in‐One FAST-START PROGRAM」はさらにその下の規模のユーザーを狙ったもの。ソフトウエアライセンス、ハードウエア、導入サービス料込みで3000万円からという価格設定が、どうユーザー企業にアピールすることができるかが、成否を左右しよう。

 中堅・中小企業向けERP製品は、昔のオフコン時代からの伝統ある市場で、日本のITベンダーの牙城となっている。ここに今回SAPが参入しようとするわけで、SAPといえどもそう簡単に市場参入ができるとも考えていないだろう。このとき狙い目となるのは、海外と取引が多い企業だ。もう、日本の多くの企業が海外市場を抜きに事業展開が不可能になっている。こうなるとERPのバージョンアップの際、国産ERPソフトから、SAP ERPに切り替える企業も出てこよう。(ESN)


◇企業システム◇NK情報システムのオープンソースERP「HOOP」

2008-07-26 10:06:15 | ERP

  【ERP】現在、オープンソースソフトウエア(OSS)によるソフトウエア開発が注目を集めているが、このほど国産のオープンソースERP「HOOP」がNK情報システム(広島市南区稲荷町2-16、中村一孝社長)により開発され、“広島発のGlocalなオープンソースERPシステム”としてスタートした。この「HOOP」開発プロジェクトの一部はIPAの「06年度オープンソフトウエア活用基盤整備事業」の支援を受け、KN情報システム、オープンテクノロジーズ、SRA西日本の3社により開発されたもの。「HOOP」は5つの基本管理業務システムをベースに管理業務システムを組み合わせることにより、ERPシステムを短時間での導入が可能となる。今、OSSをベースに、地域のソフト企業が水平に分散してソフト開発をし、大手企業の下請け構造から脱却しようとする動きがあるが、「HOOP」はこの流れに乗ったERP製品で、互いに追加開発を行った製品の共有やマンパワーの過不足のカバーなどにより、今後地域活性化に貢献するものと期待が高まっている。ここでは「HOOP」サイト運営事務局に質問を行い、次のような回答を得たので掲載する。

 質問① オープンソース型ERPソフト「HOOP」は、どのようなユーザー(企業規 模、業種など)を想定していますか。また、利用に際しては、ユーザー企業自身 が独自にダウンロードし、カスタマイズし、メンテナンスまで行うことを前提と したものですか。

 HOOPサイト運営事務局 ERPを導入し、経営効率が上がると思われる、従業員数50人以上、売上高10億円以上の企業を想定しています。業種はあらゆる業種を想定しています。利用に関しては、自社でダウンロード、カスタマイズ、運用時の障害対応等が困難な場合は、弊社での有償サポート対応が可能です。

 質問② 現在各社から発売されている「HOOP」と同類のパッケージ型ERPソフト製品に比べて、価格以外の優位性はどこにありますか。

 HOOPサイト運営事務局 同類のパッケージ型ERPソフト製品について具体的に分からないと比較が困難ですが、弊社の製品は価格が安いことと、将来の拡張性が高いこと、またソースコードが公開されているため、ユーザーが自らカスタマイズや機能拡張を行えることが特徴として挙げられます。

 質問③ 「HOOP」を普及させるために、コンソーシアムなどを組織化する計画は ありますか。 

 HOOPサイト運営事務局 現在、弊社の拠点である広島に「ひろしまオープンソフトウェアコンソーシアム」というNPO法人があり、弊社も加入しております。

 質問④ 「HOOP」がオープンソース機能を使い今後発展するとなると、どのよう な将来像が考えられますか。

 HOOPサイト運営事務局 まず、地域のオープンソース団体と連携を深め、「HOOP」をコアとして様々な業種向けの追加開発を行った製品をお互いが共有することによって、安くて早いシステム構築が可能となります。また製品の共有だけでなくマンパワーの過不足をお互いが補うことによって、地域ソフト会社間の連携が可能となり、地域活性化にも役立つと思われます。

 

 


◇企業システム◇オープンソースERPソフトの仏ネクセディが日本法人設立

2008-07-14 11:15:00 | ERP

 【ERP】オープンソースERP「ERP5」のリーディングカンパニーの仏Nexedi SA(ネクセディ、リール市、ジャンポール・スメッツCEO)は、08年7月2日に日本法人として株式会社Nexedi(東京都品川区、奥地秀則社長)を設立した。ネクセディグループによって開発されたERP5は、100%オープンソースソフトウエア(OSS)で、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、北米、南米の世界各地で実績を持っている。日本でも1年以上利用のユーザーがある。日本のネクセディは研究開発(R&D)の中心的役割を果たし、約20万ユーロを投資することになっている。「ERP5」は既に銀行業のような大規模システムにも対応しているが、これまでのERPソフトが達成できなかった、より複雑で巨大なシステムに対応するため研究開発事業を展開することにしている。(08年7月2日発表)

 【コメント】これまでERPソフトはSAPに代表されるようにパッケージソフトとして提供されてきたが、最近になりOSSのERP製品が提供されるようになってきた。米国のCompiere(コンピエール、日本代理店=アルマス)やKN情報システムの「HOOP」など      で、フランスのネクセディの「ERP5」もその一つであるが、中でもこの「ERP5」は世界で初めて100%オープンソースERPを実現したことや、世界各国にユーザーを持つことなどから、今最も注目を集めている。

 オープンソースERPのメリットについてネクセディは次のように述べている。「オープンソースERPはベンダー・ロックインからの開放、コスト削減などの観点からも、顕著な効果が認められている。しかしながら、それ以上にユーザーの自由度の高さこそが最大の魅力である。ソフトウエアが公開されているため、コミュニティによる情報交換、コア・システムにまで手を入れられる柔軟性、データ形式の透明性、ソフトウエア利用の安全性の確保など、非オープンソース製品では決して真似のできない長所が光る」。そして他のオープンソースERPに比べての優位性としては、スクリプト言語「Python」の長所を生かし、柔軟で迅速な開発が可能となり、また、統合ビジネスモデル(UBM)に基づいているためソフトウエアの再利用性が高く、ソースコードの肥大化が避けられ、開発コストの大幅な削減を実現できる、ことなどを挙げている。

 わが国のERPソフト市場は、大手企業向けはSAP、オラクルなどが独占し、中小中堅市場ではオービックなどオフコンからの長い実績を持つベンダーによって固められている。この市場にオープンソースERPソフトベンダーが新たに参入することはたやすいことではない。しかし、現在ほどソフトウエア構築に対する安全性やコスト削減の意識の高まりが見られたことは過去になかったといえる。このようなユーザーニーズを取り込めば、オープンソースERPソフトの普及も夢ではない。パッケージ型ERPソフトベンダーは長い間作り上げてきた販売網、保守網が絶対の強みだ。オープンソース型ERPソフトベンダーがこの分野を開拓できるかが、今後の日本市場での普及のカギを握っているといえそうだ。(ESN)


◇企業システム◇株式会社オロのSaaS型ERPソフト「ZAC」

2008-07-11 10:50:06 | ERP

 【ERP】株式会社オロ(東京都目黒区目黒3-9-1、川田 篤社長)は1999年1月に設立されたまだ若いソフト企業だ。東京本社のほか大阪支社、北海道支社を持つ。主力製品のERPソフト「ZAC」はパッケージ販売のほか、今注目されているSaaSでの提供も行っている。SaaS型ソフトは米国のセールスフォースドットコムが成功をおさめて以降、新しいソフトの提供方法として我が国でも俄かに脚光を浴び始めてきているが、ERPソフトをSaaSで提供しているベンダーはまだそんなに多くはない。同社はERPソフト「ZAC」をいち早くSaaSで提供を開始しているが、SaaS型ERPソフト「ZAC」の現状と今後の見通しについて、ZACエンタープライズ事業部長・藤崎邦生取締役に質問を行い、次のような回答を得たので掲載する。

 質問① 貴社のSaaS型ERP「ZAC」が主な対象とする企業規模(従業員数あるいは売上高)および業種(製造業とか流通業など)は何ですか。

 藤崎取締役 対象規模は従業員30人から1000名程度までの中堅・中小企業です。対象業種は受注産業(第3次産業)で、広告業、制作業、コンサル業、建設業、ソフトウェア開発業など案件別の個別原価を必要とされる業種です。

 質問② パッケージ型ERPとSaaS型ERPの販売比率(ユーザー数)の今年と3年後、5年後の推移をどう予想されていますか。

 藤崎取締役 SaaS型ERPの月額利用料金が下がる方向性で市場が形成されることを想定しております。現在、SaaS市場は17%ほどの成長率で進んでおりますが、予想(ユーザー数推移)としては、以下のように予想しております。パッケージ型対SaaS型の比率は、今年=20対1、3年後=10対1、5年後 =5対1。

 質問③ SaaS型ERP「ZAC」は、ユーザー1社1社ごとのカスタマイズはどこまで可能なのですか。また、データのセキュリティはどのように保証されるのですか。

 藤崎取締役 カスタマイズは行わずにパラメータ設定で行う形のシステムとなっております。1社ごとの独自カスタマイズは追加パラメーターの拡張で対応しています。基本的には、どのようなカスタマイズをかけることも可能ですが、機能の拡張性に反する機能については、お断りする可能性もあります。セキュリティにつきましては、いろいろな側面で考えられますが、データセンターでSaaS利用を行う場合には、ユーザー企業からSSLでアクセス制限を行いご利用いただいております。またシステムへのログイン後は画面単位で利用ユーザーの権限設定が可能です。

 質問④ 同じアプリケーションの場合、パッケージ型ERPとSaaS型ERPのコスト的な比較は大体どのくらいと考えたらいいのですか。

 藤崎取締役 パッケージの場合にはライセンスの買い取りとなります。従いましてSaaS型(毎月ご利用料金を支払う形式)で ご利用いただく場合には、ある時点でパッケージ価格を上回ることになります。現時点の価格設定は、2年で逆転する形になっておりますが、今後は、2年から徐々に増やしていく(※SaaS型の月額料金を下げる)方向で考えております。

 


◇企業システム◇ネットスイートのSaaS型統合業務アプリケーションソフトウエア「NetSuite」

2008-07-07 14:19:01 | ERP

 【ERP】日本市場でもようやくSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)への関心が高まってきたが、米NetSuite社はSaaS型統合業務アプリケーションソフトウエア「NetSuite」をいち早く市場に提供し、現在ではSaaS型統合業務アプリケーションソフトウエアのリーディングプロバイダーとして成長を遂げている(08年第1四半期は前年同期比47%増で、34回連続して四半期ごとの収益増を達成)。「NetSuit」は会計システム、ERP、CRM、Eコマースなどを含む主要な業務アプリケーション機能を、単一のシステムで実現可能な環境で企業に提供しており、SaaS型ソフトであるため、ハードの調達、ライセンス料金の一括支払い、複雑な設定などがすべて不要となる。

 日本法人のネットスイート(東京都港区赤坂1-11-28、松島 努社長)は06年4月に設立され、日本市場での活動を開始している。08年5月には、国内の中堅・中小企業市場(SME市場)向けに販売を強化するため、大手情報処理サービス企業のアイネット(横浜市西区みなとみらい3-3-1、梶本繁昌社長、資本金32億300万円)と販売提携し、日本市場での本格的販売を開始した。現在、「NetSuite」が今後日本でどこまで市場を拡大できるのかに注目が集まっている。ここではネットスイートのマーケティング本部の内野部長に以下の質問を行い、その結果次のような回答が寄せられたので掲載する。

 質問① 「NETSUITE」は①CRM②ERP③BI④Eコマースを統合した業務アプリケーションソフトということですが、基盤となるソフトはこの4つのうちどれですか。
 
 内野部長 弊社のNetSuiteは、単一の統合データベース上で実装された統合業務アプリケーションです。また、統合のデータベースでフロントエンドからバックエンドまで、ビジネスプロセスを統合した製品です。こちら(http://www.netsuite.co.jp/portal/jp/products/index.html)をご覧いただければと思います。CRM/EC/ERPのシステムで、スナップショットをBIでダッシュボード上から役割ごとに必要な情報を引き出し、加工しレポートすることが可能です。一つ一つのトランザクションは、統合化されているところが弊社のもっとも大きな特徴といえるでしょう。

 質問② 「NETSUITE」はすべてSaaSで提供されているのですか。パッケージソフトでの提供はないのですか。

 内野部長 SaaSで提供されます。1998年の企業設立以来、SaaSで提供しております

 質問③ 開発プラットフォーム「NS―BOS」はユーザーにどのようなメリットをもたらしますか。

 内野部長 各ソフトウェアを展開するISVは、NetSuiteの基幹アプリケーション機能上に構築されたNS-BOSによって、短期間に市場投入することが可能になります。NS-BOSにより、あらゆる垂直型アプリケーションが、NetSuiteのERP / CRM / 電子商取引機能などのビジネス機能と連携し、これらの機能を活用できるようになり、開発者は見積もりや注文管理などの「水平型機能」ではなく、垂直型機能の差別化要素に集中することができるようになります。結果として、エンドユーザは、SaaS上で展開される細業種向けソリューションを、自社に構築運用することなく、サービスとしてのソフトウェアとしてご利用することが出来ます。


◇企業システム◇富士通がERPソフト「GLOVIA smart FMMAX食品雑貨卸」発売

2008-06-02 10:23:05 | ERP

 富士通は、段階的に導入可能な中堅企業向けERPソリューション「GLOVIA smart」の業種別販売管理ソリューション「GLOVIA smart 販売FMMAX」(約4000社の販売実績)において、これまでカスタマイズ対応してきた食品卸売業で必要となる賞味期限管理や、雑貨卸売業におけるロット管理といった機能をパッケージ化した「GLOVIA smart 販売FMMAX食品雑貨卸」の販売を開始した。これにより、取り扱い品目、仕入先、管理項目の多様化により複雑化する食品卸売業、雑貨卸売業界の販売管理システムを、特別な機能をつくり込むことなく、短期間かつ低コストで構築することができる。(08年5月26日発表)

  【コメント】富士通の「GLOVIA smart」は、オフコンの業務・業種用ソフトの長年にわたるノウハウを基に、同社が06年6月に発売したオープン化対応の中堅企業向けERPソフトである。中堅企業向けでポイントとなるのが、いかに業務・業種に特化させるかということである。日本独特の商習慣に基づいたものだけでなく、その業種独特の環境にも合わせなければならない。昔のオフコンは、これらの業務・業種特化を武器に市場を拡大していった。時代が過ぎ、オープン化、ERP化の時代が到来したわけであるが、今後のERPソフトは中堅企業市場の拡大が期待され、ここでもオフコン時代と同様に業務・業種特化がキーポイントとなる。

  富士通は今回の発表の前の07年10月に、①業種別販売管理ソリューション「GLOVIA smart 販売FMMAX」②生産管理ソリューション「GLOVIA smart 製造PRONES」③製造管理ソリューション「GLOVIA smart製造MES」の3つのERPソフトを発売した。「GLOVIA smaet 販売FMMAX」は、ERPソフト「GLOVIA smart」に、それまで約4000社の実績を持つ販売管理ソフト「FMMAX」を組み合わせたソフトである。そして「GLOVIA smart FMMAX」に、食品雑貨卸売業の業種に特化させたのが今回の「GLOVIA smart 販売FMMAX食品雑貨卸」である。

  このように、ERPソフトベンダー各社は今後、業務・業種特化をさらに深堀させていくことになろう。一方ではSAPは今後のERPのあり方として、SOA(サービス・オリエンテッド・アーキテクチャー)に全力を投入している。これは、従来のERPパッケージソフトのカスタマイズだけではユーザーニーズに対応できないと見た判断で、同社はSOAにより個々のユーザーのニーズに細かく対応しようと模索している。今後、富士通をはじめとした国産中堅企業向けERPソフトベンダー各社が、これにどう対応していくのかが、今後のERP市場の動向を探る上で重要な要素となろう。(ESN)