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◇企業システム◇アシスト、オープンオフィスの「拡張ヘルプデスク」サービス提供開始

2010-02-15 09:56:13 | クライアント

 【クライアント】アシストは、OpenOffice.org導入を目指す企業・団体を対象に、OpenOffice.org導入フェーズに応じた各種支援サービスをパッケージ化した「拡張ヘルプデスク」サービスの提供を開始する。このたび、従来アセスメントおよびコンサルティング・サービスとして提供してきた支援サービスのノウハウやコンテンツをOpenOffice.org導入検討、評価検証、導入展開というフェーズに合わせて最適化、パッケージ化することでリーズナブルな価格での提供を可能にした。アシストはこの「拡張ヘルプデスク」サービスを通じてより多くの企業や団体にOpenOffice.orgによる経費削減の実現を支援していく。(アシスト:10年2月1日発表)

 【コメント】現在、多くの企業ではマイクロソフトオフィスを導入し、業務に活用している。これは、各PCベンダーがマイクロソフトからマイクロソフトオフィスを購入し、PCにバンドルしてユーザーに提供しているためであり、事実上の標準ーデファクト・スタンダードー化しているためにほかならない。この習慣は長い間行われてきたため、誰もが疑問に思わず、現在に至るまでマイクロソフトオフィスを使い続けているのである。ところが、LinuxをはじめとするOSS(オープンソースソフトウエア)の普及は、それまでの慣習を根底からみ直す契機をユーザーに与えることになった。そしてマイクロソフトオフィスも、その例外ではなかった。

 ベンダー主導による度重なるバージョンアップ、および、それに関するコストアップが、ユーザーの負担として徐々に意識され始めてきたのである。オフィスソフトもOSS化できないものかというニーズに応え開発されたのが、OSSのオフィスソフト「OpenOffice.org(オープンオフィス)」である。OSSであるため、コアソフト部分は無償提供され、導入コストが抑制でき、しかも、ベンダー側の事情によるバージョンアップが必要なくなるため、ユーザーにとっては、この上ないオフィスソフトの登場のはずであった。しかし現実には、既にマイクロソフトオフィスがデファクトスタンダード化している市場に、ベンダーの支援が一切なしで、ユーザーが独自にオープンオフィスを導入するには多くの問題が存在し、事実上、単独導入が難しかったのである。

 このような、状況を何とか克服しようと立ち上がったのがアシストである。アシストは、ソースコードが公開された無償で使用することのできるオフィスソフトOpenOffice.orgの導入を検討または予定している企業や団体などに対し、導入の検討時や実施時に発生する様々な課題を解決し、スムーズな導入を実現するためのアセスメント・サービスやコンサルティング・サービス、研修サービス、一般ユーザ向けヘルプデスク・サービスなどを、これまでに約70社に提供してきた。今回同社では、従来アセスメントおよびコンサルティング・サービスとして提供してきた支援サービスのノウハウやコンテンツを、OpenOffice.org導入検討、評価検証、導入展開というフェーズに合わせて最適化し、パッケージ化した「拡張ヘルプデスク」サービスを提供することで、リーズナブルな価格での提供を可能にした。

 一方、オープンオフィスの一ユーザーである会津若松市は、08年5月より、市庁舎で使用するパソコンのオフィス・ソフトをOpenOffice.orgに順次移行し、5年間で約1,500万円のコスト削減を見込んでいる。この移行においては、OpenOffice.orgの支援サービスの一環として提供する、アシストのeラーニングで学べるOpenOffice.org入門コースの自己学習コンテンツが採用された。会津若松市はこれまでもOpenOffice.org導入に関して情報公開を行い、OpenOfficeが無償で使えるために大幅な経費削減につながる点、またISO(国際標準化機構)によって国際標準規格と認定された文書形式ODF(Open Document Format)を採用している点をアピールすることで、他の自治体や企業に対して積極的にOpenOffice.orgの利用を促進してきた。

 今回、会津若松市はさらなる普及を目的にOpenOffice.orgを収録したCD-ROMを、市民へ無償配布することになり、これにアシストが協力することが発表された。作成経費はCD-ROMへの広告掲載でまかなわれ、CD-ROM内にはOpenoffice.orgで作成した約100種類の会津若松市で使用する申請書のほか、会津若松市の観光パンフレットも収録されており、会津若松市のPR効果も狙っている。アシストは、この広告掲載で協力するとともに、全国各事業所からOpenOffice.orgを収録したCD-ROMの無償配布を行うことで、会津若松市のOpenOffice.org普及活動とPRを支援していくことにしている。

 今回の会津若松市とアシストの、新しいオープンオフィス普及の試みが、ユーザーの賛同を得られるかどうか、今後、注意深く見守っていきたいものだ。(ESN)


◇企業システム◇米アップル、多機能情報端末「iPod」発表

2010-02-03 09:18:14 | クライアント

 【クライアント】米アップルは、ウェブの閲覧、電子メール、写真の鑑賞、ビデオや音楽の視聴、ゲーム、電子書籍の読書など、数多くの用途に使える革新的なデバイス「iPad(アイパッド)」を発表した。ユーザはiPadのレスポンスの良い高解像度マルチタッチディスプレイで、iPad専用に設計された12の革新的なアプリケーションや、App Storeで提供されている140,000以上のアプリケーションのほぼすべてを利用することができる。iPadは厚さが約1.3cm、重さが約680gと、現在販売されているどのノートパソコンやネットブックよりも薄くかつ軽量。iPadは499ドルからという破格の価格で3月下旬より販売される。 (アップル:10年1月28日発表)

 【コメント】アマゾンンの「キンドル」が注目される中、アップルは多機能情報端末「iPad」を発表した。丁度手のひらに乗る端末(PC)として、今後急速に普及が見込まれている。米国内ではソニーが対抗機種を発売しているものの、国産メーカーは沈黙状態である。わずか、米国内において「iPad」の商標を富士通が取得していたということで、今後交渉が行われるといった報道のみである。商標登録もいいが、国産メーカーとしてあまりにもふがいがない。よく考えてみると、もう十年近く前になるのであろうか、NECなど国産メーカー数社が「電子ブック」を製品化し、大々的に売り出したが、売れ行きは散々で、その後、国産メーカーから電子ブックの新製品発表は途切れてしまった。

 そんな中、アマゾンや今回のアップルの製品が発表され、世界的に注目を集めている。日本国内での市場は、新聞社や雑誌社との著作権の問題が複雑に入り組んで、電子ブックのを販売するのは容易ではないことは十分に察しは付くが、さりとて後発の海外メーカーが新市場開拓に向け新製品を市場に投入し、成功を収めつつあるのを見て、国産メーカーは何らかの手は打てないのかと、はがゆい気持ちにさせられる。かつて、ホストコンピューターすなわちメインフレームに関しては、国産メーカーはIBMの後追いをしていれば何とかなった。その後、IBMはPC事業を放棄したわけだが、国産メーカーはIBMの後追いばかりするうち、自発性が損なわれてしまったかに見えて、PC事業での戦略が見えてこない。

 SAPのERPはトヨタのカンバン方式を真似したといわれ、また、アップルのiPodは日本のMDの圧縮技術を応用し、成功を収めたとも言われている。ここには、日本人が開発した技術を基に、海外メーカーが製品化し成功を収めるという図式が感じ取れる。これはかつて日本メーカーが得意としてきた戦略ではなかったのか。何故、逆転したのか。その一つの原因は国産メーカーが官僚体質化しているからではなかろうか。アマゾンもアップルも中小企業みたいに一つの目的のために全社一丸となって完成させる。これは一昔前の国産メーカーの姿だ。今国産メーカーの多くが、会議会議の連続(会議は本質的に責任を相手に擦り付けることがほとんど)で、誰もが責任逃れをして、一向に進むべき道が明確にならない。これではアマゾンやアップルの敵にはなり得ないし、韓国や台湾のメーカーにも抜かれてしまう。

 ところで多機能情報端末「iPad」や「キンドル」の前途は洋々としている。今後ノートパソコンやデスクトップパソコンの市場を、侵食する可能性も秘めている。特にマンマシンインターフェイスは新鮮だし、より幅広い業務に応用が可能のように思われる。本格的な情報革命がこれから訪れる気配が感じられ、今後は多様なアプリケーションの開発が焦点になろう。しかし、ここでも国産メーカーの存在感は限りなく薄い。(ESN)