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◇企業システム◇宅配便のヤマトグループがWeb対応リアルタイムバックアップシステム構築

2008-09-11 16:18:03 | ユーザー

 【ユーザー】宅配便のヤマトグループは、2カ所の遠隔地のデータセンター間でWeb業務システムのリアルタイムバックアップを行う災害対策システムを構築した。これはヤマト運輸の宅急便事業を支える基幹業務システムで、ヤマトシステム開発と富士通が共同で構築したもの。同システムでは、業務単位のデータベース(ロググループ)を構成しており、このロググループ単位で、業務の重要度に応じて、バックアップ先やバックアップのタイミングを設定することができる。また、ロググループ単位でのデータベース管理が可能なため、一部業務だけをサブデータセンターに切り替えることができる。さらに、データベース更新時に生成される更新差分のログファイルのみをリアルタイムに転送することができる。 (08年9月9日発表)

 【コメント】日本は地震の活動期に入っているいわれており、毎日のように地震のニュースが流れている。また、地球温暖化のせいか、各地で集中豪雨が頻発している。このような自然災害に際して、事業継続はこれからの企業活動にとって避けて通れない重要課題だ。さらに、システムが巨大化、複雑化するに従い、証券市場や大手都銀の勘定系システムがシステムダウンするケースも増えている。少し前にはシステムのトラブルで航空機の運行に支障を及ぼす事例もあった。

 このような場合、バックアップシステムがしっかりしていれば最悪の事態は避けれるが、そうでない場合はその企業の信用はたちどころに失墜してしまう。つまり、これからの企業システムにとって、いかに優れたバックアップシステムを構築し、事業継続を実現させるかが大きな課題として浮かび上がってきている。もちろん従来からディザスターリカバリー(災害復旧)システムは重要なテーマであったわけではあるが、最近はWebシステムでの迅速なバックアップシステムのニーズが出てきている。

 この意味で今回ヤマトグループが構築した、Web業務システムのリアルタイムバックアップシステムは、今正に各企業が導入しなければならない要件を満たすものとして、高く評価されうる災害対策システムとなっている。同システムのポイントは業務単位のデータベースを構成していることで、これにより業務ごとに異なるバックアップを可能とした。また更新差分だけデータを転送すればいいので効率的だ。よくバックアップシステムは構築しているのだが、実際の運用に支障があり、いざという時に役に立たないというケースも多い聞く。今後実践的なバックアップシステムをいかに構築するかが問われることになろう。(ESN)