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企業経営を左右する企業情報システム(経営+ITソリューション)のデータバンク作りを目指す

◇企業システム◇JBCCグループが日本IBMと協業してBI事業強化

2010-05-10 09:33:27 | BI

 【BI】JBCCホールディングスは、日本IBMの協力のもと、IBMの中堅企業向けビジネス・インテリジェンス(Business Intelligence=BI)ソリューション「IBM Cognos Express」を活用したシステムの販売、構築、ならびに運用支援に関する体制を強化することを発表した。日本IBMは、日本ビジネスコンピューター(JBCC)をはじめとするJBCCホールディングスの事業会社に対し、「IBM Cognos Express」に関するスキル育成や、同社の検証施設における「IBM Cognos Express」の環境構築および運用に関する技術支援を実施する。また、業種や業務に特化したCognosテンプレートを持つ他のパートナーとの連携を支援する。加えて、ユーザー向けの共同セミナー開催など、両社でのマーケティング活動を推進していく。(日本IBM:10年4月27日発表)

 【コメント】BI(ビジネス・インテリジェンス)は、今後の企業システムの中で大きくクローズアップされることは間違いない。これは、各企業ともこれまで蓄積してきたデータが膨大に溜まっており、これらのデータをいかに活用して、企業経営へ貢献させられるかどうかが、これからの企業間格差を生むと考えられるからだ。その代表的な一つの活用事例がPOSデータの有効利用であろう。POSデータにより、今後どのような製品戦略が欠かせないかを客観的な数値として、得ることを可能にする。

 そのような情勢で今回、JBCCグループが日本IBMと提携し、BI事業の拡大に乗り出したことは、時代に流れに沿った施策であると考えられる。今回、同グループでは、従来の「WebReport」に加え、新たにIBMの中堅中小市場向けBIソリューション「IBM Cognos Express」の本格的な取り扱いを開始するわけである。また、BIソリューション専任チームを新設し、これらのソリューションをJBグループのサービスと組み合わせてユーザーへ提供する体制を整えた。これにより、グループの全国に及ぶ販売およびサポート網とともに、グループでディストリビューション事業を展開するイグアス(iGUAZU)のパートナーを通じて販売し、より多くの業種、地域のユーザーに対し、幅広いBIソリューションによる経営課題の解決をサポートすることが可能になる。

 「IBM Cognos Express」は、企業の意思決定を洞察による情報管理で支援するためのBIソリューション「IBM Cognos」の中堅中小市場向けのラインアップで、BIを活用するために最低限必要な分析、レポート、予測の3つの機能を統合的、かつシンプルに提供する。“ビジネスの現状がどうなっているか”、“それがなぜ起こったか”といった分析と、分析後の行動計画の立案に必要なリソースやコストの条件や予測などの情報を容易に確認することができる。IBM Cognosの活用により、分析レポート作成の業務効率が8割向上した例もあり、多くの中堅中小企業の課題となっているコスト削減や効率性の向上に貢献する。

 「IBM Global CIO Study 2009」(09年10月29日発表の、IBMが09年1月から4月にかけて、78カ国で2,500人以上のCIOを対象にして行った調査に基づくレポート)の中で、グローバルで約8割、日本で約7割のCIOが、BIを最も重視するテーマとしてあげていることから分かるとおり、現在BIは多くの企業ユーザーで注目されている。このため多くのベンダーからBIソリューション製品が提供されているが、大切なのはユーザーのニーズに、どのベンダーのBIソリューション製品が最適なのかを見極める力であろう。このためには常日頃からの情報収集が欠かせない。(ESN)


◇企業システム◇NECと日本オラクルがBI事業で協業を発表

2009-11-18 09:49:46 | BI

 【BI】NECと日本オラクルはこのたび、ビジネスインテリジェンス(BI)/データウェアハウス(DWH)領域での協業強化として、中小規模システム向けに新たなデータウェアハウス・ソリューションを拡充し、共同で拡販を開始した。このたびのソリューションは、日本オラクルが推進しているOracle Database on Windowsキャンペーンの一環として、大幅な性能向上と省電力性を実現する最新のNEC製サーバ「Express5800シリーズ」およびストレージ「iStorage Dシリーズ」とMicrosoft Windows Server環境にてDWHで多数の実績を持つ「Oracle Database 11g」を組み合わせ、中小規模システム向けに提供するもの。両社で共同検証済みの最適構成で提供することで、ユーザーは、従来と比べ短期間でBI/DWHシステムを構築することが可能になる。さらに、オラクルの定義するI/Oテストや障害テストをNECのハードウェア上で実行することにより、データサイズに応じた性能と高い可用性、拡張性を実現することができる。(09年11月6日:NEC/日本オラクル発表)

 【コメント】現在、企業ユーザーの関心が高いテーマは何かというと、クラウド、仮想化、ワークフロー、文書管理、BI、バックアップ、シンクライアント、グループウエアなどが挙げられる。これらのテーマのうち、クラウドはどちらかというと、「まだ、本格的には考えていないが、とりあえず情報収集をしておこう」といったケースが多いようである。ところが、ワークフローやバックアップそしてBIなどは、即実践的テーマとして考えている企業ユーザーが圧倒的だ。中でもBIに対する関心は、最近相当強まってきているようだ。

 これは、システム構築してきた実績を基に、今度はデータをどう活用すべきかという課題に各ユーザーが直面していることをうかがわせる。この背景にあるのは、世界同時不況に直面し、何とか切り抜けてきた企業が、今後も二番底といわれる不況に再び襲われるかもしれない、といった不安感があろう。何とか今あるデータを基に、最大の成果を出せる方策を探り出そうとする動きが、BIへ関心の高さに繋がっている。

 NECと日本オラクルは、09年4月にBIに関する協業を発表した。これは、NECから新たに「BI有効活用支援サービス」を提供するというもので、NECの情報管理ソフトウェアInfoFrameのひとつである「Oracle Business Intelligence(Oracle BI)」の効果的な導入と活用を図るため、日本オラクルの"BIエクスプレスサービス"をもとに、NECの「ハードウェア(HW)サイジングサービス(仕様決定支援)」「SIサービス」を加えたもの。「BI有効活用支援サービス」は、BI分野に関する両社のノウハウを組み合わせ、コンサルティング業務から、システム構築まで支援するサービスとして、ユーザーにに最適なシステムを提供。また、BIで活用するデータのもととなるDWH向けに、検証済みのハードウェア・ソフトウェアを組み合わせて提供する「Oracle Optimized Warehouse Initiative(オラクル・オプティマイズド・ウェアハウス・イニシアチブ=OWI)」に、新たにNECは参画。

 また、09年7月にNECは、企業が保有する大量の業務データを分析し、業務プロセスの改善を支援する情報活用領域の事業強化を発表している。具体的には、(1)迅速かつ継続的な業務プロセス改善を実現する情報活用ソリューション「Decision Navigator (デシジョン ナビゲーター)」の発売と、(2)同ソリューションを実現する情報管理ソフトウェア「InfoFrame(インフォフレーム)」のラインアップ拡充の発表を行い、提供を開始した。.情報活用ソリューション「Decision Navigator」は、戦略の共有を通じて組織全体のパフォーマンスを向上するPM(Performance Management)ソリューションと、蓄積されたデータを加工・分析して、企業の意思決定に活用するBI(Business Intelligence)ソリューションを融合し、迅速かつ継続的な業務プロセス改善を実現するソリューションを「Decision Navigator」として体系化したもの。Decision Navigator/PMと同/BIを連携し効果的に組み合わせることで、業務の継続的改善をもたらすPDCAサイクルの構築を可能とする。

 そして今回、両社はBIについての協業を再び発表したもの。今回の発表の中で、NECは、「Express5800シリーズ」、「iStorage Dシリーズ」環境上で実施したBIのサイジング検証の結果を元に、BIサーバのハードウェアサイジングを行う「BIサイジングサービス」を新たに提供することも明らかにしている。約30名の専門組織を新た
に設け、WindowsプラットフォームにおけるBI/DWHトータルサービスの強化を図ることにしている。さらに今後、NECは、同サービスを情報活用ソリューション「DecisionNavigator(ディシジョンナビゲータ)」のメニューとして提供する予定となっている。(ESN)


◇企業システム◇米IBMがコグノス買収し、IOD戦略推進

2008-03-29 14:28:05 | BI
 米IBMは07年11月にBIソフト企業のコグノス買収したが、これによって強化されたビジネス戦略およびロードマップを08年2月に発表した。これによりIBMが06年2月に発表したアプリケーションが必要に応じて必要なデータにアクセスできるIT基盤のビジョン「インフォメーション・オンデマンド(IOD)」戦略が具体化に向けて動き出した。これを受けて日本IBMは08年3月にIOD戦略を推進する製品として「Information Server V8.1」を発表した。Information Serverは、異種混合データベース環境のデータにアクセスし、各種のデータを統合、正規化し、ビジネス上の要求応じて供給できるように、情報の統合を支援するソフトウエア。(08/03/06発表)

 【コメント】BI(ビジネス・インテリジェンス=データ活用)ソフトウエア市場は地味ながら、今後大きく拡大する余地を秘めたソフトである。それはこれまで各ユーザー企業に蓄積されてきた膨大なデータを基に分析を行い、業務に活用するかが今後の経営を大きく左右するかということにかかっているからだ。このため大手IT企業各社は競ってBI事業に力を入れ始めている。特に最近、目立つのは、BI専門のソフト企業を大手IT企業が買収し始めたことだ。IBMはコグノス、SAPがビジネスオブジェクト、オラクルがはイペリオンをそれぞれ傘下に収めた。

 IBMは07年11月にコグノスを買収したが、日本IBMは今回、この成果として情報統合支援ソフト「Information Server V8.1」の日本語版を発表したもの。これによりDBを並列処理することで、大規模なデータでもリアルタイムに情報を統合でき、コールセンターや店舗窓口における応答の迅速化などを実現できることになる。

 IBMは06年2月に「インフォメーション・オンデマンド(IOD)」戦略を発表した。このIOD戦略はソフト、ハードなどにおけるIBMの強みを融合して、グローバル経済における顧客の競争を支援するのが狙い。つまり、オープン・スタンダードに基づくプラットフォームを顧客に提供し①企業の持つ情報価値の拡大②ビジネス・プロセスの最適化③企業全体のパフォーマンスの最大化―を図るもの。地味で話題にはなりにくいソフト製品群ではあるが、その中身はというと、かなりユーザー企業にとっては重要な意味を持つものだけに、IBMのIOD戦略の今後の展開を注意深く見守る必要があろう(ESN)