企業システム・レビュー・ネット

企業経営を左右する企業情報システム(経営+ITソリューション)のデータバンク作りを目指す

◇企業システム◇イベント情報

2008-11-28 09:16:25 | イベント/セミナー情報

                       

                      <イベント情報>


タイトル:第1回オフショア開発シンポジウム「オフショア開発フォーラム2008」
     <詳細>

会場:キャンパス・イノベーションセンター東京

日時:08年12月1日(月) 午前9時-午後5時

定員:100人

料金:7000円

主催:オフショア開発フォーラム実行委員会

内容:オフショア開発を成功に導くキーポイント、オフショア開発現地事情、オフショア
   開発のためのマネジメントスキルなどを中心に、オフショア開発経験者の経験
   紹介、討論を通じ人的交流を図る。  


◇企業システム◇イベント情報

2008-11-27 08:50:48 | イベント/セミナー情報

 

                       <イベント情報>


タイトル:SaaS World TOKYO 2008<詳細>

会場:東京国際フォーラム

日時:08年12月10日(水)-11(木) 午前10時-午後6時(展示=午前11時-午後
    5時30分) 

入場料:3000円(2日間)

主催:SaaS World実行委員会

内容:SaaS型のサービス・プラットフォームを紹介する専門イベント。基調講演は米
    国セールスフォース・ドットコムのポリー・サムナー氏。


◇企業システム◇富士通と米レッドハットがLinuxで提携し世界戦略推進

2008-11-26 16:50:03 | SI事業

 【SI企業】富士通と米レッドハットは、ミッションクリティカル領域でのLinuxサポートサービスにおけるグローバルな提携関係を強化した。具体的には、これまで富士通が培ってきたメインフレームの保守サポートのノウハウを基に、サポート期間の拡大やスピードアップを図った基幹業務システム向けの新たなLinuxサポートサービスを両社共同で開発し、富士通を通じ日本国内から販売を開始し、順次グローバルに展開していく。 (08年11月18日発表)

 【コメント】NECに続き富士通がLinuxのミッションクリティカル分野の強化に乗り出した。しかも、今回の強化は米レッドハットと提携し、世界市場を視野に入れての展開を図るものだけに、その位置づけはNEC以上に注目される。具体的にはサポート期間の延長で、これによりユーザーは長期間の利用年数を必要とするミッションクリティカル分野でのLinux利用が可能となる。今回の2社の提携の背景には富士通がメインフレームでの豊富なノウハウを有していることが挙げられる。メインフレームのリーダー役を担っているのはIBMであることは今も昔も変わらないが、昔は複数のIBM互換機メーカーが米国内および日本に存在していたが、徐々に淘汰され、最後はIBM、ユニバック(現ユニシス)、富士通、日立、NECの5社に絞られてしまい、現在に至っている。この中で米ユニシスは経営的危機に陥ったこともあり、実質はIBMに日本の3社が残ったことになる。IBMはメインフレームにLinuxを搭載させ延命策を図っており、レッドハットにとってIBMは、ミッションクリティカル分野では協業よりも競合するといった側面を持つ。そこで残ったのは富士通と日立であるが、現在、富士通は社運をかけて海外市場進出を成功させようとしており、レッドハットとしても組みやすい相手となったのではないか。

 今後、ミッションクリティカル分野においては、Linuxが大きく市場を拡大して行くことになろう。富士通はメインフレームについては、今後長い時間をかけLinuxサーバーにソフトランディングさせていく腹をくくったのではなかろうか。問題はIBMである。IBMはメインフレームにLinuxを搭載させて延命策を図り、これがまんまと成功して一息ついた。さらにIBMは、事業自体のグローバル化に取り組み、全世界を対象にして得意分野をごとに各国のIBMを再編し、これも今のところうまくいっているようだ。そしてロシアなどまだまだメインフレームが売れる国はたくさん残っているので、当分の間、左団扇の状態にある見ていいであろう。問題はメインフレームの市場が飽和したときIBMはどうするかである。多分Linuxサーバー市場を目指すであろう。ということは富士通は今がLinuxサーバーを全世界に売る絶好の機会だとは言えまいか。鬼の居ぬ間の洗濯ではないが、IBMがメインフレーム市場を諦める前に全世界でLinuxサーバーを売り、ユーザーを獲得することが急務となる。

 このことは富士通一社のことではなく、日本の次世代の産業の牽引役を情報産業が担わねばならない運命にあるからだ。これまで日本の産業を牽引してきた自動車産業は今後厳しい状況になる。また航空機・宇宙産業も中国、ロシア、インドなどの台頭でそう簡単には伸びられそうもない。家電産業も韓国のサムスンなどのような巨大な競業メーカーが今後現れれてくる可能性がある。こうした消去法で考えると残るのが部品産業と情報産業である。昔日本のメインフレームメーカーの生き残りをかけ通産省と各メーカーがスクラムを組み、うまく乗り越えることができたという実績がある。今回の富士通と米レッドハットの提携は、単に2社だけの提携に終わらせず、他のメーカーおよび経産省を含めた国家プロジェクトに格上げする必要があるのではないか。Linuxサーバーを日本が世界に普及させるには今しかないのだからだ。

 ところで日本IBMの業績がはかばかしくない。これは一日本IBMのことだけでないように思われてならない。というのは既に国内の情報産業は飽和状態で、今後伸び続けるのは非常に難しい局面に入りつつあるからだ。日本IBMは打開策としてこれまで比較的手薄であった中堅・中小市場を開拓する方針を打ち出しているが、これまでのIBMの文化で中堅・中小市場を開拓するのは難しいのではないか。このことは国産の大手ITメーカーにも言えることだ。ただ、国産の大手ITメーカーには世界市場という“逃げ道”が残されている。しかし、この“逃げ道”はそう簡単には前に進めない
道であることだけは確かなことだ。(ESN)


◇企業システム◇イベント情報

2008-11-25 13:45:32 | イベント/セミナー情報

 

                       <イベント情報>


名称:XMLコンソーシアムセミナー「エンタープライズマッシュアップ、次世代
    クライアント製品徹底検証(Part1)」<詳細>

会場:日立システムアンドサービス品川本社(東京都港区港南2-18-1、JR品川イ
    ーストビル20Fセミナールーム) 

日時:08年11月28日(金) 午後1:00-6:30

定員:120人

会費:無料

主催:XMLコンソーシアム

内容;本格稼働が進みつつあるエンタープライズマッシュアップ製品および業務シス  
    テムとの連携を前提としたブラウザ/リッチクライアント製品についての最新 
    動向を紹介する。           


◇企業システム◇みずほ銀行がSAP ERPを導入し全社標準システムの構築に成功

2008-11-24 15:13:32 | ユーザー

 【ユーザー】みずほ情報総研とSAPジャパンは、みずほ銀行における資産・予算の管理システムを、SAP ERPを利用して再構築し08年4月から本稼働させた。これにより、みずほ銀行は同行本部および全国で約500カ所に上る拠点の物件費、動不動産・ソフトウエア資産およびその予算や支払いなどの情報を共通のシステムで管理できるようになった。業務プロセスの再構築に当たっては、みずほファイナンシャルグループのIT戦略会社であるみずほ情報総研が、銀行経理業務に特化した業界初のテンプレートである「金融業向け会計テンプレート for SAP ERP」を活用してシステム構築を行った。みずほ銀行では02年からSAP R/3を採用し、02年に固定資産管理システムを、03年には単体決算システムを導入。07年にSAP ERP6.0へのアップグレードを行ったのを機会に、同行本部および全拠点に資産・予算管理システムを導入した。 (08年11月18日発表)

 【コメント】ERPソフトは、もともと製造業で使われてきた生産管理手法の一つMRP(資材所要量計画)をベースとして適用範囲を拡大して生まれてきたという背景があるため、これまで製造業において導入事例が多かった。つまり、1970年代に工場内の組立製造業で資材部門の部品展開にMRPが使用されたわけであるが、1980年代になると工場内から企業内へと適用範囲が拡大し、工場内の生産能力計画、物流計画なども含んだERPⅡが普及し始めた。さらに1990年代に入ると、企業内から企業間へと広がり、受注、出荷、財務、会計など企業内経営資源のほとんどを含むようなり、ERPとして確立されたわけである。

 製造業は、物流システムも同時に構築するケースも多く、これはSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)へと発展を遂げていった。また、小売システムはCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)へと向かい、今話題のセールスフォース・ドットコムなどのベンダーを生むことになる。つまり、ERPは企業システムのベースをなす基幹システムとして、今後ますますその重要性を増してこよう。これまでのERPはパッケージソフトとして商品化されてきたが、これからはSOA(サービス・オリエンテッド・アーキテクチャー)を加味した、より柔軟なソフトウエア構築が可能なように変貌を遂げようとしている。

 ERPソフトの導入は当初、システム構築期間の短縮やコスト低減にその価値があるもと考えられていたが、実際には全社システム(グループ企業を含む)の標準化に大いに威力があることが、認識され始めてきた。つまり、ERPソフトに合わせて業務自体を変えることにより、全社(全グループ企業)共通のシステムの構築が可能になり、全社事務処理の効率向上に大いに効果を挙げることができることが分かってきたのである。これはトップダウン方式で行うことにより効果が得られるもので、これによりCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)的人材が欠かせなくなってきている。

 今回、みずほ銀行でのERPソフト「SAP R/3」の導入は、これから本格化する金融機関でのERP導入事例の一つという意味と、ERPを使った全社標準システムの構築といういう両面において、評価される導入事例となっている。(ERP)


◇企業システム◇イベント情報

2008-11-21 15:51:10 | イベント/セミナー情報

 

                         <イベント情報>


Oracle Technology Autumn
変化に対応可能な柔軟性の高いITシステムとは<詳細>

内容;①変化に強いITインフラストラクチャーとOracleの最新動向について
   ②進化したOracle VM2.1.2の新機能と導入事例
   ③システム設計者のあなたへ 仮想化のベストプラクティス

会場:グランドコート名古屋(28階)クリスタルーム

日時:08年11月28日(金) 午後1時30分~5時

主催:日本オラクル

 08年9月21日~25日に米国サンフランシスコにおいて開催された「Oracle
 OpenWord 2008」から、新たに発表したビジョン、戦略、製品、ソリューション
などを交え、変化に強い次世代のITシステム像を語る。 


◇企業システム◇NECと京都産業大学がユーザビリティ向上のチェックリスト評価法を開発

2008-11-19 16:34:10 | システム運用管理

 【システム運用管理】NECはこのほど、システムの使いやすさ(ユーザビリティ)を客観的かつ定量的に評価できるチェックリスト評価法を構築した。同評価法は、京都産業大学と連携して構築したもので、ユーザビリティの項目ごとに評価手順や判定基準を詳細化したチェックリストと、用語定義集および事例集から構成されている。さらに、項目ごとに「学習しやすさ」「エラーの少なさ」「記憶しやすさ」「効率性」の4つの観点によるウエイトを設定している。これにより、評価者の知見や裁量によることなく、システムのユーザビリティを評価することができるようになる。 (08年11月6日発表)

 【コメント】システムのユーザビリティの問題は、古くて新しい問題であるのだが、将来も永遠に続く問題でもある。今回NECと京都産業大学が連携して開発したシステムのユーザビリティに関するチェックリスト評価法は属人性をなるべく排除し、客観性を高めたところに意義がある。そもそもシステムの使いやすさが何故損なわれるのか。原因はほとんどがつくる側の論理が幅を利かせ、利用者サイドに立っていないところにあるのは確かなことだ。今は知らないが、昔スーパーやコンビニのレジ台は東芝テック製が圧倒的なシェアを占めていた。不思議に思って聞いてみると、現場のレジ係が東芝テック製のレジ台が一番使い勝手がいいという評価を下すからなのだそうであった。これでは競業他社は歯が立たない。ユーザビリティを高めるには、つくる側の論理を引っ込め使う側、特に最前線で使うユーザーの立場に立つことだ。

 システムのユーザビリティに関していえば、マニュアルのお粗末さにはあきれ返るものがある。ほとんどのマニュアルは使う側に立っていない。それは、使い方をマスターした後でマニュアルを見ると良く分かることが何よりの証拠だ。マニュアルはシステムが分からないユーザーが見て、分かるものでなければ意味がない。何故このようなことが起きるのかというと、つくる側は「こんなことは当たり前である」と思って文章化しないからである。“当たり前”を文章化して初めてマニュアルの存在意義がある。ところが、「そうかそれならばすべて記事化してやる」とばかりマニュアルをつくると、それこそ「キータッチとは手をキーに置き押すこと」といった意味のない説明が延々と続き、この結果分厚いマニュアルが出来上がってしまい、誰も読まなくなる。マニュアルをつくる際には、素人がよく陥るミスのケースを調べ上げ、それを文章化することが肝要だ。

 ユーザビリティが難しのは、これなら使いやすくなるだろうと考えてつくっても、必ずしも成功しないことが多いからだ。大分前から画面上で本のページをめくるようにしてスクロールする方式が開発され、専門家は将来これが主流になるだろうとと見ていたが、残念ながら普及しなかった。何故だめなのかは分からないが、ユーザーは本の代替をPC画面に求めてはいないということであろう。要するに画面が変わることが大事なことであって、ユーザーは本の感触をPCには求めてはいないということだ。先日テレビを見ていたら、動物園のチンパンジーに、塔のような高い柱とロープを設置してやったら喜んで遊んだという。つまり、森にいるチンパンジーにとっては木と枝が大切なもので、葉っぱは副次的な存在なのだ。システムのユーザビリティを高めるには、人間でも動物でも同じで、ユーザーが本当は何を望んでいるのかを引っ張り出してやることこそが大切なのだ。(ESN)


◇企業システム◇NECが基幹業務向けLinuxソリューションを強化

2008-11-17 17:00:02 | システム開発

 【システム開発】 NECはこのほど、基幹業務向けLinuxソリューション「エンタープライズLinuxソリューション for MC」を強化し、販売を開始した。同ソリューションは、インテルXeonプロセッサー搭載の「Express5800/スケーラブルHAサーバ」をベースとしたミッションクリティカルなLinuxシステム(MC Linux)を実現する。これにより従来、官公庁、金融、テレコムなど、UNIXシステムやメインフレームで構築されていたMCシステムを、MC Linuxで代替が可能になる。 (08年11月10日発表)

 【コメント】メインフレームコンピューターやUNIXサーバーは、企業の基幹システムに使われており、その安定性の良さなどから、ユーザーからの信頼は厚い。しかし、最近のITに進展の速さは、過去の技術的蓄積をも一挙に飲み込む程の勢いで急速に広がってきている。このまま過去のシステムの蓄積の上に安住していては、競合企業とのシステム格差が拡大し、ビジネス展開をする際のネックとなりかねない状況が生まれようとしている。今回NECが打ち出した“基幹業務向けLinuxソリューションの強化”戦略は、満を持して発表したものでり、ある意味ではメインフレームコンピューターやUNIXサーバーの終焉を意味するのかもしれない。

 過去長年にわたって強化してきたLinuxの基幹システムへの適用プロジェクトがいよいよ最終段階に差し掛かり、可用性にしてもサポートサービスにしても十分に対応可能段階に達したといっても過言ではなかろう。さらに、メインフレームコンピューターやUNIXサーバーからのマイグレーションツール類の準備も整った。

 日本のコンピューター利用は米国に比べ大きく遅れているといわれてきた。その一因はメインフレームではIBM、UNIXではサン、HP、IBMなどがOSをがっちりと握り、日本勢としてはいかんともしがたい状況が長く続いてきたからである。しかし、アプリケーションソフト自体は、日本で開発された、例えば金融ソフトの方がキメが細かく、優れていると一部では評価されてきている。Linuxは全世界標準のOSであり、メインフレーム、UNIX、さらにはPCなどのように一メーカーの独占ではなくなる。これはメーカーばかりかユーザーにとっても一在遷宮のチャンスなのだ。

 これまで、日本の情報産業は何故自動車産業のように世界へ拡大できないのかといわれてきた。ところがLinuxの基幹システムへの普及により、世界へと飛躍できる可能性が出てきた。自動車産業は電気自動車化するとコモデティ化して技術の優位性が保てなくなるといわれている。そうなると日本の自動車産業は将来衰退するかもしれない。それに代わりえるものはLinuxなどのOSSを軸とした情報産業だ。今回のサブプライムローン問題を見ても分かるように、米国が先を行っているように見えても、実はそうでないということだって少なくはないのだ。(ESN)


◇企業システム◇イベント情報

2008-11-14 16:00:13 | イベント/セミナー情報

テーマ:「見える化のIT戦略~エンタープライズサーチ、BIツール、業務プロセス改革
     の最新動向が分かる!~」 <詳細>            

会場:NEC本社ビル(東京・三田)

日時:08年12月5日(金) 午後1時30分~5時20分

主催:NEC

内容:基調講演「見える化のIT戦略と、これからの業務プロセス革新」
   NEC講演「NECの情報活用ソリューションおよび今後の戦略」
   パートナー講演「『情報見える化』実現へのアプローチ
   パートナー講演「コンテンツ統合管理による会社全体の効率化の実現」
   パートナーとの連携ソリューションの展示および相談会

定員:200人

料金:無料


◇企業システム◇ワイズマンがわが国最大規模のクラウド・コンピューティングITインフラを導入

2008-11-12 16:52:39 | ユーザー

 【ユーザー】新日鉄ソリューションズは、介護・福祉事業者向け業務システムのトップ企業・ワイズマンと、第4次ASPサービスを新日鉄ソリューションズのユーティリティサービス「absonne」で構築することで合意したと発表した。同ASPサービスは、数百台のサーバー、数十テラバイトに及ぶ大規模ミッションクリティカルなシステムであり、商用のクラウド・コンピューティングITインフラとしては日本最大規模の案件となる。新日鉄ソリューションズは、自社内に設立したグリッド・ユーティリティ・コンピューティングの検証施設「NS Solution Grid/Utility Computing Center(NSGUC)」を利用し、データセンター上に大規模グリッド環境を構築して、統合ユーティリティ・データセンター・サービス「absonne(アブソンヌ)」として07年10月からサービスを開始している。 (08年10月23日発表)

 【コメント】クラウド・コンピューティングは、これからの企業システム構築には欠かせないツールとして大きく浮上してきた。丁度、Linuxを中心としたOSS(オープンソースソフトウエア)の嵐が巻き起こった時と似たような状況になろうとしている。クラウド・コンピューティングの登場の前提となったのは、仮想化、グリッド・コンピューティング、SOAそれに全世界に張り巡らされたインターネット網など、最新の技術成果によるものであることは論を待たない。そしてその突破口を切り開いたのがSaaSのリーディングカンパニーを自認するセールスフォース・ドットコムの事業の成功である。これもOSSの場合のLinuxの成功にそっくりだ。実はLinuxは当初誰もこんなにうまくいくとは想像もしていなかった。インターネットにより全世界の技術者が共同でOSづくりに参画するという夢みたいな話は、そのうち崩壊するさと多くの人は高をくくって見ていた。ところがLinuxが完成し、普及し始めるとびっくりし、今度はコードを盗んではいないかと躍起になって探したが、何も出てこなかった。そしてOSSは市場に完全に定着した。

 SaaSのセールスフォース・ドットコムの場合も、当初これほど普及することを多くの人は予想もしていなかった。企業ユーザーは大切なCRMデータをそんなに簡単に外部に出しはしないさと、ここでも高をくくって見ていたが、今回もセールスフォース・ドットコムやネットスイートなどのSaaS企業の躍進の前には脱帽せざるを得なかった。この結果、今ではSaaSを内包したクラウド・コンピューティングについてIBMやマイクロソフトなど既存の大手IT企業はこぞって“われこそはクラウド・コンピューティングのリーダーカンパニーだ”となりふり構わず、声高に自己主張し始めている。しかし、OSSの場合は実態が伴っていたが、クラウド・コンピューティングの場合は、まだまだ、検証事例が少なすぎて、企業経営にどれほど有効なのかがもう一つ分かりづらい。セキュリティは大丈夫か(米国では既に事故が発生している)、コストは初期投資は安く付くが、運用コストまで含めると自社開発した場合に比べどうなのか、アプリケーションまでクラウド・コンピューティング化するとシステムの企業間格差がつけずらくなるのでは・・・、などなど素朴な疑問が頭をよぎる。

 今回発表されたワイズマンの事例は、新日鉄ソリューションズのクラウド・コンピューティングITインフラ「アブソンヌ」を使ったわが国最大規模のシステムとなる。新日鉄ソリューションズは以前からグリッド・コンピューティングには力を入れてきたので、技術的には問題はないであろう。コスト的にはユーザーのITインフラコストを20%以上削減すると新日鉄ソリューションズではいっているが、これが初期投資なのかランニングコストを含めたものなのかは不明。いずれにしても、今後、クラウド・コンピューティングが進展すると、これまでITの恩恵を受けづらかった中小企業が、最先端のIT技術を容易に活用できるようになることだけは確実にいえるであろう。(ESN)