花森えりか My Room

─愛と官能について語る部屋─

暖房効果

2010-12-22 10:15:07 | P子の不倫
 一人暮らしの女性P子は、エアコンは肌を乾燥させて美容に悪いので、間接的に効くよう、隣室でつけてドアを開けておき、室内では、夏は扇風機、冬は遠赤外線ストーブをつけるという習慣らしいんです。
 その部屋にいる時にエアコンをつけるのは、来客の時と決めているらしい彼女の話によると――。
 オフィスのエアコンに慣れている恋人が来た時、夏はエアコンの冷房をつけるらしいんです。
 ベッドでエッチして、汗まみれになると冷房なんて効き目ありません。特に最高の歓喜を味わった直後は、肌という肌が燃えるような熱さに包まれ、
「ああ暑い暑い暑いよう」
 と彼女は、さっさと身体を離して冷房を強めてしまいます。愛の行為の後の、甘える言葉もしぐさもなく、素っ気なく味気ない彼女のそんな態度に、彼は憤慨。
「そんなに暑いなら、ヤルな」
「こんな暑い夜に、ヤリたがるのは、どっち?」
「濡らしまくって入れたがるのは誰だ」
「キスを始めたとたん硬くなったくせに」
「はしたなく腰揺すって、よがり声上げて」
「出るとか出すとか、露骨なこと口走っちゃって」
 と、そんな会話は第三者にとっては、呆れてバカバカしくて聞いていられません。
 冬は、全室暖房なんて気のきいたマンションではないから、寝室のドアを開けた廊下やトイレは冷えています。トイレから戻った彼女は、飛び込むようにベッドに入って、
「寒ーい、あっためてエ」
 甘ったるい声で言いながら彼に抱きついていくらしいんです。
「これをすれば、P子の身体は熱くなる。ホラ、あったかいだろ」
 と彼が肉体を結合してきて、彼女の身体はたちまち暖かくなり――。
「冬の暖房は、あれが一番ね!」
 と、ノロケる彼女に、
「何時間も持続するわけではない、限界のある暖房法ってことが、残念ネ」
 私は、そう言って笑ったんです。