漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

きみがよは ちよにやちよに

2018-02-24 22:13:25 | 和歌
 古今和歌集、ようやく巻第六まで読み進み、四季を詠んだ歌が終わって「巻第七 賀歌」に入りました。その「賀歌」の最初に採録されているのがこの歌です。


 わがきみは ちよにやちよに さざれいしの いはほとなりて こけのむすまで


 一読してわかるように国歌「君が代」のもととなった歌ですね。作者は「よみ人知らず」。初句が現在の歌詞とは異なる「わがきみは」となっていて、また写本によっては第二句が「ちよにましませ」とされているものもあるそうです。事実上の国歌となったのは明治期、法律で正式に国歌とされたのは1999年のこと。初句に関しては、『和漢朗詠集』を始めとする後世の歌集では「きみがよは」としているものが圧倒的に多く、全体としては「わがきみは」の方がレアなようです。象徴天皇制の現在にあって、もし歌詞が「わがきみは」のままであったなら、この歌が国歌とされることはなかったかもしれませんね。


 古今和歌集収録の1,100首のうち、今回ご紹介したこの歌が343番目とまだ三分の一ほど。これまであまり和歌に親しんでこなかった私にとっては初見の歌がほとんどですが、百人一首に収録されているものや今回のこの歌など、時折知っている歌が出てくるとなにやらホッとした(?)ような気持ちになります。(笑)

 奥深い和歌の世界に、しばらく浸っていきたいと思っています。