かもめ町のお見合い

この年で見合いをすることになった。相手とは根岸のかもめ町で会うことになった。根岸駅に降り立つのは
初めてだったけど、根岸の里のわび住まいを彷彿させるほど何もない寂れた駅だった。そこからバスに乗車して
かもめ町へ向かう道すがら猫社長の好奇心が災いした。あまりの物珍しさにかもめ町をぶっとばし、遙か
先まで乗り過ごしてしまったのだった。とりあえず降りた停車場は大型トラックが行き交うばかり、５分たっても
タクシーなんぞ一台も通らず、どうしたものかと一計を案じた。見渡すとちょっと先に会社らしきものが目に入った。
会社には事務員の女の人がいてそこでタクシーを呼んでもらえた。
数分後、猫社長はタクシーの後部座席に座りながら、今日は日が悪いのかもしれない、たぶん今回の見合いは
不首尾ではあるまいかなんて、自分のまぬけの責任転嫁をしていた。
だいぶ遅れてかもめ町の仲人さんの家に着いたが相手はうんともすんともただ涼しい顔で猫社長を待っていた。
第一印象は想像よりもだいぶスリムで骨皮筋右衛門、毛が薄くて地肌が見えている。なんだか年寄り老けて見える。
これでまだ２才ですか？ごつごつした体をなでながら聞いた。
歯の状態からみてたぶんその位だと思いますよ。と仲人の畜犬センターの方が答えた。
見合い相手のワイヤーフォックステリアはその間もせわしなくあちこち動き回っている。かわいげもない。
他にも欠点だらけだった。今までの見合いはすべて断られていた。気に入った。一生面倒みてあげる。
お見合い成功。てなことで近いうちに猫社長の家にワンコがやってくる。
横浜そごう６階ジャパンショップに常設、おひな様満載