寺社縁起研究会・関東支部

@近畿大学東京センター

第115回例会

2015年02月16日 | 例会履歴
2015.02.16 近畿大学東京センター
 
【研究発表1】古代寺社縁起の研究展望   藤巻和宏 
【要旨】ここ20年ほど、日本文学や美術史の方面で寺社縁起研究が急速に進展してきたが、いずれも中世・近世の研究が主流である。こうした研究の“起源”として必ず言及されるのが、1975年の岩波思想大系『寺社縁起』と奈良博『社寺縁起絵』であるが、これらは総合化という意味において注目される。しかし、これを遡る時期に、古代史研究者によって総合化の目論見がなされていたことは意外に知られていない。薗田香融「承和三年の諸寺古縁起について」(『魚澄先生古稀記念 国史学論叢』1959年)がそれである。本発表では、薗田論文の紹介を基点とし、あまり注目されていない古代の寺社縁起の研究の可能性について展望を述べる。
 
【研究発表2】通度寺(韓国梁山市)の縁起と同寺聖宝博物館所蔵『三蔵法師西遊路程記』  松本真輔 
【要旨】韓国三大寺院の一つとも言われる霊鷲山通度寺は韓国慶尚南道梁山市に位置する古刹で、その起源は新羅第二十七代善徳女王の時代(在位 632-647)に遡ると言われる。本発表では跋文に泰定五年(1328)から崇徳七年(1642)までの年記がある通度寺の縁起『通度寺事蹟記』などを軸にその沿革をたどるとともに、同寺聖宝博物館に所蔵されている絵巻『三蔵法師西遊路程記』の内容について検討したい。この絵巻は展覧会などでしばしば展示されてきたが詳しい研究がまだない。また、通度寺龍華殿内壁には『西遊記』のうち六回分についての壁画があることが近年確認されており、同寺の天竺への指向性がかいま見える資料となろう。