寺社縁起研究会・関東支部

@近畿大学東京センター

第109回例会

2012年10月27日 | 例会履歴

2012.10.27 近畿大学東京事務所

【研究発表1】中世寺院における寺誌の生成と継承―東寺を中心に―  貫井裕恵
【要旨】日本の中世社会では、仏教とりわけ真言宗をはじめとする顕密仏教が重要な位置を占めており、関連する史料も多い。近年寺院史料調査のめざましい進展により、寺院史料論の体系化が進められつつある。本報告では、膨大な寺院史料等により編纂されている寺誌に着眼したい。寺院の、自らの歴史を叙述している寺誌は、これまでいわば百科事典として多くの研究に供されることが多かったが、寺誌そのものもまた歴史的背景を負って成立しており、超時代的史料たりえないのである。そこで南北朝期東寺において編纂された『東宝記』を中心に、その成立背景から編纂、保存・利用について俯瞰することで、中世寺院における寺誌の担った役割を考えたい。さらに寺院史料論のなかに寺誌を位置づけてみたい。

【研究発表2】参詣と和歌  高橋秀城
【要旨】寺院への参詣および巡礼(巡拝)に和歌は付きものである。御詠歌(巡拝歌)といった信仰と深く結び付いたものから、参詣途次での名所旧跡を詠ったものまでその範囲は広い。本発表では、成田山参詣記や高野山参詣を目的とする紀行文・参詣記事を対象とし、和歌がどのような場面・場所で詠まれたのか見ていくことで、その意味を探りたい。併せて、真言僧侶の修学と巡礼との関わりを考えたい。