2008.02.04 早稲田大学西早稲田キャンパス
【研究発表】『神道集』の位相―権者、実者をめぐって― 有賀夏紀
【要旨】『神道集』におさめられる縁起類は、しばしばその在地性が指摘される。それらの物語が当時の社会ではたした役割については、すでに述べたところである(『学習院大学国語国文学会誌』48)。だが、本書が神道論を冒頭におく漢文体の編纂物であることに注目するとき、『神道集』と、土地の伝承とのあいだには位相の差が生じてくる。本発表は、冒頭におかれた「神道由来之事」を中心に展開される権者・実者の論から、編纂物としての『神道集』について考察する試みである。