寺社縁起研究会・関東支部

@近畿大学東京センター

第114回例会

2014年08月04日 | 例会履歴

2014.08.04 近畿大学東京センター

【研究発表1】立山縁起の系統について  山吉頌平
【要旨】越中の霊山・立山において、その信仰の担い手となった芦峅寺(あしくらじ)、岩峅寺(いわくらじ)に伝わる縁起は、近年の注目にも関わらず、綿密に網羅的な分析を加えられたことがなく、その系統を示した唯一の論文の結論にも疑問点が少なくない。そこで本発表では、両寺で作製された縁起や書上、その他山外でつくられた立山の記事を持つ紀行文などの史料を総合的に分析し、中世以来の古縁起の散逸後に形成された現存する江戸期の縁起がどのように形成されていったのかを考察し、その系統関係を提示してみたい。

【研究発表2】遁世者と妻子―『発心集』『閑居友』『撰集抄』の諸相―  和田あや香
【要旨】『発心集』『閑居友』『撰集抄』は、多くの遁世に関わる説話をおさめ、ひとくくりに同系列とみなすことができるとされている仏教説話集である。これら三説話集には、妻子をふり捨てて遁世する男性たちの姿が描かれている。まさに遁世者と妻子は一対の存在のようである。発表者は、遁世者が社会集団から離脱する際に、「捨てがたきよすが」となる妻子の存在に注目した。今回の発表では、それらの捨てられる妻子たちの描かれ方から、『発心集』『閑居友』『撰集抄』に登場する遁世者の諸相を調査・考察した結果を報告したい。